日本ホラー話 トリアエズの多い料理店
もしかすると不快な表現があるかもしれません。気になったらブラウザバック。なにも考えないで読むのがおすすめです。短編を書く気にさせてくれたティ氏に感謝を……感謝しても絶対喜んでもらえなさそう。
このお話は、エヌ国○シティという所で本当に起きた事だと、U(MA)人がイマジナリー・フレンドから聞いた話を教えてくれたものです。
ある夏の昼下がり、二人の公務員が市民とのふれあい活動をしていました。白いスーツに赤いシャツ、黒いスーツに黄色いシャツ、
おそろいの「Lecken Sie keine Beamten」と書かれたマフラー。肩をいからせメンチをきる、いわゆる牛丼チェーンの幹部の様な歩き方をしながら、周囲の人の肝を試していたそうです。
エヌ国の夏はとても暑く、夏になると周囲の人の肝を試してヒヤッとさせるのが、ホスピタリティと言うものなのだとか。
「こんなん、しけたシティじゃのぅ。ろくなオンナがおりゃあせんワ。こんなん、どんなんオンナでもエエからヤッちまいてぇのぅ」
「そうじゃのぅ。面に2,3発もブチ呉れてやりゃぁ、すぐ大人しくなるけんのうぅ。おぅっ! 見てみいや、ボケェ。あそこにいいオンナがおるわ、ボケェ」
逃げ遅れてしまったのか、今年大学に入ったばかりのような若い女性が見つかってしまいました。二人は逃げられないよう近づくと、さっそくふれあいを始めたのです。
「オウ、ネエチャン、良いからだしとるのぅ。ワシらといっしょに飯でもどうじゃ」
「オウ、ボケェ。周りの連中ナニ見とんのじゃ、ワレェ。ワシら舐めとんのか、ボケェ、ワシらにゃ~人の人生滅茶苦茶にする力があるんじゃ、ボケェ」
エヌ国ではまじめに働いている公務員がいるおかげか、エヌ国人は公務員の犯罪にとっても寛容だと聞きました。
公人である勤務中ですら、自分の気分が悪いときは暴言を吐いても、国民からは許されます。
特に警察では他の警察官の犯罪を言い立てると、自分の犯罪も問題になるため、許し合いの心で営まれる、美しい国なんだそう。
二人は料理店を見つけようと、きょろきょろと周りを探し始めました。
ケイ県のうみから吹いて来るような、なまぐさい風を感じて二人が目を向けると、半地下で声が外に漏れなさそうな、ちょうど良いお店があったのです。
お店ののぼりには『いらっしゃい、いらっしゃい 居酒屋チェーン築地屋へようこそ』『何かと考えることの多いエヌ国の生活は疲れますね。あ・たまをカラッポにして楽しんでいってください』と書いてありました。
「こりゃちょおどエエのぅ。なかなか悪くない店じゃぁ」
「さっさと入れや、ボケェ。ワシャーとっとと喰いてぇんじゃ、ボケェ」
二人が店の中に入ると、最初の部屋には今入れたばかりの様にキンキンに冷えた、トリアエズ生がありました。二人は『トリアエズ生を飲んでください』という看板に従って一気に喉に流し込みました。
「こりゃエエ、気分爽快じゃ。こういうのがエエんじゃ」
何も考えずに無警戒にトリアエズ生を飲み干し二人が次の部屋に向かうと、そこにはから揚げとお代わりのトリアエズ生が用意されていました。
『トリアエズから揚げです。から揚げにはトリアエズレモン令嬢が、トリアエズレモンをかけてくれています』
二人はむしゃむしゃと喰いつくしました。
次の部屋には『気分を変えて今回はトリアエズ・エヌ国酒・ちくしょう梅と、マグロのトリアエズ刺し身盛り合わせです』とありました。
二人は次々に部屋を移り、トリアエズ北家の塩焼き(献上藻塩)やトリアエズ枝豆、トリアエズ・タコワサ等たくさんの料理を楽しんだのです。
『そろそろご飯ものです。当店自慢の牛丼です。デザート盛り合わせもあるので楽しみにしておいてくださいね』
味がしっかりしみ、とても柔らかいお肉でした。二人はすっかりガンギマリになると、よだれを垂らしながら夢中で牛丼を食べました。
二人がふらふらとした足取りで次の部屋に行くと、デザートが用意してありました。
『……いい感じにキまってきましたか? 食欲が満ちたら次はアレです。存分にお楽しみください』
そこには大きなベットがあり、他のルートから来たお客さんがマグロのように転がっていました。デザートはマグロの盛り合わせだったそうです。ガンギマリの彼らは、わっせわっせとサークル活動にいそしみました。
この部屋ではそんなことがずっと繰り返されていたのだそうです。
何かを閉じ込めたようなどっしりとした扉の鍵穴から、部屋の隅にわだかまる闇の中から、じっとりと白い目玉がその光景を見ていましたが、彼らは気にもしなかったそうです。
そうこうして彼らが異世界へと旅立った精神を肉体に戻すと、お店の幹部が待っていました。普通の店員はテロリストバイト以外はまじめに働いているので、こんな事には関わっていないんだそうです。
「やってしまいましたね、お客さん。黙っていて欲しければトリアエズ3000万、使用済みの紙幣ですぐに払ってください。今ならゼット党機関誌『ケイ国の光真理教~光への道~』を一冊プレゼントしますよっ!」
二人の公務員は、余裕のある態度であざ笑いました。
「ひっかかったな、ボケェ。トラップ発動じゃ! ワシは『逮捕状握りつぶし警察庁長官』を特殊召喚するぜ、ボケェ」
「何、そんな馬鹿なっ! うちで使っている白い粉は警察の横流し品だぞ。みかじめ料だってきちんと払っている!」
「ボケがぁ、状況が変わったんだよ、状況がぁ」
こうして質の悪い居酒屋チェーンは姿を消し、公務員の不祥事は闇に葬られることになったそうです。沢山の分からないことが後に残りました。後味の悪い事件だったそうです。
最後にU(MA)人の妄想上のフレンドが言っていたそうです。
「百事御一新でエヌ国から闇は吹き払われたと思っていたのかイ? それは違うサ。この国には葬られた想いが、新しい闇の中にわだかまっていルんだ。コレから妄想が現実になる時代が来るんだヨ」
日本ほらー話。ほらーまた不祥事だ、をお送りいたしました。アレですねー、氷河期世代の人が大きな事件を起こしたことで、選挙演説中は3,40代の人への職務質問が増えそうな気がします。
トリアエズ職務質問、トリアエズ勾留、トリアエズ令状(日本は令状の自動販売機と言われてるそうで……コロナ下だから自販機始めたのかも)、新しい未解決事件が入電していますので、ついでにトリアエズ冤罪はいかがですか。
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第35皿目の料理店は、劇場型政治飯とーとろ次郎。とんとろとろろがとろとろしているということはとろとろしているとんとろとろろということです~でお送りしません。