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相棒

「そう言えば俺たち、ずっと戦ってたんだよな」


「完全に忘れてた、ボドゲと鍋のことしか考えてなかった。」


「俺もお前が持ってくるアーノルドの冒険譚のことしか考えてなかったわ…」


「どうするよ、これから…」


2人は馬鹿なのだ。幼きころにそれぞれ勇者と魔王に選ばれ、

戦いに明け暮れる日々。長き戦いの年月は2人を完璧な脳筋へと育て上げていた。

そして勇者は魔王との戦いの傷を癒す間、初めてまともな休暇を得て、初めてあらゆる娯楽に触れた。

それを魔王城に持ち込んだことで2人はすっかり堕落してしまっていた。今やただのニートである。


「最初は魔王は極悪非道の独裁者だと思ってたし

魔族に仲間を殺された恨みがあったけど

今はお前がそんなやつだとは思ってないしな…」


「俺も勇者を人族の魔族領侵略を率いる殺戮者だと思っていたけど、お前はそんな捻じ曲がったやつじゃないって今ならわかる。」


2人はかつての目的を思い出してもなお、生まれた友情が枷となり戦意を湧かせることができなかった。


「そう言えばさ、仲間を殺されたって言ってたけど

なんのことだ?俺は誰も殺してないし、部下にも戦わせてないぞ」


「は?大魔道士のルーク、剣王のジーク、高位治癒師のアリア。全員、ここに来る途中、魔王軍一番隊隊長ルシェルってやつに殺されたんだ。お前の命令でって言ってたぞ。」


「誰だそいつ、そもそもうちに一番隊なんてない。種族毎に分けた悪魔部隊、大鬼部隊、有翼族部隊なんかと魔王直属の混成部隊だけだ。混成部隊にも一番隊なんて名乗らせていないし、

そもそもルシェルなんて部下はいない。隊長格なら覚えていないはずがないんだ。」


「じゃあ、誰が俺の仲間を…そう言えば、さっきの人族の魔族領侵略って何だ?俺たちキャンベル王国は自国から戦争は仕掛けない主義で防衛と余程の場合の報復くらいにしか軍は動かないぞ」


「じゃあなんで国境付近の魔族の村が焼かれ、罪のない民が殺されているのだ」


「そっちこそ国境付近の人族の村をいくつも焼いているじゃないか。」


「俺たちは断じて侵略などしない!魔族は互いの種族の違いを認め合い、受け入れ調和して生きる心優しいやつらばかりだ。それにそんな侵略、俺が認めないし、誓って命令もしない」


「どっちかのどこかの軍が独断で侵略を働き、

もう一方でどこかの軍が独断で報復で侵略をし、

またもう一方が独断で…って可能性もゼロではないけど…」


「あまりに不自然だよな」


「黒幕がいるな、特にルシェルってやつがきな臭い」


「そのクソ野郎のせいで人も魔族も大勢死んだ、お前の仲間も。許せないな。必ず見つけ出して償わせる」


「俺も同じ気持ちだ、絶対許さねえ」


「俺は一旦、魔族軍に侵略の事実があったかどうか調べる。そっちもキャンベル王国軍の動きを調べてくれ」


「任せろ!ついでにアーノルドの新巻も買ってくるよ。」


「では俺は悪魔族の間で大ブームのボードゲームを手に入れておこう」


「1ヶ月後にまた会おう。そう言えば魔王、お前ってなんで名前なんだ?」


「そう言えばお互い名乗っていなかったな、俺はクロムウェル。クロムと呼んでくれ、相棒」


「俺はアークだ、改めてよろしくな、相棒」


2人はこうして相棒となり、人族と魔族の争いを引き起こす黒幕を探すために動き出した。

歴史上初めての勇者と魔王の最強タッグがここに誕生した。

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