いつかはきっと
タイトル変えるべきか悩みます
今日も今日とて筋トレだ。
必死にメニューをこなしていると
「何ニヤニヤしてんだ??」
自分では、筋肉疲労に耐える苦悶の表情のつもりなのだがそう指摘される。
「え?ニヤニヤなんかしてないですよ」
「鏡見てみろ」
そう言われてトレーニングルームのミラーをみる。この部屋は、トレーニングジムのように一面全て鏡になっている。
そこには筋トレをしながら満面の笑みの変態…ではなく自分が映っていた。
「ホントだ」
「で?何があった?女絡みだろ、ちゃんと報告相談しろよまだ今のお前じゃ絶対失敗すっから」
「それがですね…」
かくかくしかじかと師匠に昨日あったことを報告した。
「へー、上出来じゃねぇか。
こっからがスタートラインだ、LINEのやり取りは必ずスクショして俺に送れ。
間違ってもしつこく連絡したりするなよ」
「わかりました」
「あと会話の極意を教えておいてやろう」
「え、こないだ教えてもらった相手の話しをベースに広げたり縮めたりのやつの他にもあるんですか」
後で教えてもらったが、相手の話した内容の大きさを変えて話す技法をチャンクサイズクエスチョンというらしい。
「あぁ、人と仲良くなるにはその人が興味のある話をするのが一番手っ取り早い」
「まあ、たしかにそうですね。何が1番好きか聞けばいいってことですか」
「違う、人が興味が1番興味があるのは自分のことだと覚えとけ」
「自分のこと…」
「今後の展開としてはその子の一番の理解者となれ、誕生日、好きな食べ物、楽しかったこと、嫌なこと等全て会話の中から引き出し記録しろ」
講習を聞いていると
ピンポーンとインターホンが鳴る
「これから俺様は愛の時間だ、まだここでトレーニングしててもいいが今日の授業はおしまいだ」
そういうと部屋から出て行く師匠、俺はしばらくトレーニングするつもりだったがやめた。
「ぁぁっ…ダメっダメダメ」
まだスマートフォンのスピーカーからしか聞いたことのない女性の甘い声が聞こえたきたため逃げるように部屋を後にした。
ちょうど日も暮れ始めたころ彼女は来た。
Tシャツに短パンとランニングに適した格好で現れる、そんな飾り気の一つも無い格好が服では隠しきれない体のラインと整った容姿を際立たせる。
「こんばんわ、篠原」
「やっほ、伊藤はもう走ってたんだ」
挨拶も軽く済ましたところで2人で走り出す。一歩一歩体が地面から振動を受けるたびに揺れる柔らかい物体から意識と視線を逸らすために走りながら彼女に質問を投げかける。
夏休みの課題は進めているか?と当たり障りのない会話からスタートし
まだやってないと笑いながら言う彼女、
じゃあ逆に部活以外の時間なにしてるんだよとプライベートな時間に探りを入れ会話を広げていき、彼女は夏といえば
祭りに花火が好きらしいと言うことを知った。
「ふぅー…走ったしたくさん話したから疲れたぁ、伊藤って意外と話しやすいんだね」
「聞き上手の伊藤さんって呼ばれてるからな」
「何それ初耳、ウケる」
彼女が少し笑ったあと、沈黙の後にじゃあまたと挨拶をして別れる。
師匠の教えの通り、忘れないうちに彼女が話した内容をスマホのメモに残す。
そのうち付き合ったりすることになるのだろうか…と期待に胸を躍らせ帰路につく。