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恋愛を学んだらハーレム作れた件。  作者: ミルクソフト
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紛失と再会

大変お久しぶりの投稿となりました。

少しづつでも更新していけたらなと思います。






入学初日、終業の鐘が鳴って随分経つが

私はまだ校舎内に居た。


あれだけ人で賑わっていた廊下や教室も、今はしんと静まり帰って、自分の足音だけが響き渡る。



「入学初日に鍵無くしちゃうなんて…お母さんに怒られちゃうよー」



不気味な静けさと、入学初日に鍵を無くした情けなさとで、涙が込み上げて来そうになる。


もう、諦めて帰ろうかと言う時、前方から聞こえる誰かの話し声。



「ほら、もう校舎に誰もいない。

先生に見つかって注意される前に帰るぞ」


「待ってよ〜、蓮くんがいっぱい私をイジめるから足が言うこと聞かないのっ」



「悪かった、ほら手。」



「お姫様抱っこがいい〜」



楽しげに話す2人の男女の声が聞こえ前方の階段から降りて来る。


私とは違う上履き、リボンの色。

何より、背も低く子供っぽい私とは対照的に

スラリとした長身に艶のある黒髪。

どこからどう見ても一般人ではあり得ないスタイルとルックスに見惚れてしまう。



あれは、川本あゆさん。

女性人気雑誌NyanNyanで最近人気を博している売れっ子モデル。


この学校に居ると噂は聞いていたけど、実在するなんて。


わぁ〜、すっごぉい

背たかっ、スタイルいいなぁ

もうなんか身に纏ってる雰囲気、オーラが女の子って感じで、芸能人ってすごいなぁ。



そんな風に感動していて、隣にいる男性の存在を忘れていた。



「君は…」



街で、ぶつかった事をきっかけにケーキをくれた人。

今朝、桜の花びらに足を取られ転けそうになったところを助けてくれた人。

えっ?けど、川本あゆさんと手を繋いで、、親密そうで。

彼女の彼氏は噂では二股、三股の女の敵だって、、




「あっ、伊藤先輩。こんにちわ」



混乱しつつも、なんとか出て来たぎこちない挨拶。



「こんにちわ、桃ちゃん。どうした?普通だったらとっくに下校してる時間じゃないか?」



「えーっ!新入生??可愛い〜♡蓮くんお知り合い?」


「あぁ、朝ちょっとな。それより何か困り事なんじゃないか?」



「こんにちわ。私、染井 桃って言います。

伊藤先輩には今朝、転びそうになったところを助けて貰って…今は、、鍵を無くしちゃって、探してる最中なんです。」


「桃ちゃんっ!名前もかわいいねー♡」


内心ではあの川本あゆさんとこんなに近くでお話ししてるだけで軽くパニック状態。

気持ちを落ち着かせながら、現状を伝える。



「鍵?もしかしてコレのことか?」




そこには見慣れたクマのストラップが付いた鍵。



「あっ!?それです!」



「拾っててよかった。さっきあゆと、、いや情報処理の教室の前あたりに落ちてたんだ。」


「ありがとうございますっ」



嬉しさと、先程まで1人で心細かったが知っている人に会えた安心感で涙が出て来る。




「あーっ、蓮くんがまた女の子泣かした!」



「よかったら、コレ使って」



そう言って差し出されたのは紺色のハンカチ。

彼の紳士的な対応に更に涙が出て来るが、

見かねた彼はそっと私の頬にハンカチを当ててくれ、私が落ち着くまで、ただ静かにまっていてくれた。



「あのっ、ほんとにありがとうございます。

鍵だけじゃなく色々と。」



「気にしないでくれ、俺もたまたま拾っただけだから。」



「ハンカチは必ず洗って返しますのでっ!」



わざわざ洗わなくてもいいと

言ってくれていたが、自分の涙を拭いたものを

男性にそのまま渡すのも恥ずかしかったため

無理やり奪って、洗って返すことにした。



その後、2人とは別れ下校する。

日は沈みかけ、夕陽が桜の花びらを照らす。

ピンクがオレンジに浸食されキラキラと輝く。

高校生になって早々ヘマをしたが、2人の素敵な先輩と知り合えた事とこの綺麗な夕陽と桜を見られたら、悪いことだけではなかったなと思える。

そんな新生活初日だった。


面白ければブックマークだけでもよろしくお願いします。

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