表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛を学んだらハーレム作れた件。  作者: ミルクソフト
51/56

新学期

久しぶりの投稿となりました、読んでいただけると幸いです。








新学期、登校初日は天気にも恵まれ暖かな日差しの中多くの生徒が校門付近に多く集まり、ニコニコと友人たちに手を振り、挨拶をする彼女を取り巻く。



「みんなおはよ〜!」



雪のように真っ白な肌に、長く艶のあるふわりとした黒髪。

スラリと長い手足に小さな顔はあらゆる人の目を惹く。

その美貌に天真爛漫な笑顔を浮かべれば彼女に勝てる者なんてそう居ない。

我が校のアイドルであり、最近人気急増中のファッションモデル。

そして俺の彼女である川本あゆの周りには、多くの人だかりができていた。



「相変わらずすごいな」


「新入生もいるからね、それに春休み中にもまた表紙飾ってたし、益々あゆの人気は上がってるよ」


「ま、まぁとりあえず俺たちは教室に向かおう」


そう言って握っていた茜の手を引き、先を急ぐ。

周りの新入生たちは男女問わず、彼女を一目見ようと続々と集まって行く。


『え!?うそあゆちゃん??!』


『まじかよ!俺めちゃくちゃ好きなんだよ!』


『わぁーすっごい!顔ちっちゃい』



続々と増えていく人集り達にも彼女は変わらずニコニコと手を振って応える。



「あ、新入生?可愛い〜♡ありがとー、応援よろしくねー…あー!!!」



すると突然大きな声を上げ、一点を指差す。

集団の視線は一気にコチラを向く。


「蓮くん!茜ー!!何してるの!手繋いで登校なんてずるいー!!」


そう言ってパタパタと駆け寄ってくる彼女。

彼女の進行方向に集団がサッと避ける。



「わぁ、モーセの十戒みたい」


横で茜が呑気に言っているが完全に注目の的。

そこら中で誰?と新入生たちの声がする。

見知った同級、上級生はいつものことの様にやってられないと言ったご様子だ。



「もうっ!2人ともおはようも無しに行っちゃうなんてヒドい!」



「いや、朝電話で挨拶したからいいかなと…」



「おはようと愛してるは電話だけじゃイヤなの!」



瞬間新入生たちにどよめきが走る、えっ!?どういう事?愛してる?

じゃあアレが入学前に噂になっていた…



「うおおおお!兄上殿ォ!探しましたぞ!!」



そこへ、明るい髪のサラサラマッシュの可愛い系の長身イケメンが人混みをかき分けて駆け寄ってくる。



虎之介とらのすけ、学校でその呼び方はやめろ」


「そんなことより、本日より兄上殿と同じ学び舎で共に励めることを心より嬉しく思います!いやぁ〜参りました!新入生の間では既に神と呼ばれ崇められているとは!」



この話を聞かない変な喋り方のやつは皆さん思い出して欲しい、クリスマスの日を。

筋肉サンタに連れられていたあの小太りのトナカイを。

色々と無頓着で、冴えなかったが地獄の特訓の日々を耐えぬき己を磨き上げた。

素材自体は悪くなかった為20キロの減量と髪型や眉毛をしっかり整えることで見違える程のイケメンとなった。


だが、未だに彼女は出来ない。

この変な喋り方だけはどうにも矯正することが難しいようだ。


そんなこんなしているうちに男子生徒たちに囲まれる。



「あなたが噂の神ですか!?」


「俺にも彼女ができる方法を教えてください!」


「あゆさんと握手させて下さい!」



「ええっと…」


「ええい!黙れ黙れぇ!兄上殿に教えを請いたければまず拙者を通せ!」


「誰だお前!」



ずいっと俺の前に出て、声高らかに宣言する虎之介に男子生徒たちが食ってかかるが、恵まれた体格に鍛え上げた鋼の体でバッタバッタと薙ぎ倒していく。


その様子を呆然と見つめていると、後ろからちょんちょんと袖を引っ張られる。


振り返るとそこには少し眠たそうな瞳に、涙ボクロ。

ブレザーの上からでも分かる女性らしいプロポーション。

高校生でありながら、大人顔負けの色気を放つ女性が俺の制服の袖を引っ張っている。


「氷乃先輩、おはよう」


「蓮…くん、おは…よう…今の…うちに」



そう言って彼女の案内に従い、人混みを抜けなんとか自分の教室に入る。


「はぁ、やっと教室に着いた。茜も置いてきてしまったけど、大丈夫かな」


「じゃあ…蓮くん…私は一階…だから」



そう言って3年生の氷乃先輩は自身の教室がある一階へと戻っていく。

わざわざ送ってもらって申し訳ない。


新しいクラスの面子とも早々に挨拶を済ませ、席に着く。

ようやく落ち着けるかと思ったが今年から一緒のクラスになったあゆが教室にやってくる。



「も〜!蓮くん置いてくなんてヒドいよ!愛してるも言ってくれないままだし…私の事嫌いになったのっ」


「愛してるよ、すまなかった。どうしても人混みは苦手なんだ」


「ふんっ!」



そう言ってプイッと横を向いて怒ったフリをする。

いつも以上に甘えん坊だがこれには訳がある。

春休み中はずっと雑誌の撮影やらなんやらでほとんどあゆとは会えてなかったのだ。



「ほら、今日は放課後なんでもしてやるから機嫌直せよ」



そう言うとパッと顔を輝かせて笑う。


「へへ〜、ほんと?何でもだよ?♡」


なんだか無茶難題を押し付けられそうな気はするが、仕方ない。

そうこうしているウチにホームルームの鐘が鳴る。


出席番号1番が今朝の朝礼の挨拶だ。

つまりは伊藤蓮、この俺だ。


「起立、気をつけ、礼」


着席と同時にポケット内の携帯が揺れる。

通知画面には川本あゆの文字。


『学校でめちゃくちゃにして?♡』


そうして新学期初日は始まった。












感想など頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ