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恋愛を学んだらハーレム作れた件。  作者: ミルクソフト
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付き合うって何

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「ここが伊藤の家?」


学校を後にした俺たちは、一緒に師匠宅の駐車場に来ていた。


「違うんだけどバイクここに停めてるんだ」


やるよと言われたVTR250だが、流石にこんな高価な物を知り合いから貰ったとは親にも言えずそのまま駐車場に置いてもらっている。

駐車場と言っても新築高級マンションの為、バイク用ガレージがあり個室になっている。

校則では免許の取得は禁止になっているので

上はバイク用のジャケットに着替え、フルフェイスのヘルメットをかぶる。

川本にも長袖のパーカーを着させ、ヘルメットを渡す。



「着けれるか?」


「ありがと、2回目だからもう一人でできるわ」


「そっか」



そう、川本は既に乗せたことがある。

花火大会用の甚平を買いに行く際、付いてきもらったのだ。



「茜は乗せて無いの?」



「そうだな、機会も無かったし話してないからバイクの免許を持ってることも知らない」


「え?じゃあ乗ったのは私が最初?」



「あぁ、というか知ってるのも川本だけだな。学校にバレたらヤバいから2人だけの秘密な」



この何気ないセリフと流れも実は予習済みだ、人は秘密を共有することで親密な関係になりやすい。

秘密を打ち明けた方はもちろん相手を信頼してないと秘密は言わないし、打ち明けられた方はこの人はこんなにも私のことを信頼してくれていると思うことによって、返報性の原理が働き私もこの人のことを信頼しなくてはいけないと言った気持ちになる。

その為、親密な関係になりやすいって事らしい。

地味な技だがこういう細かい積み重ねが大事なのだと師匠は言う。




「ふーん、そっか。またいつでも乗せてくれるなら秘密にしといてあげるわ」


「仰せのままに。よろしく頼むよ」


そう言って笑い合う。

跨り、エンジンをかけると重低音を体に感じる。


「よし、いいぞ」


「よっと」



ひょいっと川本も後ろに跨る。

ミラー越しに俺は見てしまった、下は制服のスカートのままのため、ステップに足をかける際にチラリと一回、ステップに立ち上がりシートに跨る時、大きく足を開いた時に一回。

白だった。彼女の白い肌に負けず劣らずの白いショーツ。だが子供っぽさはなく、嫌らしくない程度にレースがあしらわれていたその景色が脳に焼き付く。

俺の体に腕を回した彼女の体温を、背中で感じたところで発進する。



30分ほど山道を登り、天辺てっぺんに着く。

その間、彼女は落ちないようにぎゅっと、簡単に折れそうな細い腕でしっかりしがみついていた。

ここらへんでは割と定番の夜景スポット、土日の夜なんかは免許を取りたての若者で賑わう。

まだ、日も沈んでおらず平日ということもあり今は俺と川本の2人だけ。

カップルが夜景を眺めるためによく使っているベンチに2人で腰掛け、夕日を眺める。


「へー、聞いたことはあったけど初めて来た…綺麗ね、夜景じゃ無いのが残念。けどちょうど良かったわ、私も少し頼みたいことがあったの、ところでデート上手くいったんじゃないの?」


「上手くは行ったと思う、楽しかったし。ただ今後どうして行けばいいのか分からなくて」


嘘だ、今後のハーレムメンバー候補である川本に俺は、付き合うや彼氏彼女の関係がよく理解できないといった考えを持っていると予め示しておくことで、二股に持っていきやすくして置くのだ。


「どうって…そりゃ付き合ってるんだからデートしたり、手繋いだり、きっキスしたり…とかじゃないのっ」


そんなこと言わせないでよといった態度で顔を赤くし、逸らす。


「手も繋いだし、キスもしたんだ」


「ふぇっ!?えっ!うそ!はやくない!?」


「自分を抑えきれなくて、茜はダメって言ってたけど舌を入れても受け入れてくれたんだ」


「し、舌…私なんて普通のキスもしたことないのに」


あわあわと完全に壊れてしまった川本が正常になるまで待つ。


「ま、まぁいいわ!それで何を悩んでる訳?」


「付き合うって何なのかなって」


「それはお互い好き同士の男女が恋人同士になるってことでしょ!」


「けど、単なる口約束でしかないよな…法律で縛られるわけでもないし明確に形のあるものじゃない、だから良く分からないんだよ」


「それは、確かにそうかも知れないけど…お互いに想い合うってことよ」



「けど、俺は川本の事だって好きだなって思うしこうやって一緒に出かけたりする、それと何が違う?」


「へっ!?あんた私の事好きなの?」


「あぁ、一緒にいて楽しいし君は綺麗だ。

川本は俺のこと嫌いか?」


「嫌いだったらこんなとこ一緒に来たりしないわよ…」


「だったら茜と俺の関係とどう違うんだ?」


「そりゃ私たちはキスしたりなんてしてないっんぅ」


言い終わる直前に、その綺麗な桜色のさ唇を俺の唇で塞ぐ。

目を見開いて数瞬の硬直、そしてその白い肌を真っ赤に染め上げた直後。


パチンっ!

鮮烈な平手打ちを食らい視界が揺れた。


「な、何すんのよっ変態!」



「何ってキスだけど…」


「そういうこと言ってんじゃないの!」


「嫌だったか?」


「茜が傷つくわ」


「川本の気持ちを聞いてるんだ、嫌だったのか?」


「うるさい!帰る!」


フンっ!とベンチから立ち上がりサッサとバイクの方に歩いて行く川本を眺めながら、これは失敗かなと思った。



夕陽も大分傾きかけ、暗くなり始めた頃に川本を自宅前まで送り届けた。


「まだ怒ってるか?」


「当たり前じゃない!私のファーストキスだったんだから…」


後半のセリフは声が小さくて上手く聞き取れなかった。


「悪かったよ、そう言えば頼みが有るって言ってなかったか?」


「ふんっ、なんでもないわよ!」


どうやらかなり怒らせてしまったらしい、今日のところはここら辺で引き上げるとする。


「そっか、明日にでも聞かせてくれ、またな。」


川本に挨拶するとブルンっとエンジンを吹かし、発進する。

だから気付けなかった、遠ざかっていく俺を見て「あっ…」と不安げな表情で見つめる川本に。




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