第14札 リアル伝説の戦士
宙宇基陣は
美羽、海という二人の少女と
三つ巴戦をする事に成った。
勝負は
「バトルモンスターズ」というカードゲームにて行う。
此のゲームは
モンスターカード、戦術カード、行動カードと
三枚の札で
モンスターを召喚して使役する事を表す。
現在戦術カードを出した所だが。
「ウミブタウミブタってヒドくねえ?」
と海が言う。
海の召喚モンスター
人鳥コウテイペンギン 属性:水4 技:水中飛行
命中 風3≧火3 威力 土4/水5
死の顎門イリエワニ 属性:水4 技:デスロール
命中 火3≧風2 威力 水6/土4
リビアタンメルビレイ 属性:水5 技:デスファング
命中 土4≧風3 威力 水6/火5
コウテイペンギンの戦術カード
海豚ハンドウイルカ 属性:水4 技:ドルフィンジャンプ
命中 風5≧土2 威力 水6/火2
イリエワニの戦術カード
真海豚マイルカ 属性:水4 技:テイルスラップ
命中 火4≧土2 威力 水5/風4
リビアタンメルビレイの戦術カード
人鳥オウサマペンギン 属性:水4 技:トボガン
命中 土3≧火2 威力 水6/風4
陣は応える。
「漢字で書くと
其れが「イルカ」だからな」
「何でだよ!」
海は憤慨するが。
「俺に怒ったって仕様がないだろう!」
陣が言うのも尤もであった。
「其れに!
ブタもイルカも
「鯨偶蹄目」という同じ種類分けに入るからな!」
陣が更に付け加えると。
「「ええええ?!」」
海と。 美羽も驚く。
「って!
クジラっつーかイルカじゃん!」
海は唯驚いてだけはいなかったが。
「クジラとイルカの違いは大きさだけだ!
しかも厳密な違いではなく
飽くまでヒトの感覚なだけの話だ!」
陣はきっぱり返す。
「其うなのぉ~?!」
結局海が驚きっ放しなだけだった。
「ではw?
わたくしにご助言頂けないかしらw? 陣さん」
海の話は済んだかと。
美羽が言い出す。
対して陣は
困った様に。
「助言ったって。
今見て言える範囲だぞ?」
当然だがカードゲームは
手の内を相手には見せないのだ。
美羽の召喚モンスター
幻想巨鳥ロック 属性:風5 技:蹂躙の爪
命中 土5≧水3 威力 風6/火4
飛空怪獣ワイバーン 属性:風4 技:毒針の尾
命中 土4≧風5 威力 火4/水2
猛禽の王者イーグル 属性:風3 技:荒鷲の爪
命中 風5>水2 威力 土3/火2
ロックの戦術カード
鉄拳爬虫人類キーパ 属性:土4 技:正拳逆突き
命中 火4≧水3 威力 土5/風3
ワイバーンの戦術カード
凶悪に荒ぶるヒグマ 属性:土4 技:強欲の牙
命中 火4≧風2 威力 土6/水3
イーグルの戦術カード
ランフォリンクス 属性:風3 技:嘴の牙
命中 風5>土1 威力 水4/火2
「ええw」
美羽は。
ぱっと見笑んではいるが
先程機嫌を損ねたばかりだ。
陣は。
其れを知らん振りするかの様に言う。
「戦術カードはみんな早く取り替えた方が良いな。
特にワイバーンは直ぐにでも」
「成るべくウェイトが軽いカードに、ですわね?
折角海さんに合わせましたのに!」
美羽も分かってはいる様だが。
「どゆこと?」
海には分からず。
「其んな事考えていたのかよ……!」
陣は呆れている。
「リビアタンは「嫉妬」の悪魔、とする
話も有るって言ったな?
「嫉妬」は「七つの大罪」の一つな訳だが
「強欲」も其の一つなんだな!」
「ほへ~? 其う?」
「嫉妬」の悪魔を召喚した所の海は
嫉妬とは無縁そうな呆けた顔をする。
「けど何で
ヒグマさんは「強欲」なのかしらねw?」
美羽がゲームには影響なさそうな所を訊く。
「クマは
一度目を付けた獲物に
執着すると言うからな!
「三毛別」という所の事件が
最悪だったという!」
陣はしっかりと答える訳だが。
「最悪! ……ですか。
其れで亡くなられた方がいらっしゃったり?」
流石に美羽も息を呑み。
「亡くなったなんてもんじゃあない!
冬眠出来なかったヒグマが
ヒトを餌として狙い!
最初に保存食として持って行かれた女性を
回収して通夜をしていたら
其処を更に襲い!」
「保存食って!」
海が横槍を入れるが。
陣は止まらない。
「ヒグマにしたら
保存食を取られたから
怒って来たんだな」
「酷い……っ!」
美羽も流石に顔色が悪い。
「其れでヒグマは女の味を覚えてしまい
通夜の場所から避難したヒトビトの先回りをして」
「女の味って何だああああああああ!」
海が絶叫気味に陣に突っ込むが。
「文字通り食った味だな。
ヒグマは最初に女性を食ったら
女性ばかり狙う様だな。
で。
ヒトビトが避難しようとした家に
丁度先にクマが着いて。
襲って、其の後食う音が。
生々しく聞こえたという」
「ホラーかよっっ!!」
海がもう絶叫としか言えない反応をするが。
陣は淡々と続ける。
「ヒグマはもう女の味を覚えたから
次は隣村を狙うと。
隣村ってのが「三毛別村」なんだけどな?」
「……其れ、
どう解決するんです?」
美羽はもううんざりとしている。
「伝説のマタギさんとやらが斃したんだな」
「マタギ?」
海には分からない様だが。
「クマ撃ち専門の猟師さん、
ですわね?」
美羽は少しは知っていた。
「伝説ってw!
ゲームのキャラみたいだなw!」
海は其方の方がお好みな様で。
「強ち外れてもいないな!
200人からの討伐隊を組もうと言っている所を
一人で斃したからな!」
陣が其う言えば。
「スゲえええええええええw!
リアル伝説の戦士じゃんっっw!!」
海は大興奮だった。
「しかし都合良く
伝説の戦士さんが居ましたわね?」
美羽は呆れているが。
「都合良くっていうか
ヒトとしてアレだったから渋々、
仕方なくお鉢が回ったって感じだが。
此う成ったらアイツしか居ねえ! ってな?」
陣が其う言うと。
「ヒトとしてアレっっwww!!
あーっはっはっはっはっはwww!!」
海は大喜びだった。
「「英雄色を好む」
という事かしら?」
美羽が首を傾げるが。
「いや。
大酒飲みで暴れ者、
という方向性らしいぞ?」
と陣が答えれば。
「あーっはっはっはっはっはwww!
何か冒険者って感じじゃーんっw!!
正しくリアル伝説のキャラっw!」
海の琴線に触れる方向性だったらしい。
「其の伝説の戦士w!
名前何てえんだw?」
「ん?
山本兵吉」
陣が何気なく答えると。
「名前が詰まらんっっ!!」
海は激昂した。
陣は直ぐに窘める。
「失礼過ぎるだろう!!
其れにな!
「兵」っていう字は「ツワモノ」とも読んで
今風に言えば正しく「戦士」なんだぞ?」
「おおおおおおおお?!
スゲえっっ?!」
海は直ぐに掌を返した。
一方美羽は。
「……ヒグマさん、
正しく「強欲」の悪魔でしたわね?」
ゲッソリしていた。
「其うしたら。
陣さんの手札も解説して下さるかしらw?
此れは練習なのですしw?」
美羽は何処か図々しく催促するが。
機嫌は直った、様に見える。
陣は苦々しいが。
「手の内は
明かすモンじゃあないんだが!
見えている所だけ! だぞ?」
陣の召喚モンスター
海の殺し屋シャチ 属性:水4 技:オルカアタック
命中 火4≧土2 威力 水6/風3
古代翼竜プテラ 属性:風4 技:裂空の顎門
命中 風5>土2 威力 水4/火4
シャチの戦術カード
凶暴針毛獣ヤマアラシ属性:火3 技:毛針
命中 火5>水2 威力 土3/風2
プテラの戦術カード
闇に眼光るヤマネコ 属性:火2 技:ダークスラッシュ
命中 風2≧水2 威力 火3/土2
「陣さんだけ召喚した子は二人、
ですわねw?
何故とお尋ねしてもw?」
美羽は中々遠慮が無い。
「二人」というのは言葉の綾であろう。
「其れが一番やり易いからだ。
召喚モンスターが一体だと手札が回転しないし
三体だと手札を溜められないだろう?」
「ほへ?」
海は見たまま理解していない様だ。
「成る程w!
一人だと手札が一枚ずつしか使えず補充も出来ず。
三人だと毎回使い切り、
なのですわねw?」
美羽は中々理解力が有る様だ。
「しかし其れは。
構築がバラバラだから!
ですわね?」
構築。
「バトルモンスターズ」は
山札をプレイヤー一人一人が持つゲームであり。
山札は
各プレイヤーが其れぞれ
好みで組み立てるのである。
「……バラバラっつーか……」
陣は呆れつつ言う。
「属性を満遍なく揃えているって言えよ!」
「はあ?」
やはり海は理解していない。
「土、火、風、水の「四元素」を
大体同じ様に揃えている、
という事ですわw?
では割り切れない一枚は
何なのかしらw?」
美羽は分かり易く説明した上。
さらりと訊くべきでない所を攻めてくる。
「言う訳ないだろう!」
当然陣は其う答える。
「何言ってんのー?」
海は一人
ぽつんと取り残されていた。
2021/10/26
修正が発生致しました!
「人鳥コウテイペンギン」の能力配分が間違っておりました!
訂正してお詫び申し上げます!