第11札 モンスター召喚!
宙宇基陣は
少女二人と三つ巴戦をする事に成った。
少女達は。
名字を名乗らなかったが。
一人は美羽。
もう一人は海といった。
二人は血縁でも何でもなく。
唯の他人同士だという。
「座る場所も問題だな?
命中判定の差分が同値の場合
向かって左が優先に成るからな!」
陣の提言に。
「は?」
海は本気でボケた反応をする。
対して美羽は。
「同じ位の当たり方をした攻撃は
自分から見て左側の相手に効く、
という事ですわw?」
海に教え諭してやっている。
「おー!」
海は理解しているのか
見て分からない。
「大丈夫か?
えーっと……海さんは……!」
「ウミ、「さん」だってキモチワリーw♪」
陣が呼び難そうなのに
海は笑ってダメ出しする。
「きっもっちっ悪いっっってっ?!」
陣はショックだった様だ。
「呼び捨てしてってばw♪」
海は飽くまで軽い調子で
悪気は無い様だ。
陣の受け取り方は重々しいが。
「陣さん気にし過ぎですわw?」
美羽も軽くフォローするが。
「あー……うん……」
陣は立ち直りそうにない。
「本人が言っているのだから
名前で呼べば良いのですw!
わたくしもねw?」
美羽もさり気なく
自らの注文を加える。
「うー……む!
男には女子の名を呼ぶのは
敷居が高いのだ!」
「しきい?」
陣の呻きに
海はやはりボケた反応をする。
「ハードルが高いのだっ!」
陣は面倒そうに言い直す。
と。
「ぎゃーはっはっはっはっはw!
陣オモシレーえw!!」
海は大笑い……否!
バカ笑いをする。
「……!」
陣の顔は苦々しい。
勝負の前から疲れていた。
「で?
席順はどうするんだ?」
陣の問いに。
「わたくしは
陣さんの攻撃を受け止めて見せますわw?」
と答える美羽は。
陣の向かって左に座る、という事か。
「お? じゃあ
陣はあたしの攻撃を受けろw!」
と言う海は。
向かって右に座るという事か。
と、成ると。
「席は決まった、な?」
という事だ。
美羽、海、其して陣は円卓に着き。
すると其れぞれのお付きの女性が
山札を出しシャッフルする。
其れを見た海は。
「おー! 手品師みたい!」
等と言うが。
女性達は黙々とシャッフルを続け。
其れぞれプレイヤーの右手側に置く。
其うしたら
プレイヤーは開始時に九枚札を引き。
「「召喚!」」
と、宣言しつつ。
札を裏返し、横向きで出す。
が。 一人だけ。
「さーもん?」
ボケた事を言う。
海であった。
「英語でな?
「召喚」の事を「サモン」って言うんだ!」
陣は頭痛を堪える様な顔で説明する。
「おおw♪ 其ういう事だったのかっw♪」
海は能転気に応える。
「何処ぞのカードゲームに
「さもんさーもん」とかいうのが居たんだっw♪」
「其うかよ……!」
陣はもうウンザリしている様だが。
「可愛いですわw?」
美羽は楽しそうだ。
「ありがとーw♪ YEEEEw♪」
海も嬉しそうだった。
其れよりも召喚だが。
「バトルモンスターズ」というカードゲームは
基本、どの札でも
モンスターとしても技としても使える事に成っている。
基本というのは例外も有るという事だが。
兎に角、
召喚モンスターはゲーム開始時に出して
ゲーム中は変更出来ない。
向かい合う相手から見て正面に、
横表示で出す。
其れだけに札は先ず裏向きに出して
皆が揃ってから表返すのだ。
其れぞれの召喚モンスターは。
美羽、海が三体で。
陣は二体であった。
「……!」
陣は。 何も言わない。
が、確かにピクリとは反応した。
「じゃあ開示、だな!」
札を表返すのは
モンスターが二体の陣が一番早い。
「「海の殺し屋シャチ」!
其して「古代翼竜プテラ」!」
陣の召喚モンスター
海の殺し屋シャチ 属性:水4 技:オルカアタック
命中 火4≧土2 威力 水6/風3
古代翼竜プテラ 属性:風4 技:裂空の顎門
命中 風5>土2 威力 水4/火4
「コロシヤ? シャチ可愛いじゃん!」
海が陣の召喚モンスターにケチを付ける。
「いや先ずカードオープンしろよ……!」
陣は頭を抱える。
が、解説はする。
「シャチはヒトを襲おうとはしないがな?
海じゃあ天敵が居ない
恐ろしい肉食獣なんだ!
「オルカアタック」ってのはな!
勢い付いて上陸して
アシカやペンギンに食らい付く攻撃だ!
襲われる側からしたら
まるで恐怖映画の現実化だろうよ?」
「おー……!
『ジョーズ』みたいな?」
海は感心しきりだが。
「いや悪い。
俺、映画の実物は知らないんだ」
「映画観ないの?」
「貧乏だからなっ!」
「あははははははw!!
陣ビンボーなんだw?」
海はバカ笑いしたが。
「親が馬鹿過ぎてなっ!」
「あ……!
ご免……」
事情を聞くとしおらしく成る。
海にも思う所が有りそうだ。
次に表返したのは美羽だ。
「わたくしは!
「幻想巨鳥ロック」
「飛空怪獣ワイバーン」
「猛禽の王者イーグル」ですわ!」
美羽の召喚モンスター
幻想巨鳥ロック 属性:風5 技:蹂躙の爪
命中 土5≧水3 威力 風6/火4
飛空怪獣ワイバーン 属性:風4 技:毒針の尾
命中 土4≧風5 威力 火4/水2
猛禽の王者イーグル 属性:風3 技:荒鷲の爪
命中 風5>水2 威力 土3/火2
「……」
陣は微妙に反応したが
やはり何も言わない。
「言って下さい」
「……え?」
陣は戸惑うが。
美羽が
陣の反応に気付いていたのだ。
「何か思ったのなら
仰って下さい」
「えー……?
怒らないか?」
やはり陣は渋るが。
「善処しますわw!」
「怒る気満々じゃねえかっ?!」
美羽の返事は
少々理不尽そう、だったのだ。
「感情はままならないものですわw?
なら。
先の事を断言する方が
不誠実ではなくてw?」
「あー……
其う、なのか……?」
陣は納得していない様子だが。
「あー……!
先ず!
構築が偏ってんな?
と思って、な?」
不承不承ながら
陣は言い出す。
「個性が出ているという事ですわねw!」
美羽はあっけらかんとしていた。
「其れから?」
しかし抜け目なく更に訊く。
「……俺は、だが。
本命は出来るだけ
右に置いた方が良いと思う」
「ああ……w!
弱い子を盾にする、
という事ですわねw?」
美羽は察しが良い様だった。
「まあ……其ういう事だな?」
「わたくしはw!
出来るだけ長くみんなで戦いたいのですわw!
だから丈夫な子程左なのですw!
陣さんだって其うなのではなくてw?」
「まあ……其う、か?」
少なくとも
美羽にも考えは有っての事の様だった。
陣にも当て嵌まるかは疑問だが。
陣の召喚モンスターはウェイトは同じであり、
能力配分は
シャチの方が偏りが有る。
絵的にはシャチの方が頑丈そうではあるが。
数字的には穴が多いと言えよう。
各カードのデータだが。
「属性」に付いている数字が「ウェイト」である。
此のゲームは
召喚士がモンスターを使役するという設定なので
重い程使い難いという事に成る。
其してカードを技として使った場合の
命中と回避、威力と耐久力の判定値には
必ず四つの属性が使われており、
モンスターとして使った場合の能力値、活力も兼ねる。
活力は戦い続けられる力で、
HPと言った方が通りが良いであろうか。
此のゲームでは四つのHPのどれが0に成っても
其のモンスターは倒れた、という事に成る。
故に。
判定値のどれか一つにでも0が有れば
其のカードはモンスターとしては使えないという事に成る。
「じゃあ愈々あたしだなw♪」
海は陣に絡んでいた故か。
開示が最後に成る。
「先ずはペンギーンw♪
其してワニw♪」
此処で。
陣は、ほう? と目を見開く。 のだが。
「最後はっw♪
リビアたーん♡ メルビレイっっw♪」
「一寸待てえええええええええええええいっっ!!」
三体目の開示には盛大に突っ込んだ。
「何が一寸待つのですw?」
美羽も疑問を呈するが。
兎に角
海が召喚したモンスターは。
海の召喚モンスター
人鳥コウテイペンギン 属性:水4 技:水中飛行
命中 風3≧火3 威力 土4/水5
死の顎門イリエワニ 属性:水4 技:デスロール
命中 火3≧風2 威力 水6/土4
リビアタンメルビレイ 属性:水5 技:デスファング
命中 土4≧風3 威力 水6/火5
であった。