第30札 足掛かりを求めて
トレーディングカードゲーム「バトルモンスターズ」の
大会に向けて。
カードゲームの作者である神威覇征抖は
特に何も言ってはいないが。
宙宇基陣と美羽、海は自発的に人材発掘をする事にした。
集められた子ども達……
未成年なので間違いではなかろうが。 子ども達は。
陣、美羽、海以外は皆バラバラのまま、
の様であった。
「一寸君! 聞いてくれないか?」
「爆発しろ!」
「えーっと……君は?」
「爆発しろおっっ!!」
陣が。 声を掛ける者皆
即座に其んな反応をした。
「……俺。
ヒト付き合いが下手な自覚は有るが……!
幾ら何でもコレは何なんだ……?」
流石に陣も落ち込むが。
美羽が笑みを浮かべ。
何でもない風に言う。
「皆さん下衆ですわねえw?」
「何言っちゃってんのおぉお?!」
陣が即座に突っ込むが。
「爆発と言えば決まっているではありませんかw!」
美羽は分かっている様だが。
「戦隊もの?」
陣は本気で其う返す。
「ぶわははははははっっw!!
陣!! ソレサイコーっwww!!」
海には大ウケしたが。
「何が可笑しいんだよ!」
陣は苦々し気だった。
「「リア充爆発しろ」は
最早決まり文句ですわw?
リア充……
リアルが充実、ですわねw?」
美羽が正解を言うが。
「はあ?
何かしらの困難を背負っている者の集まりだよな?
コレ!」
陣には通じていなかった。
なのでもう
此れ以上は其れには触れず。
「陣さんが勝った方を足掛かりにしては如何ですw?
此のままでは埒が明きませんしw」
と美羽は提案する。
「……だなあ……!」
陣も途方に暮れていた。
「君! 聞いてくれ!」
「又来たなあっ?!」
やはり嫌がられたが。
「君だって勝ちたいだろう?!」
「当たり前だあっ!」
此の反応を脈有りと見て。
陣は粘る。
「此処はっ!! 神威が集めた者達の場所だ!」
神威がカードゲームの大会の選手を集めた居住空間。
海外の高層建築物のフロアである。
貸し切りか建物自体が所有物かは判らないが。
「詰まり!
神威に見限られたら
今の生活を続けられないんだぞ?」
「なっ何だよ其れ?! 脅しか?!」
未だ相手の反応は芳しくないが。
「だから聞け!!
神威は言ったんだ! 「外人選手には勝たれたくない」!
詰まり!
此処のみんなが少なくとも外人選手と当たったら勝つ!!
ってのが最低条件だ!!
いがみ合っている場合じゃあないんだよっ!!」
「お……おう……!」
やっと。 相手の雰囲気が少し解れたか。
「君だって!
元の生活には戻りたくもない困難が有るんだろう?!」
「お、おう。 まあな」
「因みにっ!
俺の家は親がバカで生活が破綻していたんだ!!」
「そ……其うか……!」
陣は一気に。
内情をぶちまける。
「少なくとも!
共に高め合える関係を築こうじゃあないか!
手間を掛け合おうと迄は言わないんだ!
悪い事じゃあないだろう?」
「そっ其うかな?」
「熱い友情ですわねえ……w!」
「コレってホモとどう違うんだ?」
美羽と海が好きに何かを言っているが。
「外野は気にしなくて良い!!
手間は掛けない!! と、言っている!! だろう?」
陣は力を込めて言う。
予防線、であった。
相手は実際引き攣った顔で
美羽、海に目を遣っている。
「俺だって困っているんだよ!
」
陣はボソリと言うが。
「あらあw?
陣さんやっぱり男の方同士が良いのかしらあw?」
美羽は耳聡く聞き付けたか? な反応をし。
「うーんやっぱり同じだよなあ?」
海には男は皆嫌がるであろう思われ方をされる。
やはり相手は顔が引き攣っているが。
陣はもっと押す。
「安心した! 君は正常だ!
カードゲーム、だけ!! の話をしていこうじゃあないか!」
「あ……ああ……!」
相手は不安そうだが。
陣と相手はゲーム用の卓に着く。
「さっきは名乗っていなかったか?
俺は陣! 宙宇基陣だ!」
「おれは……」
相手は口篭る。
「……又。 負けなきゃいけないのか?」
等と気にしていた様だ。
「ああ……別に勝負は無しでも。
構築の話でも出来れば」
陣には其れで充分なのであった。
が。
「けど具体例が無きゃあピンとこないよな?」
等と相手が言い。
今度は陣が引き攣った。
「陣さんw! 其の方もう見捨ててしまいませんw?」
美羽は目が笑っていない。
其して陣は言う。
「海! ……勝負してやってくれ!」
「おー? あたし大活躍か?」
「あーうん。 大活躍だな」
もう陣はあからさまに子ども騙しな言い様だが。
「やったー♪ あたしスゴいなっ♪」
海ははしゃぐ。
が、相手は。
「お前っ! オンナノコと名前で呼び合う関係なのかっ?!」
と叫ぶ。
「面倒くせえなっ?!」
流石に陣も
もう嫌そうだった。
だがみんなで勝てる様に成ろうというのは
陣が言い出しっぺだからか。
諦めずに段取りを組んでゆく。
「君の名前を未だ聞いていないな?」
「おれ?
黒星連也!!」
ぶっほっっ
陣は噴いた。
「どうしたんだよ?」
黒星は訝し気だ。
「いっいやっ……w!
何でもないっっw!」
陣は取り繕っているが。
何か可笑しそうだ。
「おー♪ クロボシって某アニメに居た!
此んな所で会えるとはなっw!」
「そっ其うか?」
海が何やら言うと
黒星は頬を染める。
女子と話す、だけで
過敏に意識する年頃の様だ。
「くっ……黒星は先ずっw!
構築するか? 勝負してからにするか……w?」
陣は笑いを堪えるのに苦労している様だが。
「先ずはオンナノコに
おれの実力を見せてやるぜっ!」
「ぶふーっっw!」
黒星の言い様にやはり噴き出す。
「何が可笑しいんだよ?」
「いやw!
黒星は海と勝負してから話に応じるんだなw?」
「おう!」
陣は黒星に確認して。
「じゃあ俺は……!
……審判でもやるか?」
と提案する。
「オンナノコに贔屓しないだろうな?」
黒星は陣を疑う。
が。
「だったら自分でも計算すれば良いだろう?
大事なことだしな?」
陣はあっさりと流し。
海がゲーム卓に着く。
其して。
子ども達のお付きの成人女性が
其れぞれの札を切り。
黒星対海の勝負が始まる!
「「サ」ー「モン!!」」
「サモン」とは「召還」の事だが。
余分に「サ」を伸ばして言ったのは海だ。
基本ルールでは
山札は各プレイヤーが69枚所持し
最初に手札を九枚引く。
其処から。
召還するモンスターを一体から三体迄任意に選ぶのだ。
が。
「……!」
陣は顔を顰め息を吐く。
黒星と海は。
三体ずつ召還していた。
陣は顔を顰めるのだから。
其れを勧めてはいないのだが。
海は一向に言う事を聞かないし。
黒星には元々
陣は助言していなかった。
「何だよ?」
黒星は陣に不満気だが。
「いや俺は今審判だからな。
余分な事は言わない!」
という事で。
プレイヤー二人は
モンスターカードを開示する。
海は幼気に元気に。
早速開く。
「美羽に貰ったペリカン
陣に貰ったティラン!
其して!!
あたしのイルカだあっw!」
海の召還モンスター
遠尾爬虫人類ティラン 属性:火4 技:テイルウィップ
命中 風3≧水4 威力 火5/土3
海豚ハンドウイルカ 属性:水4 技:ドルフィンジャンプ
命中 風5≧土2 威力 水6/火2
ハイイロペリカン 属性:風4 技:咽喉嚢
命中 風5>火3 威力 水4/土3
「あたしは
美羽と陣に囲まれてニコニコだ!」
海が何か言っているが。
「何言っているんだろうな?」
陣は呆れ。
「くっそ宙宇基っっ!!
やっぱり
オンナノコと名前を呼び合う仲なんじゃあねえかよっっ!!」
黒星は迚も悔しそうだった。
其ういう年頃な様であった。
「……」
陣にはもう言葉は無いが。
本当に。 嫌そうに顔を引き攣らせた。
「ほらw! 男の方って。
下衆ばかりでしょうw?
「リア充」ってどういう事だか。
お分かり頂けたかしらw?」
美羽が。
陣の背後からボソリと言う。
一見柔やかな様だが
陣は背筋を凍らせた。
大規模工事を致しました……!
いや結果を見ると大した事なさそうだなあ?(汗)
えっとねw?
「ホオジロザメ」の能力値をねw!
変えました!
「シャチ」とダブっちゃうからっ!(泣)
手間は掛かったんだよー……!(泣)
けど中々良さ気な能力値に成ったのでは? なんて。
サメがな!
ワシ! トリのワシに狩られていた動画が有ってな!
小さかったのだろうけど!
という訳で
サメは風属性に弱く成った!
シャチはワシには無理だろうから!
区別出来たのではないかな! とw!
という事でw! 又次話でw!