第24札 第四ターンの攻防
「バトルモンスターズ」というカードゲームでの。
宙宇基陣の美羽、海との三つ巴戦は。
第四ターンに至った。
此処で陣はシャチに出した手札を横表示に。
此れは戦術カードを変更するという意思表示だ。
出した手札を新たな戦術カードとし。
今迄戦術カードだった札を行動カードとするのだ。
戦術を急に替えても一瞬影響が残る
という此のカードゲームでの表現である。
美羽の召還モンスター
幻想巨鳥ロック 属性:風5 技:蹂躙の爪
命中 土5≧水3 威力 風6/火4
飛空怪獣ワイバーン 属性:風4 技:毒針の尾
命中 土4≧風5 威力 火4/水2
猛禽の王者イーグル 属性:風3 技:荒鷲の爪
命中 風5>水2 威力 土3/火2
ロックの変更行動カード
鉄拳爬虫人類キーパ 属性:土4 技:正拳逆突き
命中 火4≧水3 威力 土5/風3
ワイバーンの戦術カード
高速に羽撃くハチドリ 属性:風1 技:ホバリング飛翔
命中 土1≧風3 威力 水1/火1
イーグルの戦術カード
巨大蜻蛉メガネウラ 属性:風2 技:横開きの顎門
命中 風4>水2 威力 火2/土1
海の召還モンスター
人鳥コウテイペンギン 属性:水4 技:水中飛行
命中 風3≧火3 威力 土4/水5
死の顎門イリエワニ 属性:水4 技:デスロール
命中 火3≧風2 威力 水6/土4
リビアタンメルビレイ 属性:水5 技:デスファング
命中 土4≧風3 威力 水6/火5
コウテイペンギンの変更行動カード
群体海月カツオノエボシ 属性:水3 技:毒の触手
命中 火4≧風1 威力 水6/土1
イリエワニの変更行動カード
刺突突進魚ダーツ 属性:水2 技:ニードルスピアー
命中 火2≧風1 威力 水5/土1
リビアタンメルビレイの変更行動カード
海星ヒトデ 属性:水2 技:自己再生
命中 土1≧風1 威力 火1/水6
コウテイペンギンのダメージ 風1
陣の召還モンスター
海の殺し屋シャチ 属性:水4 技:オルカアタック
命中 火4≧土2 威力 水6/風3
古代翼竜プテラ 属性:風4 技:裂空の顎門
命中 風5>土2 威力 水4/火4
シャチの変更行動カード
凶暴針毛獣ヤマアラシ 属性:火3 技:毛針
命中 火5>水2 威力 土3/風2
プテラの戦術カード
闇に眼光るヤマネコ 属性:火2 技:ダークスラッシュ
命中 風2≧水2 威力 火3/土2
プテラのダメージ 水1
愈々札の開示だが。
召還モンスターが二体の陣が早い。
シャチの変更戦術カード
‐ 属性:火1 技:燃え上がる熱意
命中 風0≧水0 威力 火6/土0
プテラの行動カード
闇に眼光るヤマネコ 属性:火2 技:ダークスラッシュ
命中 風2≧水2 威力 火3/土2
「! 其れが……!
能力値一つだけ6で
後は0、の札ですかっ……!」
美羽が戦く。
というのも、其ういう札は少しだが珍しいらしいからだ。
少しと言っても
札を買って揃える者には厳しい、という位だが。
「ああw!
今迄燻っていた分攻めさせて貰うぜw?(笑)」
陣は不敵に笑う。
次に美羽の札だが。
ロックの変更戦術カード
殺人蜂キラービー 属性:風1 技:毒針
命中 土1≧水1 威力 風3/火1
ワイバーンの行動カード
樹上のテン 属性:土3 技:うねり寄る牙
命中 風3≧火2 威力 土4/水3
イーグルの行動カード
太陽の遣いヤタガラス 属性:風6 技:黒き焔
命中 火6≧水4 威力 風6/土5
「なー? 何で美羽は
「土」のカードをちょこちょこ持ってんだ?」
海が素朴な感じに疑問を呈すると。
「「風」のモンスターは大体
「火」属性が苦手な様に出来ているからだw!(笑)
「火」属性に対抗するには「土」属性の攻撃! なんだなw!」
陣が即座に答え。
「……!」
美羽が悔しそうにするが。
「うーん? ムズカしいな?
カードには名前と技と。
後は文字と数字がちょこちょこしかないのに
フクザツだな?」
海には話が伝わっているのかは微妙であった。
「……ああ。
其の点「水」で統一する構築は
考えるのが楽そうだな?」
陣はもう疲れた感じで続ける。
「おお♪ 其うかw?」
海は
褒められたと思ってか声が弾むが。
「陣さん海さんを貶していますわねw!」
美羽が一言差し込み。
「何だとおお?!」
海が激高する。
美羽こそ海をおちょくっている感が有るので。
陣は本当に嫌そうな顔をするが。
此の場は陣が悪者と成って終わってしまった。
実際。
「水」属性のダメージは相手の「水」判定値を減らすので。
比較的計算が単純なのであった。
「水」属性は「水」属性だけで完結しているという事だ。
対して
「土」「火」「風」は相性も考えなければ成らないし
ダメージが減らす判定値も同じ属性ではなく
有利な相性の属性なのでより複雑なのだ。
兎も角。
「うおおお! 許さん!
食らえ陣! セイギのどとーの攻撃!」
海は何やら
盛り上がった感じに言いつつ。
場に出した札を捲る。
コウテイペンギンの変更戦術カード
水底の顎門イソギンチャク属性:水2 技:毒の触手
命中 火1≧風1 威力 水6/土1
イリエワニの変更戦術カード
人鳥コウテイペンギン 属性:水4 技:水中飛行
命中 風3≧火3 威力 土4/水5
リビアタンメルビレイの変更戦術カード
海豚ハンドウイルカ 属性:水4 技:ドルフィンジャンプ
命中 風5≧土2 威力 水6/火2
陣は。 海の札を見て驚愕する。
美羽が言う程陣は海を侮っていた訳ではないのだが。
無茶苦茶にしか見えない海の手が。
結果は陣にとってやり難く成っているかの様であったから。
何故なら攻撃順はモンスターカードと行動カードの
ウェイトの合計値が少ない順であり。
例えダメージが残留しなくとも
命中すれば判定に影響するからだ。
何はともあれ。
札が出揃えば後は計算して判定だ。
攻撃するモンスターとウェイトは其れぞれ。
モンスター 行動カード
ロック 風5 土4
ワイバーン 風4 土3
コウテイペンギン 水4 水3
イリエワニ 水4 水2
リビアタンメルビレイ 水5 水2
シャチ 水4 火3
プテラ 風4 火2
拠って
先ずはイリエワニとプテラの同時攻撃。
次に
ワイバーン、コウテイペンギン、リビアタンメルビレイ、シャチ
の同時攻撃が有って。
最後、一拍置いてロック、と成る。
という訳で
イリエワニとプテラの攻撃は其れぞれ。
イリエワニの攻撃 「水」属性
命中 火8≧風6 威力 水16/土9
足す相手の行動カード 引くダメージ
プテラの攻撃 「火」属性
命中 風9≧水8 威力 火10/土6
足す相手の行動カード 引くダメージ
対象 イリエワニの攻撃 プテラの攻撃
ロック 12≧9 19/14 12≧92/11 14/11
ワイバーン 10≧9 19/13 12≧92/11 12/10
イーグル 14≧12 20/14 15≧103/11 16/11
コウテイペンギン ‐ 10<125/11 14/7
イリエワニ ‐ 10<114/11 12/7
リビアタンメルビレイ ‐ 10<125/11 11/7
シャチ 13≧8 12/9 ‐
プテラ 11≧8 18/11 ‐
「……くっ!」
陣は呻く。
イリエワニの攻撃が。
シャチに残留ダメージを与える事が確定したからだ。
対してプテラの攻撃は海の召還モンスターには当たらない。
今回のプテラの「火」属性の攻撃は
元々「水」属性のモンスターには当たらなかったであろうが。
其れにしても
イリエワニがプテラと同時攻撃するに至ったのは
海の無茶苦茶にしか見えない行動の結果であった。
度肝を抜かれた
と言ってもよかった。
此れが、海が戦術カードを変更しないのであれば。
未だ対応出来るかも知れない隙は有ったのだ。
陣は。
常識で測れない相手の恐ろしさを噛み締めていた。
が。
怯んでいる場合ではない。
プテラの攻撃は
美羽の召還モンスターにはみんなに当たるので
判定しなくては成らない。
命中の式を通分すれば。
対象 命中
ロック 132/11≧92/11
ワイバーン 132/11≧92/11
イーグル 165/11≧103/11
であった。
詰まり。
「どう成るのかしら?」
美羽が最早
陣に訊くのが当然とばかりに疑問を口にする。
札は開示してあるので
自力でも計算は出来るが。
陣は流暢に結果を言う。
「先ず順番は。
イリエワニとプテラが同時に攻撃、で始まるな。
モンスターカードと行動カードの
ウェイトの合計値が少ない順だ。 分かるよな?」
確認も怠らない。
聞き返されない為にだが。
「うぇいとが少ないってのは軽いって事なんだなw!
だから速いんだなw!」
海が言う。 理解はした様だ。
当たり前な事しか言っていないのだが。
「イリエワニの攻撃は。
シャチに残留ダメージを与える!」
「おーっしw♪」
陣の言葉に
海が快哉を上げる。
凄く失礼なのだが。
しかし陣は
もう割り切ったかの様に
構わず続ける。
「のだが! 全員に命中していて!
……ワイバーンとイーグルが絶体絶命だな!」
「えっ?!」
今度は美羽が狼狽える。
未だ自力では計算出来ていない様だ。
「残留ダメージは一体に1、だけだから
此のターンを乗り切れば残らないんだが……!
いや乗り切れなくないか?
未だ計算していないが」
「何とかして下さい陣さん!」
「何で俺が?!」
美羽が無茶を言い出すが。
「因みにプテラの攻撃は。
イーグルに残留で、命中はロックとワイバーンも、だから」
「何て事してくれるんですっ?!」
「仕様がないだろう?!」
もう美羽は叫んでしまうが。
此のゲームではダメージが残留する目標は
判定に因って決まるのであって
プレイヤーは選べないのだ。
「……次の順番を進めるぞ?」
陣は恐る恐る続けるが。
もう開示した札を計算するだけなので
結果は既に出ているのであった。
2021/11/02
修正が発生致しました!
プテラの攻撃判定です!
「水」残留ダメージ1が計算に入っていませんでした!
修正しても結果は変わりませんでしたが!(泣)
修正は「回避」が減るのですね!
詰まり当たり易く成ったのですが!
結果は同じ!!
でした!(笑?)
ダメージが有ると命中が上がるって面白いですね!(笑)
現実には……
疲れ果てると体が自然に無駄のない動きをする!
だから疲れ果てる迄運動し続けるんだ!! とか
昭和頃言われていそうだけど
令和では猛バッシングされそうなスポ根な話が!(笑)
おっと!(笑)
訂正してお詫び申し上げます!