第9札 晩餐
壁の一面がガラス張りの窓、といった高層建築物の一室。
というよりワンフロアぶち抜きの空間。
窓から遠い側の壁には
ビュッフェ形式という様な数々の料理が並ぶ。
但し。
盛り付け係とでもいう様な
コック服の男達が料理の前に並び。
各自が自由に装える風ではない。
コック服の男達よりも更に前に。
両脇に護衛かSPかという様な
黒服の男達を侍らせた。
腕組みをした偉そうな少年が口を開く。
「くっくっくw!
オレは堅苦しいのは嫌いだw!」
少年の口調は。
堅苦しい、というのとは確かに違うものの。
其の場の者達から
総突っ込みを貰いそうなものであったが。
突っ込むに突っ込めない様な。
威厳? らしきものが有った。
「「腹が減っては軍は出来ぬ」と言うw!
好きに飲み食いすると良い!
だが!
勘違いする奴が居るから言わねば成らんが
「好きに食え」というのは
「ザマ悪くして良い」という訳ではないからなw?」
「神威いいい!」
偉そうな少年に向かって
挙手する少年が。
「何だw? 宙宇基w!」
偉そうな少年、神威覇征抖は
可笑しそうに応じる。
此処で周囲がざわめく。
神威は大勢を前に語っており。
挙手した少年、宙宇基陣は
大勢の内の一人であった。
其の大勢は。
未成年の者達とパンツスーツの成人女性が半々であった。
未成年の者一人にパンツスーツの女性が一人付いている、
という構成だ。
「こっ……此の集団は何なんだ?!」
集団の一員である所の陣が言う。
「くっくっくw!
不幸な身の上なのが
宙宇基一人だとでも思っていたのかw?」
「いや! 其んな事は思っていないが!」
「皆が負けられない理由が有る、
という事だなw?」
「……分かった!」
神威は更に皆に向けて言う。
「まあ態々海外で大会を催して
此う言うのも何だがw!
外人風情にでかい面させたくない訳だw!
実力で文句なくぶちのめせw!」
「良い性格しているなあ……!(笑)」
陣のみが神威に合の手を入れる。
周囲の者達の目には
敵意の光が点るが。
陣は気付かない。
「話が長引くと
皆の恨みを買うのではないかw?
食い物の恨みは恐ろしい、なんてなw?」
「まっさかー!(笑)」
陣は可笑しそうに神威に返すが。
周囲の未成年の者達の目は冷えていた。
「ならば行くぞw?
頂きます! だ!」
神威が腕組みしながら言っても
場は静まり返っていたが。
「……
笑い処なのか? 此処」
と陣が返し。
ぶっ っw! !
笑いを堪え切れなかった者が
多数居た様であった。