〜英雄に憧れた鬼の子〜
お前は何も出来ない!諦めろ。これが俺が呼ばれる前に言われた最後の家族たちからの言葉だった
個性がない?それがどうした。個性があるからその人には存在価値があるのか?それじゃあ個性が無いとか薄いって言われてる人達はどうなのか?そんなことたくさんの人達に聞いたら必ずこう言う、「個性を作ればいいじゃない」っと。正直に言わせて貰おう個性が有ろうが無かろうが人は成り立つ。しかし中身は無いか有るかだけの差だ。俺から言わせてもらえば元は同じだから同じ扱いしろよっとなる。そう言うと周りは「見てるじゃないか?」「おかしな事を言うね」ばかりだ。自分達が出来てるとでも言いたいようだね。出来てないから言ってるんだよ。そう、俺はこの世の中に苛立ちがあるとすれば、平等や平和はないのだから諦めなよ。君たちの今が平和であるから。
俺は秋黒。秋黒飛鳥。名前からして恥ずかしいのだがそんなのは気にしないようにしてる。俺には兄弟と言える人達がいるのだが血が繋がったのは姉のみ。従兄弟は全員で4人。姉と俺を合わせてよく遊んでいたため6人兄弟だと思われていた。そんな思い出ははるか遠く、彼方さえ超えそうなぐらい前の話だ。子供の頃はみんなで仲良くだった。しかし、全員が小学生の真ん中ぐらいになるとだ、親は変わる。そう、他の人や兄弟達と比べることだ。1番辛いのは姉はできるのに、あの子はできるのにと目の前で聞こえるように言ってくることだ。
ところでなんで俺がこんなことを考えたり話したりしてるかって?それはもちろん。目の前で知らない王様がやっとの思いで勇者が召喚できたやら賛辞だが知らないが話してる間に落ち着きを取り戻すためだ。話が長いんだよ。朝礼や全校集会とかで話す校長かよ。同じことの繰り返しって嫌いだな〜。
「ところで勇者様。お名前とステータスを教えてください。」
何だこの金髪に金色の歯に金色の髭。全部が全部金色だ。コガネムシかよ。名前か〜偽名でも使うか?でもステータスってのを見られたらバレるしなー悩む。
「名前はアキクロ、ステータスってどうしたら見れるんだ?あんた達には見えないのか?」っと、不意に思ったように見せて聞いてみた。
「ステータスは本人にしか見れません。しかし透視スキルや鑑定、観察眼というものでしたら分かります。他にはステータスプレートという身分証明書がありますのでそちらでだったら我々でも分かります。ちなみに私の横にいるこの男は鑑定を持っています。」
なるほど。嘘はつけないからちゃんと答えろって事かな?多分だがもうこっちのステータスを見てるのかな?偽装出来そうならちゃっちゃとやりたいなー。
ー偽装完了しましたー
?完了しました?どゆこと?
ステータスオープンっと心で言ってみると2つのステータスが現れた横には偽と書かれたもの。もうひとつは真と書かれたものが出てきた。何何?偽のほうは勇者らしいステータスだな。それに比べて真ときたらなにこれ?破壊神かよ。筋力SS?瞬発力LS?ほかのもLSやSSSとSSしか見当たらないのだが?スキルに偽装がある。なるほどさっきのはこういう事ね。筋力の横に攻撃と魔攻撃が書いてあるんだが。軽く殴れば山が消し飛びます!(゜∀。)ワヒャヒャヒャヒャwww。魔攻撃に関しては、我!神をも打ち砕こうぞ!って書いてあるんだけど誰だよ落書きしたやつ。妙に笑わせにきてるな。力の抑制必要不可欠じゃん。迂闊に動けない!飯が食えない!風呂に入れない!トイレに行けない!どうしよう。ヒント、ヒントはどこに。魔力で体を覆い尽くしてクッションのイメージをするか?とりあえず地面を殴ってみるか。
ドッ
軽い音が響いたと思ったら亀裂が走った。あっこれはダメだ、どうしようもないわ。あーてか、どうしてこうなった。
遡ること数時間前
「家を出て一人暮らしはいいな。仕事はキツいが楽だ。気を使わなくて済むから」などと独り言を呟きながらいつも見てる動画サイトを開いていた。
「今日もやってるな。この人でいいのかな?まぁ中身の人は人間だろう。」俺はとある動画サイトで活躍している人の動画を見ていた。性格はおしとやかだがどこか抜けてたりどこかサディスティク気味なところがあって面白い人なのだ。人気もある。
「そういや、最近この声聞いたことあるような。気のせいか?」最近の出来事を思い返してたら大事なことを忘れていた。なんと飯がない!ということで着替えて出ようとしたら床というか地面が消えていた。案の定、俺はそのまま落下した。情けない悲鳴を上げながら落ちる様はよくある異世界もののお決まりみたいに。案の定だった。お決まりのように知らない部屋に知らない国旗、知らないおっさんにばあさん、騎士様がいらっしゃいますよ。なんで呼ばれたの?と考えていたらいつの間にか校長のような長い話になっていた。
さて、逃げますか。なんで勇者って言われないとダメなの?勇者って誰かのために戦って終わればポイッて捨てられるものじゃん。嫌だな。自分の好きな生き方を許されないのは嫌だ。とりあえず断るか。しかし床に作った亀裂を誤魔化さないと。そこで俺は閃いた。断ってもし殺されたり捕まるのならこの建物壊して逃げるか、っと。よし!
「断る!俺は誰かのために手を貸すのはいいが俺が解決するのは間違ってると思うから嫌だ。関係の無い人間巻き込んでそいつに解決させるのは間違っている。だから俺はお前らを助けない。」
あれ?酷い言い方になってないか?でも、あながち間違ってはないはず。
「そうですか。断るというのですか?でも、この状況で断れますか?周りには多くの騎士や魔法使いのものが居ますが。それに勇者様のステータスでは逃げられないと思いますよ。何せレベルが足りてないのですから。」
レベル?それならさっきから勝手に上がってるんだが?1からずっと上がっていくからめんどくさくて気にしてなかったがなんで上がってるんだ?
俺は周りを見回してみたら、さっき殴った床から経験値らしきものを吸っているようだ。なにこれ?赤いぞ。血か?それとも何?
「脅しを使う王様って最悪だな。底が浅くて笑えますね。逃げられないと思うならどうぞ捕まえるなり殺すなりしてくださいな。俺は自分の手を汚してまで人を助けるようなお人好しではないので。」
逃げる用意に入るために少し腰をうかして逃げる構えを取ろうとしたら後ろの扉が開いた。
「お父様、お待ちください。」
そう言って現れたのは、イケメンで金髪な騎士と美人で金髪の姫さんが出てきた。
「勇者様に乱暴はやめてください。彼はいきなりここに呼び出されて困っているのですよ。それも知らずにいきなり民のため、国のため、世界のためと言い戦わせますか?それなりに考えてから仰ってください。」
いい事言うねお二人さん。だけどそんなのが建前だって分かるよ。なんでって?色が汚いからね。
「ありがとうございます。言いたい事の半分を代弁して下さり感謝します。ですが俺はここからいち早く出たいので失礼しまー」
俺は2人の後ろにいた、メイドを見た。その人の目は死んでいた。何かに諦め、誰にも必要とされない。自信がなくなり誰も信じないような目だ。ただ人に会う時や話す時は目を生き生きさせるようにしている人の匂いがする。
この国は腐ってるな。消すか?いや、まだ分からないからさっき言っていた魔王とか言うやつのところに行ってから考えるか。その前にあのメイド攫うか。この国や他のことは一切分からないから逃げるついでに教えて貰おう。
「どうした!何をしている勇者を捕まえよ!」
王様の怒号の中、騎士と魔法使い達は俺を捕らえようと動き出すが遅い。自分のステータスは知っているがどこまで凄いのかは分からない。試すにはもってこいだな。そう思い俺は地面を蹴った。軽くな。軽く蹴ったはずなのだが。いつの間にか俺は扉の前にいた。焦りはした。だが、それより逃げることと、このメイドを攫うことを優先する。
「人質になってもらう。逃げるために付いてきて貰う」
俺は短く、低い声でメイドを担ぐと周りからこんな声が聞こえた。
「そのメイドを人質に?価値がないことを。役立たずのゴミを?殺せ!勇者共々殺してしまえ!」
さっきの王様といい騎士たちと言い何を言っている。殺す?やってみろよ。メイドと共に逃げてやる。俺は壁を思いっきり殴った。するとあらまぁ、大きな爆発音と共にお外が見えますではありませんか。俺は曇り空のしたメイドを担いだまま城を出た。
数時間、足を止めずに逃げていくと知らない国にたどり着いた。知らないのも無理はないがそれよりメイドがぶつぶつ何かを呟いていたな。
「う、吐きそう。気持ち悪い」
あっこれはやったな。俺は急いでメイドを地面に下ろして近くの木の下まで連れていった。良かった。吐瀉物まみれで違う国に入るところだった。だけど一つだけ気になることがある。どうやって入ろうか。とりあえずメイドに聞くか。
「メイドさんよ。あの国に入るにはどうしたらいい?何か見せないとダメなのか?それとも金がいるのか?」
吐瀉物を出し切ったメイドはこっち向いた。涙目なのはさっき吐いたからだろうが睨まれるのは考えてなかった。
「身分証になるステータスプレートか通行証がないと入れません。あの国ですと身分証などがなければお金を払えば入れますが滞在は4日のみ。ステータスプレートはギルドと言われるところで発行できますが最低でも2日はかかります。試験があり、それをクリアすることで手にできます。お金なら私が払えますがどうしますか?」
え?ここまで教えてくれるの?質問内容に合わせて答えるだけかなって思ってたらまさかの全部言ってくれたよ。誰だ役立たずって言ったのは有能じゃん。
「それじゃあ頼みますね。お金は後で返しますよ。ステータスプレートを作れば金策出来ますよね?」
俺はメイドに対して敬意を覚えたので敬語になってしまう。
「出来ますよ。ただし試験に合格して直ぐに発行はされません。翌日に発行されます。職業やスキルが表示されます。偽装を使ってもバレますよ。」
「!?」
俺は驚いた。なんせ俺のスキルには確かに偽装はあるがこのメイドには言っていない。
「なんでわかった。俺はステータスや職業は伝えてないはずでは?」
このメイド要注意だな。
「私は鑑定ができます。あなたの血液さえあればステータスを全部確認できます。これは私のスキルです。血の記憶と言われています。ギルドで作られらステータスプレートはこれと同じです。どうしますか?職業がバレますよ?」
これは悪手だ。ちくしょう。
「でも、ないと困るものだからな。作りはする。まぁここのギルドで発行しよう。バレたらバレたでなんとでもするよ。」
俺は諦めた。バレることより金策を優先している。バレたらその時は知っている人間を殺ればいいだけなのだから。
俺とメイドはメルドハルトという国に入った。この国はとにかくうるさい。お祭り騒ぎのようにうるさかった。うるさいのは苦手だ。それに色が混じりあって辛い。
「メイドさんよ。この国にはサングラス、それか色つきのメガネってあるか?」
「何故そのようなことを?」
「質問を質問で返さないでくれるか?俺には目を少しでも塞がないとダメなんだよ。色々と辛いからな。」
「.........。金策を積まないと難しいですね。」
間はあったが答えてくれた。とりあえずは身分を証明できるものを手に入れるか。
「ギルドってどこでもいいのか?出来れば個人の情報は秘密にしてくれるところにしたいのだが?」
「それなら冒険者ギルドがいいですね。あそこは自由と秘密と平和がもっとうなところですから。」
へぇ〜自由と秘密ね〜。胡散臭いが秘密にして貰えるなら結構だね。
「偽のステータスプレートも作ってくれますよ。それが必要になる場合はギルド長に会って交渉してください。」
「何気に親切なんだな。俺は誘拐犯だぞ?それにしては落ち着いてるな。」