第十七話 武器屋
今回もよろしくお願いします。
「ふん♪ふん♪ふ~ん♪」
アイリは、上期限で鼻歌をしながらサカキと手をつなぎ町を歩いている。
「あの~何か、結婚あっさりでしたね...」
実は、今さっきサカキとアイリは、結婚をしたのだ。結婚っていってもただ紙に名前書いて終わりって感じだった。
「結婚ってやっぱり、バージンロード歩いて神父さんが「誓いますか」とか言って、最後に誓いのキスをすんじゃないですか?」
「別に良いじゃない、結婚できたし。」
「でっ、でも...」
サカキは何か、不満そうな顔を浮かべる。
「もしかして、誓いのキスしたかったの?」
サカキの不満そうな顔の意味に気づいたアイリは、サカキをからかうよに言う。
「えっ、ふぇ!?あっ、いえそんなわけじゃないです!!」
サカキは首まで真っ赤に慌てながら、ごまかそうとする。だが、アイリはサカキをからかい続ける。
「へ~私とキスしたくないの~?」
「しっ、したいです!」
サカキは、正直にしたいと言いアイリの肩を両手でつかみ唇を尖らせアイリの唇に近づける。この反応が予想外だったのかアイリは一瞬戸惑ったが、どうにでもなれというように自分も唇を尖らせサカキとキスしようとするが――――
『うっふん!サカキよ、そういうの見るのは好きだが、時と場をわきまえろ。ほれ、周りを見てみ?』
アルベルトは、少し呆れた感じにサカキを注意する。サカキは、アルベルトの言うとおり周りを見ると、ドン引きしてる人や悔しそうな人様々な人がこっちを冷ややかな目で見る。
『そうです。坊ちゃま、イリア様からマナーはしっかり守れって厳しく言われていたじゃないですか。マナーをちゃんと守らないと天国にいるイリア様が悲しみますよ?』
イリアの言葉にサカキは、少し反省したような顔をする。
『っていうことで、日が暮れちまう前に早く武器屋行こうぜ。』
アルベルト早く武器屋に行きたそうな感じに言う。
「わかった、じゃ行きましょうアイリさん。」
「うん、キスは宿に戻ったらね♪」
「はい!」
サカキとアイリは、手をつなぎながら武器屋に向かった。
☆☆☆☆☆
「グロンクト武器防具店?」
アイリは、片方の眉毛を上げながらいやそうに言う。目の前にはボロイ武器屋看板が今でも落ちそうなボロイ武器屋である。
「早く、入りましょう。」
「お金、いっぱいあるんだしもっと高級な店に行ったほうがいんじゃない?」
「アイリさんはわかっていませんね、ボロイ武器屋だからこそ良い武器があったりすんですよ!」
『そのとおり!サカキよお前はよくわかっている!さすがヒロの子だ。』
「あっそう、まあ私が武器を使うんじゃないし、わかったわ、じゃ早く中に入ろう。」
二人が中に入ろうとした時、アイリは何かにきずきサカキを呼び止める。
「アルベルトさんの武器は、使えないの?そっちの方が強いと思うけど。」
「アルベルトの武器を使うには膨大な魔力が必要なんです。今は全然魔力がないんで使えません。」
「そうなの、じゃ入ろっか。」
二人は、中に入ると外とまったく違う世界だった。武器と防具がきれいに並んでいて、とても見やすい並び方だった。それを見たアイリは、呆然とした顔を浮かべる。それを見たサカキは『だから、言ったでしょ』とドヤ顔をする。
「客か?何が欲しい?」
一人のゴッツイおっさんがサカキに近づいて来た。
「あの~武器がほしいんですが?」
サカキは、少しおっさんにびびりながら言う。サカキは別にゴッツイからびびっているんじゃなく、この前クラン探しをした時にホモが集まるクランに入りかけていたときがトラウマになったらしい。
「獲物は?」
おっさんがサカキにどんな武器を使うのかと訊く。
「片手剣です。」
「そうか、俺様はグロンクトよろしく。」
「よっ、よろしくお願いします。サカキといいます。」
「サカキ?何かどっかで?でそこの美人さんは?」
「え~と、アイリです。サカキ君の妻です。」
アイリが自分はサカキの妻だ!っていうように胸を張りながら言う。
「ハハッ若いのにやるなお前、っていうかどっかで見たことあるような~」
グロンクトは、アイリをどっかで見たことあるようにアイリを見つめる。
「そうですか?多分気のせいですよ。」
「そうか、まあいい。サカキよ、その腰にかけている剣は?」
「これですか?これは亡くなった母からもらった剣なんですけど、残念ながら不良品で鞘が抜けないんでよ。」
サカキは苦笑しながら言う。
「じゃあ、なぜそれを捨てない?」
「母からもらったからですかね。いや僕はこの剣がいつか抜けるって信じているんです。今はまだこの剣に認められていないだけで僕が強くなったら抜けるんじゃないかと思うんです。それにカッコイイですし。」
サカキは、嬉しそうに言いながら自分の刀の柄を撫でる。
「君は、その武器が好きか?」
「あの~良かったら触ってみます?」
「やっ、やめておく!!」
グロンクトの顔はいきなり真っ青になり全力で断ってきた。
「遠慮何ていいですよ?」
「いっ、いやそれがな主以外に武器が触られると嫌がるんだよ。女のようにそいつは、お前の女だ簡単に人に触らせるな。」
グロンクトは、全力でごまかした。きっとサカキの刀について知っているような顔を浮かべていたが、サカキは、それにまったく気づかない。
「お前は、いつかその剣を鞘から抜ける俺様もそう思ってきたよ、その剣が抜けるようになったときすぐに使いなれるように近い形の方が良いな...?ちょっと待ってろ。」
グロンクトはそういい残すと急いで二階に上がり何か持ってすぐに下りてきた。
「これは、極東から仕入れてきた刀っていう剣の種類だ。名前『雲切』持っていけ。」
グロンクトは、サカキに白い刀を渡す。
「あの~値段は?」
「いらん、コイツは、お前にくれてやるコイツもお前になら使われ壊されることが本望だろう。」
「本当にただで良いんですか?僕に壊されることが本望とかちょっと大げさですよ。」
サカキは、苦笑しながらクモギリを鞘から抜く。
「美しい...」
その刀身は銀色で鏡のようにサカキを映す。サカキは、思わず綺麗だと呟いてしまう。サカキは構えを取ると刀身が光を反射し刀身が光っているように見える。
「綺麗だろ、お前のイケメンな顔とお似合いだ。」
「本当にありがとうございます!」
サカキは深く頭を下げ礼を言う。
「いいんだ、気にするな。だが、次は金をもらうぞ、これから行く武器屋ここだけにしろよ、浮気すんじゃないぞ?」
「はい、ここだけにします。」
「その、腕輪はだれからもらったんだ?」
グロンクトは何かに気づいたようにサカキにブレスレットをだれからもらったか訊く。
「父のです。」
「そうか...」
「お前だったのか...コイツをよろしくな。」
グロンクトは、何かを思い出したように微笑みブレスレットに話かけた。サカキは、刀に夢中になっていたためグロンクトの声が聞こえていなかった。
「ほれ、奥さんも男の熱い話に退屈しているから、早く帰れ。」
「はい、ありがとうございました。」
サカキは、もう一度頭を下げ礼を言いアイリと店を出た。
☆☆☆☆☆
「あなた~本当にあげちゃったの?」
「ああ。」
グロンクトは、妻と夕飯を食べながら話している。
「まさか、あいつがヒロの子だったとは...」
「そうなの、私も店に行けば良かった~。きっとヒロに似て良い男よ。」
「ああ、良い男だった。そう言えばお前ヒロに惚れていたよな?」
「それは、昔の話よ。今はあなたにベタ惚れよ。」
「ハハッ、どうせヒロに振られたから俺様に乗り換えただけだろ?」
「ウッ、ヒロはイリアに一筋だったからね、でも今あなたを愛してる。」
「そうか、でもよ、あいつヒロよりデカクなると思うぜ、だってよアイツ妖刀、『吸血刀』を腰にしてたぜ!」
「ブフッ!!」
その言葉にグロンクトの妻は飲んでた酒を噴出した。
「は~?あの、ヴァンピーラを!?」
「そうなんだよ、あの~禍々しい刀はヴァンピーラしかない。」
「じゃ、サカキ君は生きてるの?」
グロンクトの妻は心配そうにグロンクトに訊く。
「あたりまえだ、じゃなきゃ内の店に来れないだろ?」
「まあ、そっか。でも、あの勇者殺しの魔剣が人に持たれて大人しくしてるとはね。」
「ハハッ、懐かしいなその話調子に乗ってた勇者が触った瞬間一滴も残さず血を吸われたんだっけ。」
「そうよ、それだけじゃなく触った人間全員触った瞬間一滴も残らず血を吸われてるのよ、とても恐ろしい伝説の魔剣なのよ。」
「で、もっと凄いのが、イリアからもらったんだってよ。」
「イリアさん、相変わらず凄いね...さすがヒロの惚れた人。」
「でよ、サカキの妻なんだが、何かどっかで見たことあるんだよな~?」
「サカキ君もう妻いるの~!?」
グロンクトの妻は驚きの顔を隠せない。
「あっ、まさか!」
グロンクトは、思い出したようだ。
「おい、ジョゼフさんとこに戻るぞ。」
「何で?」
「滅茶苦茶、面白いのが見れるぞ。」
グロンクトは、嬉しそうにニヤケながらコップに入った酒を飲み干す。
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作品もう一つ投稿するようになりました。題名は『アンデッドでも勇者になれますか?』です。そちらも見ていただけると嬉しいです。