伝説の刀 中編
【登場人物2】
<島津義虎>
島津兄弟の親戚で、勇猛な20歳の青年。義久と並ぶ族長候補。
武勇に優れ、教養も人望も才覚も人情もそれなりにあるのだが、カッとなりやすい。黒い茶筅髷と生き生きとした瞳が特徴。
<島津実久>
義虎の父。現在は心臓を患って入院中。優秀な人物だが、忠良との族長を争いに負けてしまった。息子に願いを託している。
<島津忠次>
穏やかで家族思いの少年。気配りができ、とてもしっかりした性格。
たまに心で兄達につっこみを入れる。黒い茶筅髷と、すこし垂れたかわいい瞳が特徴。植物の研究をしている。18歳。
<島津花蓮>
義久の妻。朗らかで可愛らしく、心優しい女性。黒目がちな瞳と華奢で小柄な体格なので、一見か弱く見えるが、外柔内剛の女性である。料理が得意。25歳。
<島津平梨>
義久の長女。母親似の黒目がちな可愛い瞳が特徴。真っ直ぐな黒髪をポニーテールにしている。母親を良く手伝う、家族思いの少女。年のわりにしっかりしており、髪型も相まって雰囲気は三姉妹で一番義久に似ている。6歳。
<島津玉美>
義久の次女。とても活発な性格で姉妹思い。平梨や寿と同じく母親似の黒目がちな可愛い瞳が特徴。趣味は蹴鞠と歌。真っ直ぐな黒髪をツインテールにしている。4歳。
<島津寿>
三姉妹で一番母親似の、可愛らしい少女。頭が良く、姉思い。玉美と対照的でちょっと達観しているような雰囲気がある。短い髪を頭のてっぺんで結んでいる。髪の毛を結ぶリボン等にこだわるおしゃれな一面も。2歳。
オレンジ色に村が染まるころ。日課のトレーニングを義弘達と終えた義久は少し重い足取りで家に辿り着いた。
「ちちうえおかえりなさい! おつかれさまです」
「ちちうえ、おかえりなさい」
「ちちう、え、おかえ、な、い」
「平梨も、珠美も、寿も、一緒に夕飯を作ったんですよ」
屈託のない笑顔が可愛らしい妻・花蓮。義久はそうか、と頷くと。花蓮、そして三人の娘に微笑んだ。
「楽しみだな」
古代の幼稚園の年長(六歳)、年中(四歳)、来年から幼稚園(二歳)の可愛らしい女の子は、母親にそっくりの可憐で可愛らしい笑顔で微笑む。その中の一人、年中の女の子・玉美は、ぎゅっと義久に抱き着いた。
「あのね、きょう、おたんじょうびかいがあってね、また、いろはうたうたったの」
「そうか」
「あきた。もうちがうのがうたいたい」
「………そうか」
続いて、二歳半くらいの女の子・寿も少しおぼつかない足取りで走って義久のもとへ向かい。義久に抱き留められる。
「ことふき、も」
「うん」
「いろは、うた、いや」
「……ことぶきもか」
いろは歌をメジャーにする! と。ラップ風まで開発した祖父を思い、義久はかすかに心が痛んだ。どうしたものか……と顎に手をあてて、彼は少し考え込む。それを見た平梨は義久のそばに行き、彼の鞄をよいしょ、と持つと。助け船を出した。
「ちちうえ、かばんもちます。わたしは、いろはうた、す……」
少しの沈黙の後、鞄を抱きしめた平梨はちょっと申し訳なさそうにつぶらな目を伏せて言葉を続けた。
「ごめんなさい、すきっていうと……うそになっちゃう。でもきらいじゃないよ!!」
義久は苦笑いしつつも、ありがとう、と平梨の頭を撫でた。……その後。風呂に入ったりごはんを食べたりとくつろいだ彼だったが。勝負を控えて騒めく心はまだ静まらなかった。彼は秘密の部屋へこっそり向かった。
「ちちうえ、いつもこのへやでなにをしているのですか」
いつの間にかつけていた平梨に一瞬びくっとしつつも、義久は落ち着き払って答えた。
「この部屋は特別な部屋なのだ。軽々しく見せるわけにはいかない。だが、お前が大人になった時には、部屋を見せてやろう」
わかった、と素直にうなずいて去る平梨。彼女の背を見て義久は長い息を吐くと、部屋に入ってカギを閉め。反復横飛びを始めた。
「勝てる、勝てない、勝てる、勝てない……」
何回までか決めておかないと意味がないではないか。そう思った彼は部屋の花を一輪取った。
「勝てる、勝てない、勝てる、勝てない、勝てる、勝て……」
彼は思わず花をゴミ箱に投げ入れ。今度は大きなおみくじの箱をがっしゃがっしゃと振る。
『大大凶』
義久は無表情でそれを棚の定位置に戻すと。また無表情で反復横飛びを始めた。無心に飛んでいる内に、だんだんと後ろ向きな心が消え、入れ替わりに家族一人ひとりの顔が浮かんできた。そして、同じく家族の為に戦う、自分より若い青年の顔も。
『これはお前の運命なんだから戦えや!』
そうだ……義虎殿も苦しい状況で戦っているのだ。年長者の上に恵まれた環境にいる自分が逃げてはならぬ。皆の期待に応えられるように戦わねば! ……そう決意した義久はピタッと動きを止め。座禅を組んだ。恒例の一人反省会である。
「そういえば、となりの大友村の人々に今回の競争の準備をしていただくのか……懐かしい」
彼は瞳をとじてぶつぶつと一日の行動と反省点を呟いているうちに、遠い記憶を思い出した。自分と義弘、そして一緒に遊んだ大友村の人々……。島津氏とは遠い遠い親戚ではあるものの、そこ出身でもある花蓮とはそこで出会ったのである。
「高い場所が好きな彼らとはよく木登りをしたものだ……一時期村交が途絶えたが、またこうして……おっと」
彼は両頬を軽く叩くと、再び反省会を始めた。
「朝は予定より三分も寝坊してしまった。昨日は花蓮が天井裏に隠していた日記帳を読んでしまって気まずかったからな……この部屋がそんなに気になるのだろうか」
大したものがあるわけではないのだが……やはり私もだが誰もが人の秘密は気になるものなのだな……部屋をぐるりと見回して、義久は唸った。
2
「父上、忠継、入ります」
義久がまだトレーニングをしている、まだ空が青いころ。義虎はノックをして病室に入り、アイスの入った袋を掲げ。ハキハキとした声と笑顔で父と弟へ話しかけた。
「富裕草の実入りアイスです! すごく体にいいらしいですよ」
「……どうだった?」
父・実久は、少し濁り血走る目で義虎を見上げ。彼の顔を見た義虎は息を呑む。日の光は少しやせた実久の顔の陰影をはっきりと浮かび上がらせ。義虎は思わず声を出しそうになる。だが、彼はそれを抑えて豪快に笑って見せた。
「義久殿はあまりやる気がないようです! 勝てるチャンスはあります!」
「……そうか」
弱弱しく微笑む実久の手を握り、義虎は会議の話をかいつまんで話した。忠継もそれにうまい具合に相槌を入れる。その他にも色々最近の話をすると、実久は安心しきった顔で目を閉じ。義虎はふう、と長い息を吐いた。
「忠継、今日も父上についていてくれてありがとな。帰ろうぜ」
「はい」
病院の外に出た二人は、病院にかかる夕焼けを眩しそうに眼を細めて見上げると。くるりと背を向けて歩き出した。彼らにも取り巻きはいるのだが。今日は人払いをしている。彼らは行きつけのうどん屋の個室に入ると。忠継は天ぷらさぬきうどんと温奴と桜島大根と鮭のスモークのマリネ、安納芋の焼きプリン、義虎は伊勢うどんと梅酒を注文した。
「あ、兄上……体の具合が悪いんですか? 伊勢うどんなんてやわらかすぎて食えねえとかいっつも言っていたのに……そ、それにうどんだけなんて……」
「いや体の具合が悪いってわけじゃねえが……不安なんだ。体力勝負の競争だったら、俺に分があるはずなのになぁ。ぶっちゃけ、義久殿に勝てる気がしねえんだよ」
「義久殿はいつも冷静で落ち着いてますからね」
頷きながら梅酒を注ぐ忠継。義虎はそれを受け取ると、遠い目をして言った。
「すぐにカッとなったり、情報を聞くたびに一喜一憂する俺と違って、義久殿は常に落ち着いて物事を分析している。一度出てきた聖獣は連れて歩かないといけないのか、とか、エサは何をどれくらい必要なのか、とか。めんどくさい質問を口笛でごまかそうとする貴久殿を冷静に追求したりとか。おまけに聖獣が豚って聞いてガッカリする俺を励ます余裕までありやがる」
義久殿はめっちゃ細かいだけっすよ、と言いかけた言葉を飲み込み。忠継は苦笑いした。
「余裕なんですかね。義久殿はあんまり心に余裕がある方に見えません……。あ、心がせまい、という意味ではないです。真面目すぎるというか……頭が固いというか……いえ何でもないです」
「余裕とはまた違うかもしれねーけど、いろんなことが見えてるってことだ」
「兄上だって見えてるじゃないですか」
自分を気遣うように見つめる忠継に、義虎はほろ苦く微笑んだ。
「……ミエミエなんだよ。期待してるとか言ってるけど、俺が駄目になったらすぐに違う奴を探すだけだろ。あいつらが村長に反感を持っている理由も筋は通ってるから、あいつらだけが悪いってわけでもないけどよ。まぁ現実的に考えりゃ優秀な村長達や孫の義久殿には勝てないだろうな。それに万が一勝っても後が大変だ」
「わかっているなら、なんで……」
消化のよい温やっこを小皿によそってさりげなく勧める忠継。義虎は力なく微笑むと天井を見上げた。
「アホだよな……でも俺は、親父を幸せな気分で死なせてやりてーんだ。ずっと忠良殿に負け続けたまま死んじゃうなんてつらいじゃねーか。せめて俺が一矢報いてやりたい……でも……」
その次の言葉を低く、小さく。誰にも聞こえないように。義虎は鼻と口に手を宛ててつぶやいた。
3
三日後の桜島。晴れ。絶好の運動会……競争日和である。
「いらっしゃいいらっしゃい! 黒豚ウインナー、焼きたてだよ!」
「ソースせんべい、今なら五枚おまけするよ!」
「めちゃくちゃおいしい焼きそばだよー!!」
辺りには食べ物の香ばしい匂いが広がり。その匂いから少し離れた地面は、様々な雑貨や服がパズルのように置かれた布で彩られていた。そこからまた少し離れた櫓の周りでは集団で円を描くような踊りが始まり、特設ステージでは応援合戦が始まっている。
「全く……」
妻の康子とあいさつ回りの最中の、貴久作のオシャレ鉢巻きをした義久は。香ばしいソースが底にたまった、割りばし数本入りの容器を見つめ。眉間に皺を寄せた。……神聖な勝負だというのに……これではお祭りではないか。おまけに出店の子供に半ば強引に焼きそばを押し付けられ、結局購入するはめになってしまった……そういう不満が透けて見える義久の肩を、義弘は豪快に笑いながらそっと叩いた。
「兄上がひっかかるのはごもっともでござる。でも今は昔に比べて娯楽は少ないんだから、多めに見てほしいでござるよ! 大友村の人々は木刀を埋める作業等をやって下さった上、身体検査や持ち物検査も手伝って下さるでござる。それに今日は(野次馬でござるが)龍造寺村の人々も見学に来てくれているみたいでござるし、楽しんでって欲しいでござるよ!」
「確かに神聖な勝負なのにお祭り騒ぎなのはどうかとは思いますが、義弘兄上のお考えも一理あるかと存じます。経済効果も見込めますし、親睦を深める行事となるのもよいことかと」
情と理の二方向から説得された義久は、なるほど、と頷いた。
「確かに二人の言う通りだ。私は狭量であったな。……歳久!」
「かわいそうに! いま取ってあげるでござるよ!」
ハンカチを持った手を伸ばそうとした二人の兄から咄嗟に離れ。歳久は大丈夫です、と呟くと、貴久に貰った特殊な布の帽子を見つめて苦笑した。結局、鳥のフンを避ける特訓は無駄に終わってしまった……と。一方義久は、ニコニコ自分を見つめる長女・平梨に気付き。微かに目じりを下げて振り返った。
「ははうえと、やすこおばあさまと、たまみと、ことぶきと、おべんとうをつくりました。みなさんでたべましょう。いっぱいいろんなのつくったんですよ!」
「朝早く起きてご苦労様。ではいただくとしよう。……家久、それは」
リュックからはモナカで掬った、押し花入り透明なゴムボール、かわいい豚や狐のお面がはみ出ており。漆塗りの弁当箱には。せっせと露店で買ったリンゴ飴やらチョコバナナやらクレープやら、貰った焼きそばやらをギッチギチに詰める家久。彼は義久を見上げて問いに答えた。
「義康殿のお話を聞きたいから病院にいこうかなと思います~。チョコバナナとかは食べたことがないと思いますし、お土産にするんです。病院で応援してますから、兄上、頑張ってくださいね」
こないだこっそり行った時、義康殿は元気がなかったし……せめて祭りの雰囲気だけでも味わせてあげたいなぁ…と心で付け足すと。家久は体重をかけて無理矢理弁当箱の蓋をしめる。義久は唸った。
「最上殿を思っての事だとはわかるのだが……食べた事が無いものを食べて、消化不良を起こさないか? ……焼きそばは不安だ。我々は大丈夫だとしても、最上殿は大丈夫なのであろうか」
以前、となりの村祭りで食中毒(カラス肉焼きそばが原因)の騒ぎがあったことを義久は覚えていた。今日の焼きそばは豚肉の上、良く焼いているように見えたから大丈夫だろう、と思いつつも。彼は子供や家久、そして宇宙人で免疫力が不明の義康にも食べさせたくないと考えたのである。だが。
「さっき焼きそばは食べましたけど、へんな味はしませんでしたよ~」
「お、お前、焼きそばは食べるなと言ったではないか!!」
血相を変えた義久に、家久は悪びれず答えた。
「おいしそうだったんでつい食べちゃいました~。店を手伝ってる子もオッサンも食べてるのを見ましたから大丈夫ですよ~。まぁ義康殿のすんでる金星の方がいろいろワイルドみたいですし、今まで食べものでお腹をこわしてないとのことですから。そもそも病院の中におられるんですよ~なんかあっても平気平気! ……義姉上、おかずをちょっとつめて持ってってもいいですか? 義康殿の分だけ」
「家久さん、お優しいですね。義久様の指示で最上殿達の分は病院に届けてもらっていますよ。お昼頃には届くはずです。家久殿の分は今つめちゃいましょう」
「やった! ありがとうございます!」
花蓮はニッコリ微笑むと、テキパキとまんべんなくおかずを弁当箱に詰めて、家久に渡した。おしぼりや水筒もセットである。家久は会釈してお礼を言うと、リュックを背負って病院へ向かった。一方、平梨は花蓮を見上げて言った。
「よしとらさんにももってっていい? たんじょうびにきれいな勾玉もらったからおかえししたい」
「誕生日プレゼントのお返しをするなら、義虎さんが欲しそうなものを、義虎さんのためだけにもっていかなくちゃ。お弁当の残りとか、何かのついでなんてよくないわよ。義虎さんも何かのついでじゃなく、平梨の欲しそうなものをきちんと考えて送ってくれたんだから」
そうだね、と頷いた平梨だったが。通りすがった時に見た義虎の姿が、義久や義弘が偶に持ってくる手負いの虎に思えて、心から離れなかった。おいしいものを食べればみんな元気になる、と思い込んでいる彼女は、弁当箱のほうれん草入り卵焼きを見つめて言った。
「わかった、じゃあおこづかいためて、たんじょうびによしとらさんのすきそうなものをきいておくる ね。……でもなんかよしとらさんちょっとげんきなかったよ。いっつもみかけるときはどうぶつみたいにげんきでうるさいのに。ははうえとおばあちゃんのおいしいりょうりをたべたら、げんきになるかなって……」
「義虎さんを心配してたのね……」
少し困惑した表情の目を合わせる義久夫妻。唸る義弘。義久が一呼吸おいて口を開こうとした瞬間。平梨の妹で次女、玉美は姉と手をつないで言った。
「たまみも、よしとらさん、げんきないとおもた。おいしいものたべたら、げんきでるかも!」
ねーとうなずく平梨と妹の珠美。末っ子の寿も平梨の手をぎゅっと握って、元気よく手を上げた。
「ははう、えと、おばあ、の、ごは、みな、すき!」
義久は中腰になると、黒目がちな愛くるしい瞳で見上げる三人の娘へ諭すように言った。
「これから私と義虎殿は戦うのだ。その戦いが終わった後、どっちが勝っても負けてもスッキリ終わるには、お互いになんにも邪魔をしていない、と思えるようにしなくてはならない。だから、戦う前にはあってはいけないのだ」
え? と首をかしげる三人の娘。どうしたものかと唸る義久達。そんな中、花蓮は小さな花びらのような口を開いた。
「もしわたしたちの作ったお弁当で、義虎さんがおなかをこわしてしまったら、おとうさんを勝たすために私達がなにかやったとおもわれちゃうかもしれないの。義虎さんはそんなにすぐ疑う人じゃないけど、義虎さんを大事に思う人がね。そうでなくても、もし好きなおかずがなかったり、好きな味じゃなかったら義虎さんはがっかりしちゃうでしょう。お父さんはわたしたちがうたがわれることがないように、って考えてくれたのよ。義虎さんにはまたこんど、お弁当を作りましょう。すきなおかずも聞いて」
「せちか、らい、よの、な、か」
意味を知っているのか知らないのか。腕組してそう言う寿。むずかしいことばしっててすごい、と寿を見つめてパチパチ手を叩く姉妹。義久はそんな姉妹を微笑ましく見つめた。
4
琥珀刀争奪競争開始、20分前。義久は、村民会館で義久と義虎二人に前日配られたルールをまた確認していた。
「一、対戦相手を害する行為を禁じる(怪我、殺害、窃盗、脅迫を相手に行った場合、村長候補の資格を剥奪し、村裁判にかける。侮辱も禁止。) 二、一度に持ってきていい木刀は一本まで 三、持ち物は以下の五点のみ許される(スコップ、非常連絡用の格子水晶のペンダント、皆の目の前で詰めた水と非常食入リュック、動物に出会った時用の煙幕、このルールブック)、四、琥珀刀のあたり外れが書かれた札が入った封筒の開封作業は、皆の前でスタッフ(村の重役と大友村のボランティア)が、会場ステージで行う。競技者が開けてはならない。開けた場合は失格である。 五、日没までに戻らないと失格 六、勝負が互角だった場合はまた違う競争を一か月以内に行う 七、くちずさんでいい歌は原則としていろは歌のみ 八、競争する二人(今回は島津義久と島津義虎)のみ、赤い紐が張ってある範囲内(木刀が埋まっている区域)に入れる
九、バナナはおやつにはいりません 十、ゴミは持ち帰ること 十一、動物に出会ったら全速力で逃げろ 十二、家に帰るまでが遠足です 十三、勝っても負けても最後は握手、十四、大友村の皆さんのご協力に感謝しましょう 十五、はちみつはおいしいね 十六、誕生日プレゼントにはいろは歌を 十七、動物に出会った時用の煙幕は相手に対戦相手にぶつけてはいけない、使用する際は非常連絡用の格子水晶をマイクにしてその旨を叫ぶこと 十八、負けた日から三日以内に臣下の礼をとること 十九、宇宙人に出会った場合は連絡すること 二十、あと三十個あるルールをきちんと読むこと 三十……」
「兄上! もうさっさと行くでござるよ!」
「ま、待ってくれ……まだ覚えていない!」
「そうですよ。簡単な身体検査もありますからもう行かないと!」
花蓮達に見送られ。義弘と歳久に担がれて強引に準備ステージに運ばれる義弘。その後。刃物等危険物を持っていないかボディチェックを受けた後、握手を交わした義久と義久は。リュックとスコップを背負ってスタートラインに立った。
「位置について。 チェストー!!」
銅鑼の音の一瞬後に義虎が、それから一歩遅れて義久は走り出した。