戦場
戦争が始まった。男だけではない、魔法を使えるならば女でも、戦場へ向かう。私もそうだ。死にたくない。そんな気持ちで毎日に縋り付くようにして、生きる。
そして今日も、燃え盛る炎を出す。人の焼ける臭いに慣れた。泣いている暇はない。私には、かなわない人なんてたくさんいる。必死で逃げる。ああ、また仲間が倒れた。次は自分の番かと思うと、ろくに眠れない。
辺りが暗くなり、テントに戻った私は、休むことができた。少し肌寒い。するとふわ、とマントがかけられた。幼馴染の兄だ。知っている人と会えるだけで、まだ私は恵まれている。
「大丈夫か。」彼はそう言った。「うん。」私はうつむいて短く答える。嘘だけれど、彼は分かっているだろう。もしここから逃げ出そうとするなら、どんな目にあっても文句は言えない。戦い続けるしかない。
後戻りできない世界に、一つため息をつく。彼はそっと抱き締めてくれた。温い。離れがたくなるから、抱き締め返すことはできないけれども。
「生きろよ。」彼はそう言って見張りへ行った。女だからって同情するのではなく、進むべき道を示してくれる。そんな彼のような人になりたい。
夜が明けてすぐ、私はまた戦いへ向かう。国の為、生きる為などと言って取り繕っても、結局のところ、ひとごろしだ。それでも、私は戦う。他に選択肢は見当たらない。沢山の仲間が、敵が、同じ人間でありながら、殺しあって死んでいく。確かに、私たちの国の勝利は近い。だがそれ程の命を懸けてまで、手にしたいものは私には、分からない。
昼頃には、敵の本拠地へ近づくことができた。誰かが立てた作戦で私は、プラチナブロンドの髪の男と、先陣を切ることになった。戦力としてはまだ弱い、私たちは、きっと死ぬだろう。怖い。でも行くしかない。
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