表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
穢れ神と鬼  作者: 山神賢太郎
7月27日
25/43

7月27日 抱腹絶倒後と式神


 やっとアキラとテトの俺に対して笑うといういじめが終わった。


「すまん、すまん。こんなに笑うとはわしも思っていなかったからの」

「半笑いで言うことかよ」



「これでやっとお主は式神の基本操作を覚えたということじゃ」

「今までは基本操作だったのか。じゃあ更なる式神の能力があるのか」


 俺は期待に胸をふくらませて、わっくわくしていた。


「この式神にはそんな更なる能力はない」

「ないんかい」


「しかし、式神はお主が望む形にすることができるのじゃ」

「望む形か。でも俺が前に出した鬼の式神はめちゃくちゃ、ちっちゃかったんだけど」

「それは、気が足りなかったせいじゃな。鬼なんてものはかなりの気が必要じゃのう」


 それから、テトによる式神講座が始まった。その間アキラさんは、ずっと漫画を読んでいましたよ。



 話が長かったので、簡単にテトの話をまとめようじゃないか。


 俺が最初に出した鬼は、穢れ神が持っていた瘴気が少なかったためあのサイズになってしまっていたのだ。つまりもっと大量の瘴気を吸い込めば、人間サイズの鬼を召喚する事が出来るらしい。



 しかし、そんな量の瘴気を吸ってしまえば、力の制御ができず俺自身が鬼になってしまう。それじゃ諸刃の剣だ。まったくもって意味がない。



 そして、式神が自分の望む形にすることができるというのは、本当になんでも出来るらしいが、それも吸い取った瘴気の量が関係してくる。



 どんな形にでも出来るがやはり、自然な形の方が扱いやすいらしい。俺なら鬼、テトなら猫という風にだ。でも、俺の鬼は気が大量にないと力を発揮できない。そのため、吸い取った瘴気の量が少ない時は、別の形にして召喚をしたほうがいいらしい。



 テトがおすすめしたのは武器の形に式神を召喚したり、攻撃の方法として使う方法だ。

 武器は剣なんかがいいらしい、銃みたいな物にすれば弾を消費する事に気を消費してしまう。



 そういう遠距離攻撃がしたい場合は銃を作るよりも、式札に気を貯めて投げて攻撃する方がいいらしい。そっちの方が武器を作ることに気を消費せずに純粋に攻撃できるかららしい。


 その式札に気を貯めて攻撃するのは瘴気を吸わなくても通常の状態で出せる。まあ、威力は極端に低いが。

 





 さて、テトの式神講習が終わったところで、俺は式神を実際に軽く使うことにしようと思った。



 そして、その練習にはもってこいの標的が台所にいる。そう、あの汚らわしい蟲どものことだ。油虫どめも穢れ神よりも汚れている蟲め。お前らがこの俺の住む家にいるなんて、メチャ許せんよな。



 どうやって、天に召してやろうか。この式札を呪符にして滅してやろうか。それとも、剣に刺して一匹ずつメッタ斬りにしてやろうか。


「義貫。今のお前の顔は正しく鬼の如くだな。まるで般若のようだ」

「いや、ちょっとまて、般若は女だろ」



「別に、今それ関係なくないか」

「ああ」



 アキラのせいで少し、興が醒めたが、まだ俺の心の中の炎は煮えたぎっているぞ。そうだ、義貫。ここで怒らねば奴らを根絶やしにはできやしない。

 

 その時、部屋の扉が

 ―――バタン

 と閉じた。

 

 どうやら、俺が台所の悪魔のことを考えている間にどこかに行っていたテトが帰ってきたらしい。


「お主、そこでなに踏ん張っとるんじゃ。ここはトイレじゃないぞ」

「ああ、別になんでもない。それで、テトどこに行っていたんだ」



「台所の油虫をお主が気になってるとアキラから聞いたからのう。ちと、殺虫剤をまいていきたんじゃ」


「えっ? 」


「じゃから、油虫を退治してきたんじゃ。褒めろ」



 オーマイスイートブラックデーモンズ。俺がお前達を射止めるつもりだったのに。こんな、ブラックキャットにやられるなんて。お前らそれでも黒い彗星かよ。赤いのより三倍早いだろお前らなら。



 そんな床に伏して悔しがっている俺の姿をアキラが鼻で笑いながら見下してた。



 なぜに、思春期の男子の頭の中を覗かれにゃならんのだ。全部筒抜けって、俺にはプライバシーもへったくれもないじゃないか。いや、しかし考えても見ろ。俺はあいつらの姿を見ることなくミッションを達成できたのではないか。まあ、式神の練習にはならなかったが、結果オーライじゃないか。



「なあ、アキラよ。あの怪我人はどこか、頭でも打ったのか? さっきから、怒ったり、悔しがったり、喜んだりと忙しい男だのう」

「テトちゃん。あれは生まれつきだよ」

「そうか、なら仕方がないの、って今度はいつの間にか寝とるし。やはり体内の気を使い過ぎたようじゃな」

 

 俺が眠りに入る前に見たのは、俺に微笑む二人の姿だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ