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DEATHEARTH  作者: 奇逆 白刃
19/93

水の欠片の正体は 3

―くそ、沙流め―

まさかあいつまでもが裏切るとは。あいつならばわたしが思うままに動かせると思ったのに。來に寄せる友情のせいでわたしを裏切った。

でも、まあ良い。どうせあいつらは堕ちた奴らだ。Sunでの生活を有難く思わない、脳味噌しかない奴と、図体ばかり大きい、頭が空の奴。

あいつらはSunを捨てた。しかし、それで良い。居ても邪魔なだけだ。

複数のモニターを見詰める。五、六百人程の、チップを与えた者の生死、行動、感情が映し出されていた。皆、従順で愚かだ。神山やわたしへの憎しみ、裏切りを浮かべず、ただわたしに生かされている。

その頭上のスピーカーからは、魔塗や神山への恨み、憎しみの言葉が伝えられるが、今は沈黙していた。

ふと、思い出した。この間まで毎日の様にそこから吐き出された言葉。

見たくない。神山なんて、人間なんて。

そして、何らかの理由を付けて殺さなければならない裏切り者が載る[ブラックリスト]に十五年間載り続けた名前…來。

それにしても、どうしてあんな奴らがこのSunに住んでいたんだ?わたしが承認してチップを与えたのか?

しばらく自問自答を繰り返し、魔塗は一人、首を振った。

いや、そんな筈は無い。あんな奴ら、Deathにも値しない。そうだ、元々魔界があいつらには相応しい場所だったのだ。

ならば、もう安全だ。わたしの敵となり、闇の住人となって、この世から消えてしまえ…!

手を伸ばし、受話器を取る。繋ぐ先は保健機関内の一室だ。呼出し後直ぐに、男の声がした。

[こちら、保健機関治安実験局脳移植課No,156]

「魔塗だ。責任者は居るか」

[只今、保健機関治安実験局脳造成課No、039に居ます]

「了解した」

一旦受話器を置き、再び取る。繋ぐ先はさっき男の言っていた部屋だ。

[こちら、保健機関治安実験局脳造成課No,039]

「魔塗だ。人工知能の方の造成は進んでいるか」

[大方完成しています。移植段階に進んでいる物は、現在保健機関治安実験局脳移植課に送ってあります]

「サンプルはあるか」

[はい。保健機関市民育成局身体開発課に一つ展示してあります]

「分かった。なるべく早く終了させて欲しい」

[承りました]

コートをはおり、Sun唯一の病院へと向かう。表向きは病院として知られているが、正式名称は保健機関だ。入って直ぐ、左の一角に研究展示区画があり、今回の人工知能も展示してあった。隅々まで調べ、頷く。

満足だ。これで計画はようやく本線に乗る。

支庁にある自分の部屋へと戻る。支庁も、正確に言えば惑星管理機関だが、それを知る者は少ない。再び受話器へと手を伸ばす。今日はやたらと電話に縁がある日だ。

[こちら、惑星管理機関環境保全局地域清掃課No,12]

「魔塗だ。空いている部屋があるか」

[No,53が空いています。來、沙流、歌恋が使っていた部屋ですが]

「構わん。今から向かっても良いか」

[勿論です]

地上三十階から、エレベーターで地下三階へと一気に下りる。普通に働く者は指紋認証と虹彩認証が必要だが、魔塗を含める上層部の数人はノーチェックで通れる。053と書かれた部屋には設備が完璧な状態で整っていた。地図を呼び出す。広い所…周りに迷惑が掛からず、住民に気付かれない所…

あった。F-47、Earthの高山地帯だ。此処ならさすがに誰もいないだろう。もしいれば…捕まえて、後は保健機関治安実験局にでも任せるか。部屋に戻り、受話器を掴む。

[こちら、保健機関治安実験局脳移植科No,156]

「魔塗だ。移植状況は」

[全体終了しました]

「よし、良くやった。今すぐ向かう。F-47だ。何体いる」

[約200体程]

受話器を置き、F-47に向かう。住民福祉機関移動手段開発局輪走行課が新開発した車は、さすがに早く、振動が無い。実に快適だ。保健機関治安実験局の車もほぼ同時に着いた。荷台から200体近くの悪魔が降りてくる。技術士達の手によって人工知能を移植され、わたしに従順な手下達に生まれ変わった悪魔達だ。

「数体山に偵察に行け。残りは性能を調査する」

数体の悪魔が山へ走って行った。魔塗は込み上げて来る勝利の笑いに身を委ねた。



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