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On Your Mark  作者: 紗斗美
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§05.Assault

誤字脱字があればお知らせ下さい。タイトルはAssault 「激しい襲撃」という意味です。

準備を整え、各班毎に点呼を取ると噴射口を両脇に携えた飛行艇に次々と乗り込んでいく。車体は緊急時用のシルバーに塗られた艇体で側面には“POLICE”の文字。隊員の服装は統一しており、下はオレンジ色の機能パンツ、上は内部に防弾チョッキを取り付けたブルーのジャケット。ガスマスクとヘルメットをつければ顔が隠れる為区別がつかない。黄色い手袋を着用しながらトウヤは隣に声を掛ける。

「着替え終わったか?ケンスケ」

「もうちょっと…、よし終わったぞ」

二人は番号の確認を取ると、各々が乗る飛行艇に向かう。銃器を手渡され暫く待った後、出発の合図が出る。操縦士は勿論トウヤであり、席に着くと操縦桿の周りにあるスイッチをいくつか立ち上げる。

「三分後に発車する。各自ベルトの着用をする事」

無線機に向かって言えば艇内にアナウンスが入り、静かに浮き上がった艇は目的地に向かって動き出す。暫くすると地下へと通じる巨大な入口が現れ、前方を行く4号機に続いてスロットルを切る。地下にも“上”と同じような建物が立ち並び、あちらこちらにターミナルロードらしきものが張り巡らされていた。その間を器用に掻い潜ると画面上のセンサーに目的地の印が表示され、トンネルを抜けて目にしたのは一際目立つ謎の塔。聖NOVA'Sと大きく見せているそれは、そこにある建物の存在意義を強調しているかに見える。そして自分達を出迎えるかのように人の眼を模した窓が開かれると緊急用の警報が操縦席にまで届く。まるで敵を出迎えるような“歓迎の挨拶”に向こうも臨戦態勢でいる事は一目瞭然だった。

「突撃を開始する。各自出撃の準備を」

そう告げると大きな衝撃と共に艇は建物の窓に突っ込む。船艇の入口が緩やかに降りていき、先頭から順々に銃器と爆弾を常備した隊員達が駆け出していく。武力鎮圧と言う事もあってか既にあちらこちらでは激しい銃撃戦が繰り広げられていた。ケンスケが最後尾から機関銃を乱射すれば何所からともなく悲鳴やら叫び声が聞こえてくる。もちろん向こうからも銃弾は飛んでくる。側に在った飾り物の鈍器に身を隠しつつ手榴弾を投げ込めば大きな爆発音の後銃撃が収まる。側には祭壇らしき物もあり、爆発と同時に何人かが上から落ちてくる。さらに奥へ奥へと進んでいくとパラパラと人の数が減っていき廊下には無残にも変り果てた死体が横たわっている。心の中で小さく合掌していると、不意に後ろから声がかかる。

「ケンスケ」

「おぅ、なんだトウヤいたのか」

いつの間にか隣を行くトウヤを見つければ心なしか安堵する。そこまで肩に力が入っていたとも思えないが随分と楽に感じた。

「この先に…何かあるな」

「あぁ、俺も今そう思ってたところ」

突入した国総の包囲網から逃げている様にも見えるカルト教団の人間は皆、どこかを目指して移動していた。

「追うか?」

自分よりも僅かに先に進み、壁の影から機関銃を発砲するケンスケに問えば、動かす手を止めない彼はそっけなく返答する。

「あぁ、奴さん…尻尾出しそうだ、ぜ!」

言い切って放り投げた爆弾は眩いばかりの光を放ち、次いで焦臭い臭いを漂わす。廊下を走りながら見つけた部屋には手投げ弾をお見舞する。それまで意識していなかったが、気付けば次で最後の部屋となっていた。

「あれ?ここで最後か?」

トウヤが銃器で乱射撃した部屋にケンスケが再び手榴弾を投げ入れる。

「残るはこの部屋の奥だ。あいつらが言っていた“光”ってのが引っ掛かる」

「確かに」

徐々に煙が晴れ部屋の奥まで進むと、傷一つない鉄の扉の前で静かに息をのむ。

「ここだ」

後から集まった隊員も含め、数名で重い扉を動かせば薄暗い闇が奥まで続いていた。

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