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On Your Mark  作者: 紗斗美
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§01.Instruction

前回の続きです。ここで出てくる人物の紹介をさらっとしたいと思います。

トウヤ(国総登録№08)、ケンスケ(国総登録№11)。動画上、サングラスをかけた方がケンスケになります。トウヤの方は好青年と言った印象を感じます。残りは後程。

ゲートをくぐった先にある巨大なターミナルロード。空に浮かぶように道を延ばすそれは近代的な雰囲気を漂わせ、幾つものパトロール車両は空を飛び交う。その道路を走る車はトウヤとケンスケを乗せたものだけだが。

「今日はやけに騒がしいな。上で何かあったのか?」

「さぁね、上が騒がしいのはいつもの事だろ。あるいは・・・」

言葉を濁すように口を噤んでラジオに目を向けるケンスケを見てトウヤがああと理解し、その先を応える。

「あの声明文か。これじゃあ、今日も休みは無しってか」

ご名答と言わんばかりにケンスケは頷く。

「そうなるな」

付け加えたように発したのはその場の空気を流す為で。

つと視線を車の窓に移せば、巨大な看板が現れる。ここは国総(国家警務総合組織)の入り口付近に位置している。その先に続くトンネルに吸い込まれるように二人を乗せた車が入っていく。一瞬にして暗がりへと変わった景色にパチパチと数回瞬きをすれば暫しして眼が慣れてくる。

「着くぞ」

ケンスケの声で正面に向き直ると大きなエレベーターの側まで来ていた。彼は運転席から僅かに腕を伸ばし、ボタンを操作する。

「オーケー、レバーを引いてくれ」

「分かった」

言われ、トウヤも窓から手を出しレバーを下に下げる。ガシャンと機械質な音を出せば、車体は徐々に上へと昇っていき、目的地に着いた。

周りを覆っていた壁が開くと、すっきりと晴れた青空が広がる。そして二人が見つめるその先には真っ白い指令塔。車から降りると二人でゲートの前に立つ。

『№08、№11認証シマシタ。ゲートガ開キマス。ゴ注意クダサイ』

入口から感情の無いコンピューター音声が聴こえ、次いで閉じていた二つの扉が自動的に開く。そこを通り抜ければ中央の広間につく。

「報告申し上げます。地区03~06区域異常ありませんでした」

声を張り上げ手短に状況を報告すれば、今まで誰もいなかったその場所にジジジッと映像が映し出され幾分歳老いた老人が現れた。

『報告御苦労。次の任務を言い渡す。聖NOVA'Sと名乗る声明文がここへ届いているのは周知の事だろう』

「はい」

『彼等の拠点を見つけ次第報告する事。後の処置は報告後に言い渡す』

「畏まりました」

最後に小さく頷くと映像は霧の様に消えて行った。


場所は変わり、“上”から少し下がった所に位置する国総内部の休憩室。

「まったく今日もホログラムかよ、あのジジイ。いい加減本体が出てくればいいものを」

隣でコーヒーを飲みながら愚痴を零すケンスケを余所にトウヤはパソコンを睨みつけながら答える。

「出てくるはず無いだろう、本体はもう死んでる(いない)とか噂が出てるしな」

画面に映し出されるのは“聖NOVA'S”の文字とそのおぞましい色で飾られたホームページ。赤と黒の独特な背景に蛍光色の文字が不快感を増加させる。

「ケンスケ」

呼び掛けにケンスケがコーヒー缶を机の上に置きトウヤの隣に来る。

「見つかったか?」

「あぁ、ここから南に180キロ、排気ガスの充満する町(イグホースト)の地下にある」

そういうと手元に合った地図に大きくペンで丸を書く。

「なんだ、わりと近いのな」

少し残念そうに言うケンスケをトウヤは溜め息交じりに相打つ。

「近いか?俺には遠いと思うが」

前回よりは近いだろ、と曖昧に返す相棒に僅かに呆れたが何年来の付き合いからかそれが当たり前の様に思える。

「すぐに行く支度をするぞ」

「へいへーい」

残りの中身を飲み干し、掛けてあった上着を取ると自室へと向かった。それを見送ったトウヤもまた上着を羽織って自室へと向かう。この時二人はパソコンの画面に新しい声明文が更新された事に気付く事は無かった。

タイトルは“指令”という意味です。

やっぱり少し短かったです。そして話の進展があまりありませんでした。

次回からもう少し地理的状況も説明を入れて行こうと思います。しかし、文章上そういった技術はあまりない為、難しいかもしれません。それと、サイトで見た所、私の中での設定はトウヤが飛鳥でケンスケがチャゲっぽい感じがします。それでは§01お読み頂き有り難うございます。

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