表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

井戸のなかのカエル

作者: ライトさん
掲載日:2025/12/12

ほんの少し、拙作のカエルの王国を彷彿としてしまいます

 むかしむかしのお話です。


 カエルのトロンボは、ふかい井戸のなかに住んでいました。


 井戸はけっこう大きくて、ときどき虫がひらひら落ちてくるので、食べものにはあまり困りません。


 でも、ひとりでくらすにはぎりぎりの毎日。

ときどきほかのカエルが落ちてくると、トロンボは大きな口をあけて、みんな食べてしまいました。


 そんなトロンボは、いつも井戸の底から空を見上げていました。

すると、ときどき空にキラキラ光るものが見えるのです。


「なんだろう? あれはなんだろう?」


 トロンボはふしぎに思って、井戸の壁をのぼろうとしました。

けれども壁にはぬるぬるしたコケがいっぱい。

どんなにがんばってものぼりきることはできません。


 でもトロンボはあきらめません。


 のぼる、のぼる、のぼる……

でも、つるり! ボッチャ~~ン!


 もう一度、のぼる、のぼる、のぼる……

でも、やっぱりツルリ! ボッチャ~~ン!


 トロンボはくやしくて、涙をいっぱい流しました。


「涙で井戸がいっぱいになれば、外に出られるかもしれない」


 そう思って泣きましたが、水はふえることはありません。


 あきらめたトロンボ、それからまた空を見上げてました。


 ある日、井戸の上からふしぎなものが落ちてきました。

それは風船でした。


 ふわり、ふわりと落ちてくる風船。

トロンボはつかまえようとしましたが、風でふわりと逃げてしまいます。


 けれども何度も何度もがんばって、とうとう風船をつかまえました。


「ふわふわで、ぽむぽむで、ぱんぱん……なんだこれは?」


 ふしぎに思って強くつかんだとき、トロンボの爪があたってしまいました。


パァ~~ン!


 風船はわれて、しぼんだ皮だけが残りました。


 それを見たトロンボは、しょんぼりしょぼしょぼになってしまいました。


 その夜、外からカエルたちの鳴き声が聞こえてきました。


「げろげろげろ、げろげろげろ」


 トロンボも負けじと鳴きました。

井戸の中で声がひびいて、とても大きな音になりました。


 そのときトロンボは、鳴くためにふくらんだ大きなお腹を見ました。


「これって風船みたいだ!」


 トロンボは思いつきました。


「もっともっと空気を入れたら、風船みたいに飛べるかもしれない!」


ぐいぐいぐいぐい空気を飲み込みます。

どんどんお腹がふくらんで、体が軽くなっていきます。

ふわり、ふわり……


 ついにトロンボは井戸の外に出ることができました。

広い広い外の世界。

甘くてすがすがしい空気。


「井戸の外ってすばらしい!」


 トロンボはそう思いました。

けれども、空のキラキラはもっともっと高いところにありました。


「負けないぞ!」


 トロンボはさらに空気をためこみ、どんどん高く飛んでいきました。


 でも、どんなことにも終わりがあるのです。


たくさん空気を入れたお腹はもうこれ以上ふくらまず……


パチン!


 トロンボは風船のようにはじけてしまいました。

けれどもその瞬間、トロンボの目の前できらりと星が光りました。


「そうか、星ってだれかがはじけて光っているんだ……」


トロンボはお星様になったのでした。

何だかちょっとトロンボが可哀相

星になれて幸せなのかなあ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白かったです! でも切なくて…! まさかのオチを楽しませていただきました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ