78話〜クロア?あの子が?〜
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詳細は、後書きに…。
「お嬢さん達。ちょっと良いかな」
そう言ってきたのは、モコモコの毛皮を肩に担いだ、大柄な男性。背中には大きな荷物を背負い、腰にはショートソードが2本ぶら下がっている。
そんな…。この貴族街に、帯刀して入る人が居るなんて…。
私はそれを見て、息を潜めた。でも、このままじゃ危険と思い留まり、エリカさんの前に立って男性達と対峙する。
ブーちゃんの刻印に若干の魔力を流しながら、男達を睨み上げる。
「なんですの?貴方達。私達は魔法学校の生徒でしてよ?」
私はワザと、刻印が見える様にと男性達に手の甲を向ける。魔力を流したから、刻印が黒くなっているのが分かる筈。
それなのに、男性達は笑顔を浮かべた。
そして、
「ああ、ごめんね。別にどうこうしようって訳じゃないんだ」
「そうそう。ちょっと冒険者ギルドまでの道を教えて貰いたくてね」
「俺達はBランク冒険者チームのストーンヘッドだ。何時もは鉱山都市デヴァン周辺で活動してんだけど、金が貰えるからってここまで足を伸ばしたって訳よ」
冒険者達は口々に言い訳を並べているけど…本当かしら?
疑いながらも、私は左手で北の方を指さす。
「あちらですわ。このまま街道を北に真っ直ぐ。検問を通って少ししたら古い館が見えますので、それがそうですわ」
「マジか、ありがとう」
「やっぱ検問の外だったじゃねえか」
「妙に高そうな店ばっかただから、違ぇと思ったんだよ」
男達は口々に後悔の言葉を吐きながら、街道の方へと消えていった。
あっ、本当に迷子だったのね。
「ありがとう!クロエ!」
「た、た、助かりましたわ」
ハンナさんは顔を青くしている。
そうよね。怖かったわよね。
私は彼らが去った方を睨む。
「まさか、冒険者が検問を通って来るなんて…検問官は何をしているのかしら?」
ここは貴族街。ちゃんとした身分の人しか入れないように、入口には全て検問所が設けられている。そこで、しっかりとチェックをしている筈なんだけど…サボってた?それとも、彼らが何か違法な手段で入場したのかしら?
「多分だけど、あの人達が高ランク冒険者だったからじゃない?Bランクって言ってたから、あたしと同じで特別に入場出来るからさ」
そう言って、エリカさんは学園の紋章が入ったロケットを見せる。生徒だけが持つロケットだ。平民の彼女でも、これで貴族街にある学園を行き来できるらしい。
なるほどね。だから、Bランクの昇格試験からは難しくなるのか。
でも…。
「このままだと、また迷子の冒険者が出てきそうね」
「えっ?そうなの?」
エリカさんが不思議そうに見上げて来るので、私は領主様が執行している政策について、簡単に教えてあげた。
「そっか。地方から来た人だと、貴族街とか分からないで入ってきちゃうかもね」
「お、恐ろしいですわ…」
ハンナさんが震えている。
そうよね。何か手を打ってもらわないと。
「ちょっとギルドに行ってくるわ。2人は先に帰ってちょうだい」
「あたしも行くよ」
「ダメですわ」
「なんで?」
「それは…目立つからですわ」
私はボイドからボロローブを取り出して、それを羽織る。すると、2人は目を丸くする。
「えっ!?どっから出したの?」
「凄いですわ、クロエ様。そんな魔法まで…」
「まるでアクロイド先生だね」
ええっ?どういうこと?もしかして、みんなにはボイドが見えていないの?
そう言えば、ブーちゃんの部分召喚を認知出来たのも先生だけだったし…もしかしてボイドって、闇魔法の適正者しか見えないものなんじゃ…。
あっ、今はそれどころじゃなかったわ。
「兎に角、ギルドで身分がバレたくありませんの。怖い人もいっぱい居ますし、私1人で行きますわ」
「分かった!じゃあ、急いで普段着持ってくるよ!」
そう言うが早いか、エリカさんは学園まで走って行ってしまった。
仕方がないので、私は学園までハンナさんを送り、待っていたエリカさんと一緒に冒険者ギルドへ向かった。
「こんにちは…」
「こんちわー!」
ああ、もうっ!バカエリカ!折角静かに入ろうとしたのに、みんながこっちに気付いちゃったじゃない。
私達は小さくなって、冒険者達の間をすり抜けながらカウンターへ向かう。
やはり予想していた様に、ギルドの中には冒険者でいっぱいだ。かなり大きな武器を持っている人や、見るからに強そうな人。そして、魔術師らしきローブを着た人も居る。
あっ、女性冒険者の集団だ。冒険者で女性なんて、初めて見たかも。
「こんにちは、クロア様。本日も良いクエストを取り揃えておりますよ」
受付に並ぶと同時に、シンシアさんが笑顔で依頼用紙をズラリと並べる。
私は小さく首を振る。
「違いますわ、シンシアさん。今日は…」
「あっ!ご寄付の件ですね?ちょうど昨日、ホルホーン村に第1便が届いたと行政府から連絡が入ったところです。村長がクロア様に、大変感謝していたとも聞いていますよ」
「そ、そう。それは良かった…じゃなくて!」
私は貴族街に冒険者が迷い込んでいる事を伝えた。すると漸く、シンシアさんも慌てて、ギルド長に伝えますと行って2階に上がって行った。
うん。これでもう大丈夫ね。ボーウェンさんならきっと、完璧に対処してくれるでしょうし。
「クロア?あの子が?」
「例の冒険者か」
私が胸を撫で下ろしていると、後ろの話し声が耳に入った。
「何だよ?例のって」
「お前知らねぇのか?何でも、Bランクの怪鳥をぶっ倒して、街の物流を復活させたそうだぞ」
「森でシルバーウルフともやり合ったんだろ?確かあれも、Bランクの魔物だった筈だぜ」
「俺が聞いた話じゃ、ボアの大群を1人で潰して、Aランク相当の異常個体ボアまでやっちまったらしいぞ?」
「魔王の手先だか何だかを倒したって噂も聞いたが…ホントか?」
「マジかよ。それって聖女様と勇者様の役割だろ?クロアって聖女様なのか?」
「分かんねぇけどよ、昨日立ち寄った村では女神だって崇め奉られてたぜ。ボア討伐をして、その金で村を救ったとか」
「受付の子が言ってた寄付って、それか!」
「うわ。じゃあ、全部本当の話なんじゃねえか?」
えっ!?なに?なんなの?その誇張され過ぎた噂話は。
私は驚いて、つい後ろを振り返った。すると、冒険者ギルド中から視線が集まっていた。大剣を担ぐベテラン冒険者も、女性冒険者達もみんな、私のフードの中を覗き込もうと目を鋭くさせている。
私は怖くなり、顔を伏せてエリカさんの手を掴む。そのまま逃げる様に、冒険者ギルドを出た。
暫く走り、検問を過ぎて漸く私達は止まる。振り返るけど、誰も私達を追ってきたりはしていなかった。
ちょっと怖がり過ぎたかしら?ちゃんと言い返して、訂正した方が良かったかも。
「大丈夫?クロア?」
「ええ。突然走ったりしてごめんなさ…なんですの?」
振り返ったら、ニマニマ顔のエリカさんがいた。
だからなに?
「やっぱり、クロアってクロエの事だったんだね」
あっ。
「いえ、その…身分を隠すべきかと思いまして」
「凄い活躍してたんだね」
「それは違いますわ!」
確かに、怪鳥も倒したし、ドン・ボアも倒した。でも怪鳥はBランクじゃないし、ボアだって大きいだけのDランク魔物。決してAランクなんかじゃない…筈ですわ。
第一、魔王云々なんて聞いた事もない。シルバーウルフとだって逃げ帰っただけだから、それは完全に眉唾物。噂に尾ヒレと背ビレが付いただけの、トンチンカンの噂話だ。
「でもさ、凄い人気だったじゃん。寄付金したのも本当みたいだし、クロエが一目置かれているのは事実なんじゃない?」
「ぐっ、そうですわね。ちょっと…いえ、かなり悪目立ちしてしまいましたわ。何とかしないと…」
「こう言う時は、ケントに聞くと良いよ!きっと良い解決策を考えついてくれるから」
ふむ…そうですわね。
「分かりましたわ。では、明日にでも…」
「善は急げだよ、クロエ。さぁ、学園までしゅっぱーつ!」
ええっ?また走るんですの?
そうして私達は学園に戻り、ムーンガルド寮でケント君の部屋に突撃した。幸い彼は戻って来ており、ドアをノックしただけで顔を見せた。
「なんだ…2人か」
随分と表情が暗い。
「何かございましたの?」
「いや、ちょっと忙しいだけだ。色々と物入りだからな、二学期は。それより、そっちはどうしたんだ?」
「あのね、クロエが冒険者に大人気で、隠れなくちゃいけないんだ。だから、クロアって名前にしたのに…」
「ちょっと、何言ってるか分からない…」
そうですわよね。幾ら幼馴染でも、今のはダメよね。
私は話を引き取って、彼に相談する。すると、ケント君は目を輝かせて考え込む。
「マジか…すげぇ…冒険者が集結?そんなの聞いた事ないイベントだ。隠しイベ?魔王復活イベ?いや、まだ一つも試練がクリアされてないのに、魔王が蘇る訳ないよな…じゃあ、もう誰か遺物に騙されて、眷属になってるのか?」
また何時もの発作だわ。
「あの、ケントさん?」
「あっ、ああ。済みません、クロエ様。目立たない様にしたいってことですよね?それなら、2年生のベンジャミン・グラハム先輩に話しかけると良いですよ。彼は天才発明家なので、お金と素材を持って行けば色んな物を作ってくれます。クロエ様、彼と敵対とかしてないですよね?」
敵対?
「いえ。前に中庭で、防御の魔道具を貰ったくらいですわ」
「あっ、そっか。そんなイベントもあったな。なら、好感度はプラス側の筈だから、実験も成功し易いか。今ならルートにも入らないし、依頼し過ぎても大丈夫…だよな?」
「なんですの?ルートって」
「あっ、済みません。声に出てました?何でもないですよ。気にしないで下さい」
ケント君は「1度、先輩に話し掛けてみて下さい」と言って、慌てて部屋の中に戻った。
色々と挙動がおかしかったけど…ベンジャミン先輩ね。
沈んでいた私の心が、少しだけ浮き上がった。
「それで?何故、更新頻度を下げるのだ?」
レポートのストックが無くなって来まして、追いつきそうなのです。
「ふむ。あ奴の怠慢か。して、どれくらいになるのだ?」
週2回の更新。恐らく、水曜と日曜…とかになるかと。
「ほぉ?して、その空白の時間は何を語るのだ?」
あっ、やっぱり別の作品を書く流れなんですね。
では、これなんていかがでしょう?
新規レポート:
俺の拳とこの魂で、砕いてやるぜ!そのハーレムを!
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