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魔王は帝都を滅ぼしたようです

366名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/04(水)18:00:00.00 ID:1399336



【マルク帝国 帝都ドナド】



(゜A゜*)「……」



 世界に冠たる黄金の都・帝都ドナドは燃えていた。バザールの商店は略奪され、マルク皇帝を称える旗やのぼりは切り刻まれた。広場では魔王軍の兵士達が、図書館から運び出した書物を火にくべ、戦利品の家畜の肉でバーベーキューをしている。



 宮殿は内も外も徹底的に破壊され、その前に広がっていた水と緑の庭園はもはや原型を留めていない。



 この無秩序を、魔王は宮殿のテラスから眺めていた。



(´<_` )「壮観な光景ですな、魔王様」



(*゜A゜)「……ネギシか。どうや見つかったか?」



(´<_` )「はい。寝室に潜んでおりました」



 ネギシは兵士に合図し、簀巻きにした一人の男を魔王の前につき出した。



(;,゜∀゜)「くっ……」



(゜A゜*)「これはこれはマルク皇帝陛下(・・)。まさか、このような形でお見えすることになろうとは」



(;,゜∀゜)「いったい、なにがどうなって……魔王軍はロコラ城砦が食い止めているハズでは……?」



(゜A゜*)「んん~?そんなハズはないけどな。あんなチンケな城砦、何日も前に突破したったわ」



(;,゜∀゜)「なっ!?数日前には方面軍の将軍より直々に報告を受けたのだぞ!?」



( 皿  )「おや、その将軍とはもしや……」



(゜皿゜ )「私のことかな?」



(;,゜∀゜)「っ!将軍……なぜここに!?」



(゜皿゜ )「かかか……」



 しかし将軍はそれに答えることはなく、ただ笑みを浮かべながら深い影に変わってゆく。そして、その影はやがて新しい実体へと変わった。



ミ● ● 彡「こうも簡単に騙されるとは、なんとも不用心だな」



(;,゜∀゜)「変化の魔法、だと?まさか。そのような魔法は宮廷魔道士が見抜くはず」



ミ● ● 彡「ワシの『千変万化』は、そこらの術者に看破されるほどヤワではない。見た者の魂を騙す故、打ち消しの術は効かぬ」



 隠神はまた、魔法で形を変える。



(゜∀゜,狸)『また、例えばこんな姿にもなれる』



(;,゜∀゜)「……!」



(゜∀゜,狸)『いや。この姿は便利だったぞ。なにしろ、どの砦にも駐屯地にも顔パスで侵入できるのだからな』



(゜∀゜,狸)『そうして適当に司令を下せば、偉い顔して踏ん反り返る馬鹿な将軍が右にならえでワシに従うのだ!こんなに滑稽なことはない!』



(゜A゜*)「名付けて『皇帝なりかわり大作戦』や!」



(;,゜∀゜)「だせぇ……っ」



(´<_` )「単純明快と言え」





367名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/04(水)18:00:00.00 ID:1399336



【回想─ロコラ城砦】



(゜皿゜;)「こっ……皇帝陛下!?なぜ?」



(狸,゜∀゜)「魔王軍との戦いの緒戦だ。私が居たほうが兵の士気もあがろう?」



(゜皿゜;)「な、なるほど。それはたしかに。ありがたい限りです」



(狸,゜∀゜)「それじゃあとりあえず全軍突撃しようか」



(゜皿゜ )「はっ!」





368名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/04(水)18:00:00.00 ID:1399336



【マルク帝国 帝都ドナド】



( ,゜∀゜)「ウソだろおい……」



(゜∀゜,偽)『正直ワシもびっくりした』



(゜A゜*)「長い間実戦を経験してこなかった名ばかりの将軍共や。さもあらんな。そうして白兵戦に持ち込んでしまえば、"金剛不壊"の術を付与された兵士に敗北はない」



(゜A゜*)「そうしてお前が気づかぬ内に、ウチらの軍はじわりじわりと帝都に進軍していったんや」



(゜A゜*)「ここでも隠神には世話になったわ。なんせ軍団まるごと、帝国軍の姿に変化できるんやからな」



ミ● ● 彡「うむ。つまり此度の勝利はワシのおかげというワケだ」



(*゜A゜)「あぁん?『皇帝なりかわり大作戦』の立案者はウチやで!?半分はウチの成果や!」



ミ● ● 彡「戯言よ」



(;,゜∀゜)「……」



(;,゜∀゜)「ふ、ふふっこれで勝った気になるなよ……魔王」



(゜A゜*)「ん?」



(,゜∀゜)「既に弟のドナドは西ゼリヤ王国に避難させた。そして、そこには伝説の勇者もいる!」



(,゜∀゜)「ここで私を殺そうが、必ずや勇者がお前を討ち、マルク帝国を救ってくれるだろう!!」



(゜A゜*)「……っぷ」



(゜A゜*)「かっかっか!!真面目な顔して滑稽なこと言いなや!」



(゜A゜*)「自分の国の命運を異世界の人間に託すなんて、為政者としての自覚が足らんのちゃうん!?」



(;,゜∀゜)「そ、それは違うぞ!」



(゜A゜*)「そもそも、一回倒した女神が召喚した人間なぞにウチが負けるかいな!ブルシットに負けたとも聞いたぞ!軽く捻ってやるわ!」



 魔王はひとしきり笑ったあと、冷めた瞳で皇帝を見下した。



(゜A゜*)「……はっきり言ってな。はなっからウチは勇者なぞ眼中にないねん。わざわざ西ゼリヤに行く気もないで?」



(゜A゜*)「この廃墟にももう用はない。必要なモノは既に手に入れたしな。なぁネギシ」



(´<_` )「はっ!"聖地の証"は既に兵士に輸送させています!」



(;,゜∀゜)「"聖地の証"だと!?魔王、貴様はいったい、なにを企んでいる!」



(゜A゜*)「あん?まだ知らんかったんかい。帝国の情報収集力も大したことないな。当たり前か、トップが無能だと手足もまともに動かんしな」



(゜A゜*)「……あかん、かわいそすぎる」



(;,゜∀゜)「ぐっ不届き者め!」



ミ● ● 彡「哀れだな」



(゜A゜*)「かわいそすぎるから教えたるわ」



(゜A゜*)「ウチはな……女神になるねん」



(;,゜∀゜)「気が狂ったか魔王!」



(゜A゜*)「狂っとらんわ!いいか、ウチが貴様らの女神を倒したいま、この世界は神がおらん、管理者不在状態なんや!そこにウチが女神の座に着き、世界に新しい秩序を築く!ウチの完璧な管理の下で、ついに世界平和が訪れるんや!」



(゜A゜*)「これがウチの計画や!どや、素晴らしい計画やろ!」



(;,゜∀゜)「話を聞いても狂っているとしか思えんぞ!」



(゜A゜*)「残念な頭やな」



(´<_` )「旧体制の権化に対話は無駄です、魔王様。それに、どうせ新しい世に生きることも叶わぬ命ゆえ……」



(゜A゜*)「せやな。それじゃあ帰るか、ウチの城……いや」



(゜A゜*)「新世界の聖地(・・)にな」



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