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勇者達はゴブリンの大群と戦うようです その②

360 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/02(月)18:00:00.00 ID:1399336



 エルフの都を攻めるゴブリンの大群の本陣(ほんじん)。そこには、群れの者共より数十倍は大きなゴブリンが、これまた人間の体躯ほどある石斧を片手に、怒号を張り上げていた。



 筋骨隆々のその体に刻み込まれた無数の古傷が、そのゴブリンが百戦錬磨の強者である事を示していた。



<Ф皿Ф >「ギシャシャシャッ!我が名はゴブリン大王!全てを呪い、破壊する滅亡の使者なり!」



<Ф皿Ф >「最近こころなしか体調がすこぶる良いから、これを機にエルフを滅ぼしてやる!」



<ФДФ#>「ゴブキシャシャァァァ!!」

<ФДФ#>「ダイオウサマバンザイ!!」

<ФДФ#>「エルフヲホロボセェェ!!」



<Ф皿Ф >「ゆけ、我が子らよ!大地を駆け、壁を壊し、人を殺せ!」



 ゴブリンの大群は、原生林の木々を倒したり、魔物を殺したりしながらエルフの都を目指し、エルフ皆殺しハイキングを計画していた。そして、それは順風満帆に進行していた……はずだった。



<;ФДФ>「大王サマ!何やらエルフにメチャクチャ強い奴ガ!」



<Ф皿Ф >「なにっ」



 部下の報告に驚いたゴブリン大王が腰を上げると、ゴブリン軍団を薙ぎ払い、切り倒しながら、怒涛の勢いで突撃してくる人影を見つけた。



(#^ω^)「うおおおおっ!ゴブリン死ねぇぇッ!」



<Ф皿Ф#>「何者だァ!貴様ァ!」



(#^ω^)「テメェに名乗る名前はねぇッ!勇者だッ!」



<Ф皿Ф#>「勇者だとぉ?なんだそれは!」



(#^ω^)「知るか死ねぇッ!」



<Ф皿Ф;>「コイツ……話が通じない……ッ!?」



(#^ω^)「キェェェェェッ!」



 戦士は勢いそのまま、ゴブリン大王に問答無用の一撃を叩きつける。しかし、ゴブリン大王もそこらの雑兵ではない。振り下ろされた鋼の大剣を冷静に石斧でガードする。



 鈍い金属音が辺りに響き、それは戦いのゴングとなった。



(#^ω^)「そこっ!」



<Ф皿Ф#>「踏み込みが足りんッ!」



 戦士の大剣が大地を削り、ゴブリン大王の石斧は空を斬る。戦士とゴブリン大王、パワータイプ同士のこの戦い。一撃でもまともに食らえば、それは敗北に直結する。故に両者の意識は回避に向いているのだろう。周囲のゴブリンを巻き込みながら千日手の攻防が続いた。



(;・∀・)「すげぇ、戦士。あんなゴッツい奴と真正面から戦ってる……」



(´・ω・)「しかし互いにあと一手、攻めあぐねているみたいだね。同じような脳筋パワータイプ同士の戦い……その弱点も本能的に分かっているということか」



(・∀・;)「あれ、いつからそこに?」



(´・ω・)「君達が先陣をきってくれたおかげで、エルフも士気が上がってね。魔法使いや盗賊の援護もあって、大勢はほぼ決まったと言っていい」



(´・ω・)「あとはゴブリン大王さえ倒せば……この戦いは僕達の勝ちだ」



(・∀・ )「いつからそこに居んのか聞いたんだけど」



( ●ハ●)「脳筋パワータイプの弱点……それは、攻撃時に間合いを詰める必要があること。その挙動がそのまま回避の隙になる……!」



(天´4`)「勇者よ……汝は如何に之を克服する……?」



(・∀・ )「テメェらもどこから湧いてきた?」





361 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/02(月)18:00:00.00 ID:1399336



(;^ω^)(なかなか決まらない……!こっちが攻撃は全て読まれちまってる)



<Ф皿Ф#>「しゃあっ!」



(;^ω^)「うぉっとォ!」



(;^ω^)(向こうの攻撃は大振りだから、まだ避けられてるけど……体力勝負になったら勝てる気がしねぇ。なにか、この状況を打破できる手段はないか?)



(;^ω^)(……漫画の主人公だったら、こんなときに覚醒するんだろうけど。俺はもうパワーアップ済みなんだよな)



<Ф皿Ф#>「チィッ!また距離をとるか、臆病者が!」



(;^ω^)(距離を……)



( ^ω^)(!!……もしかして今なら、あの技が使えるんじゃ……?)



( ^ω^)「やってみる価値はあるか……」



 戦士はひとり呟くと、自身の背丈の倍はある大剣を両手でしっかりと持ち直し、剣道の中段の構えにも似た姿勢をとる。



<Ф皿Ф#>「?……なんだァ?」



( ^ω^)「ふぅ……」



 一呼吸置き、大きく振りかぶると、戦士はゴブリン大王から離れた位置から、剣の切っ先をそのままに……思いっきり振り下ろす。



( ^ω^)「むんっ!」



 瞬間。戦士の剣から放たれる、超高速の"実体を持った剣の軌跡"ッ!



( ●ハ●)「おおっ!あれはいわゆる"飛ぶ斬撃"!」



(;・∀・)「あの原理不明の汎用攻撃技!?」



 道化師はそう言ったが、"飛ぶ斬撃"にも原理は存在する。例えば、熟練者がふるった鞭は空気を切り裂き、衝撃波を生むことができる。それはソニックブームと呼ばれる、人間の皮膚程度は容易く切断する。



 しかしこの時、戦士が振り下ろした大剣の速度は亜光速にも達し、それにより生まれた"現象"は、ソニックブームとは似て非なるものであった……戦士の剣はその瞬間、"空気"ではなく"空間"を裂いたのである!



 空間が裂かれるとどうなるか。超高密度の重力が生まれるのだ!



 即ち、"飛ぶ斬撃"とは極小の疑似ブラックホールである!



<Ф皿Ф#>「ッ!!」



<ФДФ;>「ぐああああああッ!」



 気づいた時にはもはや手遅れ。"飛ぶ斬撃"により、無数の生傷を刻みつけられたたとゴブリン大王は、痛々しい悲鳴を上げて膝から崩れ落ちた。



( ^ω^)「技名とかつけたほうがいいかな」



 こうして勇者達は、ゴブリンの大群の襲撃からエルフの都を守ったのであった。





362 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/06/02(月)18:00:00.00 ID:1399336



【エルフの都】



<Ф皿Ф#>「グ……ガガ……ナゼダ、体ガ動カヌノハ……?」



( ・∀・)「ボス敵に毒が無効化されないゲームっていいよね」



(゜、゜*)「効かない生物っているの?」



 ( ’A`)「ボスになると概念系だったりするからなぁ」



 ゴブリン大王に勝った勇者達は、彼の身柄をふん縛ってエルフの都に帰ったのであった。そこには、ゴブリンとの戦いの勝利に歓喜エルフ達が、その立役者の帰りを今か今かと待っていた。



( ●ハ●)「ありがとう勇者達よ!お主達のおかげでエルフの民が救われた!」



从 ●A●从「人間にもイイ奴らはいるのね」



爪 ●Д●)「見直したぞ人間!」



(ФωФ*)「いえ!エルフの皆様の頑張りもあってこそですよ!」



 (’A`;)「あ、うっす。っへへ」



(・∀・ )「感謝され慣れてない人がいる」



(^ω^ )「久しぶりに勇者っぽいことした気がする」



(・ω・`)「殆ど移動だったもんね」



(゜、゜*)「旅なんてそんなもんよ」



爪●皿●)「やったなお前ら!今日は宴ダ!」



爪●皿●)「エルフの郷土料理スペシャルをご馳走してやるゼ!」



(・∀・ )「また大学生の打ち上げみたいな居酒屋料理が出てくんの?」



(゜、゜*)「もっと地のものが食べたいわね」



(^ω^ )「ああいうのがいいんだよ」



<#Ф皿Ф>「オノレ……エルフ共メ。シカシ覚エテイロ……我ヲ倒シテモ第二第三のゴブリン大王ガ……」



 (’A` )「なんか魔王みたいなこと言ってらぁ」



(・∀・ )「もうコイツが魔王ってことでよくない?」



(#ФωФ)「よくありません!」




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