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勇者達は長老の長話を聞くようです

349 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/30(金)18:00:00.00 ID:1399336



【エルフの都 長老の官邸】



( ●ハ●)「……なに?ワシの話を聞きたい?」



( ●ハ●)「自主的に年寄りの長話を聞きたがる奇特な奴らだの」



(゜、゜*)「ほら、アナタ長生きしてるんでしょ?私達の知りたい事も知ってると思ってね」



爪#●Д●)「貴様!長老様にタメ口だと!?」



( ●ハ●)「まぁまぁ。ワシは気にせん。それに勇者にエルフの知識を授けるのもまた、"契約"だからの」



 (’A` )「その、原生林に入ってから何度も聞いてる"契約"ってのも気になってんだけどな。なんの契約なんだ?」



( ●ハ●)「マルク帝国……いや、初代マルク皇帝かな」



(・ω・`;)「初代皇帝!?そんな古い時代からの約束を?」



 (’A`;)「さすがは長生きしてるだけあるな……」



( ●ハ●)「しかし、神殿に行った二人が帰ってきてからでなくてよいのか?」



(゜、゜*)「ええ。むしろ願ったり叶ったりよ。修道女ちゃんは聖アガメマス教会の信徒だもの」



( ●ハ●)「なるほどな、聞きたいのはそっちの話か」



(゜、゜*)「それに彼女はもう魔王を倒すって決意してるの。今さら余計な情報で混乱させるべきじゃないわ」



(・∀・ )「まぁ俺達は知りたいから聞くけど」



 (’A` )「戦士にゃ後で伝えるさ。俺達で要点をまとめてからな」



( ●ハ●)「……それで、ワシに話してほしいのは何かね?」



(゜、゜*)「"アガメマス"ってなに?」





350 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/30(金)18:00:00.00 ID:1399336



【エルフの都 長老の官邸】



( ●ハ●)「アガメマスとはなにか?そういう神学的な問題は、それこそ彼奴らに……」



(・∀・ )「いや、今はそういう議論はどうでもいいかな。俺は興味あるけど」



(・∀・ )「それよりも、外側から見た聖アガメマス教会というか、歴史的事実というか、そっちの話かな」



 (’A` )「教会に訊いても、どうせ歪曲された事しか教えてくれないしな」



( ●ハ●)「はは、冗談だ。分かっておるよ」



( ●ハ●)「しかし、はてさて。なにから話したものか……」



( ●ハ●)「『四大信仰』は知っとるか?」



 (’A` )「知らない」(・∀・ )



(゜、゜*)「知ってるのは『四大天使』だけね。なにか関係が?」



( ●ハ●)「うむ」



( ●ハ●)「『四大信仰』は、かつてこの世界で大きな影響力を誇っていた四つの信仰を指した言葉での。それぞれ神の名を冠して次のように呼ばれておった」



( ●ハ●)「北の山岳信仰『タットム』」



( ●ハ●)「西の樹木崇拝『アオギミル』」



( ●ハ●)「南の竜神信仰『ヒレフス』」



( ●ハ●)「そして……東の女神信仰『アガメマス』」



(・∀・ )「知らない名前が2つあるね」



 (’A` )「『アガメマス』は言わずもがな、『アオギミル』はいま戦士がいる御神木のことだよな」



( ●ハ●)「うむ。『タットム』と『ヒレフス』は時代とともにその名は消え、『アオギミル』様を信仰する者はワシらエルフだけになった……」



(・∀・ )「世は空前のアガメマス一強時代ってワケだ」



(゜、゜*)「それだけ人々に寄り添った宗教だったってこと?」



( ●ハ●)「それだけで世界宗教にはなれぬよ。布教、信仰の拡大に必要なのは信者の力、言い換えれば後ろ盾にしている国の国力だな」



 (’A` )「身も蓋もないな」



( ●ハ●)「『四大信仰』が盛んだったのは、それこそ群雄割拠の時代でな。大国は他の国を攻める大義名分として、小国は大国に取り入る為の外交手段として、それぞれが『四大信仰』の神を崇拝するようになった……」



( ●ハ●)「そうして世界は四つの陣営に分かれていった。これが『四大信仰』の時代だ」



(・∀・ )「やってることは地球とそんな変わらないね」





351 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/30(金)18:00:00.00 ID:1399336



【エルフの都 長老の官邸】



( ●ハ●)「しかし、そんな『四大信仰』の時代を終わらせた者がいた」



(゜、゜*)「アガメマスの女神?」



( ●ハ●)「いいや違う。そうだな、今に伝わる神話から引用するならば──」



( ●ハ●)「『三大魔王(・・)を討ち、世界に平和を齎した者。その名は勇者マルク(・・・)』」



 (’A` )「……あー」



 (’A`;)「あぁー、そういうこと?魔王って……神を殺したってことか?」



( ●ハ●)「人間が、いや、生きている者が神を殺すことなどできぬよ」



( ●ハ●)「せいぜい人々が神の名を語れなくすることくらいだ」



(゜、゜*)「勇者が他宗教の人を殺して回ったってこと?」



( ・∀・)「それは早計じゃない?普通に布教を頑張ったかもしれないし」



(;●ハ●)「あぁいや、そもそも最初に言った通りに勇者マルクの話は神話だ。マルク帝国の建国神話……実際はマルク王の国が勢力を広げていったたというだけだ」



( ●ハ●)「そうして世界帝国になったマルク帝国は『四大信仰』の聖地の()に、天使神殿を建てた。まるで、その信仰を上書きするかのように」



(゜、゜*)「……思えば、マグダ・マリマも、イテーツクも、神殿の下に"祠"や"祭壇"があったわね」



(・∀・ )「そして大樹は梢に神殿か。なんでそんな場所にとは思ったけど」



( ●ハ●)「ともあれ、現実にはただ戦争があっただけだ。そしてアガメマスは、その戦勝国に庇護されていた信仰。ワシからすればそれだけだ」



 (’A` )「勇者なんて、最初からいなかったのか」



( ●ハ●)「少なくともワシらエルフの前にはじめて姿を現した"マルク"は、勇者ではなく皇帝だったな」



 (’A` )「あっそれが最初に言ってた初代皇帝か」



( ●ハ●)「うむ。エルフは最後までマルク帝国に抵抗したのだが……残念ながら力及ばずな。その講和会議の為、わざわざ帝都まで行ったのだぞ」



( ●ハ●)「マルク皇帝によって結ばされた不平等条約が"契約"だ。エルフは二度と国を持つことは許されず、西ゼリヤ国王によって保護される立場となった。また、勇者が現れた時には惜しみないを支援をと……」



(・∀・ )「契約って条約のことだったんだ」



(゜、゜*)「条約なら律儀に守らないとね」



( ●ハ●)「うむ。契約を破れば西ゼリヤ王国から総攻撃されるしのう……おかげでエルフ社会も契約契約と、うるさくなってしまった」



 (’A`;)「しっかし、なにをしたらそんな条約を結ばされんだよ」



( ●ハ●)「ゴブリンという生物兵器を作って大軍団を編成して、マルク帝国に攻め込んだのが、ちょっとやり過ぎだったみたい」



(・∀・ )「ゴブリン従えて国を攻めるのは魔王以外の何者でもねぇだろ」



 (’A` )「自業自得の語源?」



( ●ハ●)「あの時代はなぁ、総力戦というか、血で血を洗う戦争の時代だったからなぁ……マルク帝国など、大陸ひとつ沈めておるし」



(・∀・ )「…………」(゜、゜*)



(・∀・;)「ハァ!?」(゜、゜;)



 (’A`;)「ど、どういうことだよ!?大陸を沈めたぁ!?」



( ●ハ●)「この大陸からマグダ・マリマまで異様に長かっただろう?昔はあそこに大陸があった。ヒレフスを信仰する竜人達が治める地"マグダ大陸"がな」



( ●ハ●)「あの海域で大量に生まれる嵐は、帝国により故郷を沈められた古代竜人達の恨みだという……」



( ●ハ●)「……信じるか信じないかは、お主ら次第だ」



 (’A`;)「ジジイが話す都市伝説は嘘かホントか分かりづらいんだよ!」



(゜、゜*)「ワードチョイスが古いわ」



(・∀・ )「ホントならアトランティスみたい」





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