勇者達はエルフの長老に謁見するようです その②
346 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/29(木)18:00:00.00 ID:1399336
【魔城パンデモニウム 第13会議室】
从*゜ワ゜从「あのさネギシぃ、ちょっと気になってる事があるんだけど」
(´<_`;)「なんだ?私は忙しいのだが」
(´<_`;)「やっと水晶玉が手に入ったのだ。これから職人に指示をださねばならん」
从*゜ワ゜从「まぁまぁ、すぐ終わるからさ。いいでしょいいでしょ?」
(´<_` )「はぁ……なんだ?」
从*゜ワ゜从「なんでネギシは【土の天使神殿】に行かなかったの?」
(´<_` )「いや。勇者は鉄王が殺したし、退魔結界は破壊したし、行く意味ないだろう」
从*゜ワ゜从「いやいや、その前その前」
从*゜ワ゜从「私が南のマグダ・マリマから帰ってきた後、エフワードが東の海底遺跡、おばさんが北のイテーツク山脈に行ったでしょ?」
从*゜ワ゜从「なんでネギシは西の【土の天使神殿】に行かなかったの?」
(´<_` )「俺はマグダ・マリマに行って【炎の天使神殿】を破壊するという大役を果たしただろう。わざわざマルク帝国を越えるよりコストも難易度も低いからな」
从*゜ワ゜从「ふ~ん、でもさ、なんか気持ち悪くない?」
(´<_`;)「なにが?」
从*゜ワ゜从「私が南、エフワードが東、おばさんが北……順当にいけばネギシは西じゃない?」
(´<_` )「……はぁ」
(´<_` )「『戒メ』『万力の騎士団』『余燼』『氷舌』『ヨイノマの巫女』『泥人形』に『赤毛の戦士』……西ゼリヤ王国は魔境だ。正面から敵対するのは割に合わない」
(´<_`;)「そこを突破したとて、原生林に入ればゴブリンとエルフが襲いかかってくる。やってられねぇよ」
从*゜ワ゜从「えー?でも逆に考えれば、そいつら倒せば人間側の戦力も大幅ダウンじゃん!」
(´<_`;)「命が幾つあっても足りやしねぇよ……」
(´<_` )「それに勇者が死んだいま、わざわざ危ない橋を渡る必要はない。鉄王と隠神殿の作戦が成功し、マルク帝国を滅ぼせば魔王様の万願成就はすぐそこだ」
从*゜ワ゜从「そういうものかなぁ?」
(´<_` )「まぁ、お前が死にに行くのは結構だけどよ。それはマルク帝国との戦いが終わってからにしてくれよ。今はそれどころじゃないんだから」
从*゜ワ゜从「はいはーい」
(゜∀゜ )「あっお前らまだここにいたか。丁度よかった」
从*゜ワ゜从「あれ?どうしたのエフワード」
(゜∀゜ )「いや、さっきの会議で言いそびれてたんだけど……」
(゜∀゜ )「勇者、生きてたぞ。全員」
(´<_` )「……」
从*゜ワ゜从「……へぇ~」
(´<_`;)「えぇっ!?そんな情報……こ、こうしちゃおれん!」
(´<_`;)「ま、魔王様に伝えねば!!」
从*゜ワ゜从「あれ?どこ行くのネギシ、"聖なる装束"作りじゃないの?」
(´<_`;)「今はそれどころじゃない!!」
347 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/29(木)18:00:00.00 ID:1399336
【ウッソー原生林 大樹への道】
从●A● 从「神殿までは私が案内することになっている、ついてこい」
(^ω^ )「うっすー」
(ФωФ )「よろしくお願いします!」
エルフ長老の側近と共に、戦士と修道女は大樹へと続く参道を歩く。
从●A● 从「……しかし勇者よ」
(^ω^ )「ん?」
从●A● 从「アガメマスの天使は何故、四人も勇者を召喚したのだ?」
(^ω^ )「俺に聞かれても」
(ФωФ )「祭司様からは四大天使様がそれぞれ独断専行で召喚してしまったと聞いています!」
从●A● 从「ふんっ……ということは天使の失態か。神殿の扉は閉ざされているゆえ顔は見たことないが、さぞ間抜け面の天使なのだろうな」
(ФωФ#)「なっ!天使様を侮辱するとは、赦されませんよ!」
从*●A●从「あっはっは!誰に赦されぬというのだ?魔王に倒された女神にか!?」
从*●A●从「女神は魔王に倒され、天使は勇者の召喚で失態を犯す……大樹アオギミル様と比べ、アガメマスはなんとずさんなことか!」
(ФωФ#)「キィィェェーーーッ!!」
( ^ω^)「どうどう修道女」
(^ω^ )「ちょっとウチの狂信者を煽るのやめてくんない?」
从*●A●从「失敬失敬、積年の鬱憤が溜まっているのだ」
从 ●A●从「しかし勇者よ。貴公もこれくらいアガメマスの罵ってもよいのだぞ?」
(^ω^ )「えっなんで?」
从 ●A●从「聞く所によると、勇者とは元々別世界の住人だと言うではないか。もし天使がミスをしなければ、貴公はこの世界に召喚されず、元の世界で平和に暮らすことができたのかもしれない」
从 ●A●从「なぜなら、そもそも勇者はただ一人なのだから」
(ФωФ )「!」
(^ω^ )「えー?いやいや、それでも勇者に選ばれたのは俺だって」
从;●A●从「いや。選定基準は知らんが、単純に考えても四分の一だろう」
(^ω^ )「違うね、神はサイコロを振らないって言うじゃん?だから多分俺だよ」
从;●A●从「意味が分からんが、そういう意味の言葉ではない気がする」
(^ω^ )「んー……でも、だとするとミスしてくれた方が結果的には良かったのかな?」
(;ФωФ)「それはどうしてです?」
(^ω^ )「俺と修道女の二人旅だと途中で詰む気がする。俺は作戦考えたり、人と交渉したり、魔法使ったりできねぇしな、地頭は良いらしいハズなんだけど」
从;●A●从「……土の天使はなぜ貴公を勇者に選んだのだ」
(^ω^ )「いやだから俺に聞かれても」
348 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/29(木)18:00:00.00 ID:1399336
(ФωФ )「……あの、戦士さん」
(^ω^ )「ん、どうした?」
(ФωФ )「実を言うとですね……僕も、天使様が間違ってくれて……良かったって思ってしまったんです」
( ^ω^)「そうなん?キツくない?おっさん3人と一緒に行動するの?」
(ФωФ;)「ぜ、全然そんなことないですよ!たしかに皆さん年齢が僕より一回り上で、会話に時々ついていけないですけど」
( ^ω^)「ごめんなぁ……まだ俺達はおっさんとして未熟だから、ジェネレーションギャップに意識が向いてないんだ。まだ若者のつもりなんだ」
(ФωФ )「それもちょっとなに言ってるか分からないですけど」
( ^ω^)「ホンマごめん」
(ФωФ;)「でも……あの。こんな状況で、こんなこと言うのは間違ってますけど……」
(ФωФ )「四人の方が楽しいじゃないですか!」
( ^ω^)「それは……」
( ^ω^)「そうだな!仲間なんて多い方がいいよな!」
( ^ω^)「それにもし俺一人だと、修道女を起こしに行くのが面倒だしな」
(ФωФ )「?別に同じ部屋で寝ればいいじゃないですか」
( ^ω^)「勇者が社会的に死ぬのはまずい」




