勇者達は原生林を突き進むようです その②
340 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/27(火)18:00:00.00 ID:1399336
【原生林の村 カンデタ】
爪●皿●)「さぁ今日の夕ご飯はエルフの郷土料理をご馳走してやろウ」
(^ω^ )「へぇ~郷土料理か。じゃあ俺は明太もちチーズピザで」
(゜、゜*)「どの郷土にも無い味なのよ明太もちチーズは」
爪●皿●)「鶏なんこつ唐揚げ、フライドポテト、カリカリ揚げパスタ、スライストマト、ポテトサラダ……」
(・∀・ )「大学生の飲み会一軒目じゃねぇか」
(’A` )「大学生はスライストマト頼まねぇだろ」
(・∀・ )「頼むだろ」
爪●皿●)「明太もちチーズ煮込み」
(゜、゜;)「明太もちチーズそのものの"煮"!?」
(’A` )「エグいカロリー持ってそう」
( ・∀・)「戦士、どう?」
(^ω^ )「具が餅しかない明太子風味のチーズフォンデュ」
( ・∀・)「たしかにチーズフォンデュは煮込みだけれども」
(ФωФ )「べつに普通にイケますけど。お餅おいしいです」
爪●皿●)「田舎の老エルフが丹精込めて作った餅米を、その道600年の職人がつきあげた特上のし餅を使っているからナ」
爪●皿●)「明太子は旬のタラの卵を使用。老舗の特製漬け汁で数日間寝かせた一品だ。地下貯蔵庫で2年間熟成させたチーズと20年モノの白ワインを合わせて作った煮込みソースのコクは天下一品だゼ」
(’A` )「なんか……そう聞くと、それっぽいな」
(・∀・ )「目の前にあるのが、雑居ビルの2階にある干からびた居酒屋の映え専メニューから、ヨーロッパはアルプスの麓で連綿と受け継がれてきた郷土料理に見えてきたな……」
(・ω・`)「でも前にエルフの街に来た時には、こんなのなかった気がするけど」
爪●皿●)「去年の郷土料理グランプリで大賞をとって有名になったんダ」
(゜、゜*)「郷土料理とは何なのか考えさせられるわね」
341 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/27(火)18:00:00.00 ID:1399336
【原生林の村 カンデタ】
翌日……
爪●皿●)「さて、旨いもの食べてたくさん寝て、元気出ただろ。今日のうちにエルフの都・エルゴまで行きたい。そろそろ村を出るゾ」
(゜、゜*)「それは良いけど、なんか……」
(ФωФ )「まだ、この村のエルフさんに誰一人会っていません」
(ФωФ )「挨拶くらいはしたいのですが」
爪●皿●)「そりゃ無理だナ。エルフは基本的に人間嫌いだから」
(・∀・ )「あ~やっぱり?そういうのあるんだ」
爪●皿●)「ああ。寿命が短くて人口が多いからって"劣等種"だとか"虫"だと言って嫌ってる老人なんて、あっちこっちにいるゾ」
(・∀・ )「嫌われすぎている」
(’A`;)「虫って……」
(^ω^ )「でも村には入れてくれるんだ」
爪●皿●)「そういう契約だからナ」
(^ω^ )「契約?」
爪●皿●)「ああ……とりあえず、早めに村を出るぞ。この村の滞在期限は午前8時まで。それが過ぎたら契約違反ダ」
(ノ∀`;)「け、契約違反を過ぎたらどうなってしまうんですか?」
(’A`;)「襲ってくるとか言わねぇよな」
(´・ω・)「バカ高い延滞料金がかかる」
爪●皿●)「10分800Gダ」
(・∀・ )「都内の駐車場でもそこまで高くねぇぞ」
342 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/27(火)18:00:00.00 ID:1399336
【ウッソー原生林 中層】
(・∀・;)「……ふぅー、これでまたゴブリンは撒けたかな?」
爪●皿●)「ごくろうさん、ありがとナ」
爪●皿●)「ここら辺からは、もうゴブリンは出てこない。警戒を解いていいゾ」
(゜、゜*)「それはどうして?」
爪●皿●)「周りの木々が高くて太い超高木セコイヤに変わった。エルフの領域だ。ここからはもうエルフの都・エルゴまで一直線、飛ばしていくゼ!」
(´・ω・)「さて、じゃあ都に着く前に、ひとつ街で気をつけて欲しいことを言っておくよ」
(’A` )「差別されても反応するな、とか?」
爪;●皿●)「ハハ……耳が痛いな。それもたしかに、その通りダ」
(^ω^ )「でも面と向かって"劣等種"って言われたら、殴り返すくらい良いだろ?」
( ・∀・)「ダメに決まってんだろ」
(´・ω・)「対面で悪口を言われることはないよ。基本的に"いない者"として扱われるから」
(’A`;)「いっちゃん辛い差別じゃん」
(^ω^ )「我ら勇者ぞ?」
(´・ω・)「関係ないんだよ、エルフ達には……ねぇ?」
爪●皿●)「まぁ、俺達はアガメマスの神は信じてないしな。魔王と女神の云々も、人間同士で勝手にやってるだけみたいな」
(ФωФ;)「そうなのですか……?しかし、貴方達が守っている"大樹"の梢に、僕達の向かう【土の天使神殿】は建てられています」
(ФωФ;)「聖アガメマス教と、なにか関係はあるのでは?」
爪●皿●)「俺達が信じ、守ってるのは大樹のアオギミル様だけだ」
爪●皿●)「【土の天使神殿】が大樹様に建ってるのは……そういう契約ってだけダ」
(ФωФ;)「契約……ですか?」
(゜、゜*)「今日はよく聞くわね、その言葉」
(゜、゜*)「エルフにとって、そんな大切なのかしら?」
爪●皿●)「そうだな。まぁ、詳しいことは都についてから"長老様"に聞いてくレ」
(´・ω・)「エルフの王様みたいな立場の人さ」
(^ω^ )「でも一般人エルフは見て見ぬふりするくせに、王様は会ってくれんのか」
爪●皿●)「ああ、なんでもそーいう"契約"らしいゼ」
(・∀・ )「誰との?」
爪●皿●)「そりゃ、アンタらの神とだロ?」