表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/137

勇者達は原生林を突き進むようです その①

338 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/26(月)21:00:00.00 ID:1399336



【ウッソー原生林 浅層】



( ^ω^)「いやー……まさかまさかだよ」



 静寂の張りつめる深緑の森を、四輪駆動の大型バギーが鋼鉄ギアの回転音をかき鳴らしながら、木の根を、倒木を、小さな沢を、踏みしめ乗り越え突き進んでいく。



 ( ’A`)「異世界に自動車があるとはな」



(゜、゜*)「こんな便利なものがあるなら言いなさいよ」



(;´・ω・)「いや僕もこんなの初めて見たよ……なにコレ怖っ」



爪●皿●)「HAHAHA!『魔導車』はエルフの科学技術の粋を集めた最新輸送機器サ!馬と同じ速度で、馬車では通れぬ悪路難路もスイスイダ!」



 バギーのハンドルを操りながら豪快に笑うのは現地ガイドに雇ったボブ。サングラスにドレッドヘアという典型的なエルフの男性だ



爪●皿●)「まだ原生林の外には出してない技術だゼ!?」



(;・∀・)「スイスイってほどじゃないけどね。ガッタンガッタン揺れてるし」



 (;’A`)「まぁ獣道未満の道なき道を進んでるからな……まぁ馬車よりゃマシだろ」



爪●皿●)「帝国には黙っといてくれよ。技術を盗まれたらたまらねぇからヨ!」



 (;’A`)「エルフが重機械を作ってる時点でイメージと違うんだけど……なんでこんなバギーなんて作ったんだ?」



(ノ∀` )「あれ?魔法使いさんは、エルフは知識が豊富なイメージがあるって言ってましたよね?」



 (;’A`)「言ったけど、こういう科学的な知識じゃなくて、もっと魔法とか呪術に強いイメージだよ!」



爪●皿●)「おいおい!魔法だって知識が体系化されれば、もはや科学だゼ!?」



( ^ω^)「そのセリフも結構イメージと違うな」



(´・ω・)「人間よりも遥かに寿命が長いから、個々人の技術力が人間とは段違いなんだよ。革新を起こすような天才も長生きするから、次から次に技術が生まれるし……」



( ・∀・)「なんでそんな奴らが原生林に引きこもってんだよ」



( ^ω^)「世界進出とか目指さない感じ?」



爪●皿●)「エルフは数が少ない。マルク帝国みたいに国を広げても統治は無理だゼ」



爪●皿●)「それにゴブリン共との戦いもあるしナ」



(ФωФ )「何故そんなにゴブリンを目の敵に?」



爪●皿●)「HAHAHA!そりゃあゴブリン側に聞いてくレ!!」



 大笑いしたボブが急にブレーキをかける。車体が大きく傾き、勇者達の態勢が崩れた。



(;^ω^)「わっ!とっ!?」



(゜、゜;)「ちょっと!急ブレーキやめてよ!なに!?」



爪●皿●)「ゴブリンの襲撃だァッ!!」



 ボブが叫んだとほぼ同時。木々の影から、枝葉の上から、無数のゴブリンが現れ、バギーを取り囲んだ!



<ФДФ#>「ゴブキシャシャァァァ!!」

<ФДФ#>「エルフ!エルフコロス!!」

<ФДФ#>「エルフシスベシィィィ!!」



爪#●皿●)「フ●ック!オメェら、最初に言った通り銃を取レ!」



 ボブが叫ぶと、男達は事前に渡されていた銃器を構えた。原生林に入る前に、ボブから言われた注意は3つ。



 ひとつ。ゴブリンが現れたらすかさず武器を取ること!



 ふたつ。一切の躊躇いなく引き金を引くこと!



 みっつ……



爪#●皿●)「死にたくなけりゃ弾幕切らすなヨ!」



(;・∀・)「うっうおおおお!」



(ノ∀`;)「こうなりゃヤケだぁぁ」



 ボブは素早くギアをチェンジ、ハンドルをきってアクセルを踏み込むと、ゴブリンの群れをなぎ倒して、強引に包囲網を突破する!



爪#●皿●)「俺達エルフが『魔導車』を作った理由?そんなの単純ダ!」



爪#●皿●)「こういう日常茶飯事(ピンチ)を、ぶっちぎるためヨ!」



<ФДФ;>「ギィィィィァァァ!!」



 発砲音と駆動音、断末魔を響かせながら、勇者達は森を奥へ奥へと進んでいくのだった。





339 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/26(月)21:00:00.00 ID:1399336



【ウッソー原生林】



 ゴブリンの奇襲を突破した後、勇者達を乗せたバギーは、木々の生えていない野原で停止した。



(・∀・;)「あれ?終わった?もう大丈夫?」



爪●皿●)「……うむ。ゴブリンの気配はないナ」



爪●皿●)「それじゃ、今日は早いがここで休むとしよウ。今のようなゴブリンの奇襲は一日に数回はある、エルゴに着くまでにできるだけ体力を残しておかないとナ」



 (’A`;)「や……休むのはありがたいけどよ……こんな何も無い場所で野営なんてしたら、それこそゴブリンに襲われちまうんじゃないのか?」



爪●皿●)「ん、違うぞ?ここはエルフの村の真上(・・)だ」



 (’A`;)「……は?真上?」



爪●皿●)「アーアー『こちらボブ。入村許可を貰いたい。目的は宿泊。人間の旅行客が7名を連れているが可能か?』」



 ボブは魔法を使って誰かと会話し始めた。



爪●皿●)「『……もちろん、身元は保証されている。敵意はなし。エルゴに向かうまでの一泊だけだ』」



爪●皿●)「『了解、感謝する』」



 ボブがそう言った途端、地鳴りがして一部の地面がせり上がってきた。その地面の側壁は人工的な金属装甲が施されている。これは、エルフの村に繋がる入口だった。この村はゴブリンの襲撃から身を守る為、住処を地上から地下の世界へと移したのだという。



 ボブはバギーのまま入口へ乗りこんだ。そこは巨大なエレベータとなっており、勇者達が入ったことを感知すると、再び地鳴りを響かせながら地中へめり込んでいった。仕組みとしては立体駐車場そのままだが、この世界のエルフが持つ高度な技術力を感じさせるには十分であった。



爪●皿●)「東ブロックの村・カンデタだ。今日はここに泊まろウ」



 ボブの後に続き、勇者達はバギーを降りて村へと続くトンネルを進む。その先で目にしたのは、まるで地上と見紛うような景色の、のどかな農村であった。



爪●皿●)「元々この上にあった村を完全再現したらしイ。いい村だろウ?」



( ・∀・)「なんか世界観がめちゃくちゃ変わったんだけど。なに?これも科学技術の結晶なの?」



爪●皿●)「いや、これは魔法ダ」



( ・∀・)「区別がつかねぇよ」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ