勇者達はエルフに会うようです
333 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/25(日)21:00:00.00 ID:1399336
【西ゼリヤ王国 港町ズッパ】
从*゜∀从「とうちゃぁくっ!錨を下ろせぇ、野郎どもぉッ!」
「ウォォォォォォッ!」
(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜
( ^ω^)「紆余曲折あって、はじまりの国・西ゼリヤ王国に戻ってまいりました!」
( ФωФ)「まさか再び帰って来るとは」
( ’A`)「イベントとかないとなかなか帰る機会ないもんな」
( ・∀・)「実家と同じだね」
从*゜∀从「それじゃ、アタシ達"セルコア海賊団"とは、一旦ここでお別れか」
(゜、゜*)「今までありがとう。これからどうするの?」
从*゜∀从「いちおう、そこの貴族様から仕事を貰えることになってな。海賊家業はお休みだ」
(ノ∀` )「明日からは、僕の家の商船として活動して貰います!旗も貸し出しますよ!」
( ^ω^)「でも、そんな都合してもらって良いのか?船を動かすにも金が要るのに」
(ノ∀` )「もちろん採算は取れる算段はついてます!」
(ノ∀`*)「なにせ戦争が始まって食糧や鉱石原料の需要が鰻登りでしてね!マルク帝国への輸出品が、ウチの倉庫にわんさか溜まっているんです!」
(ノ∀`*)「今は商船が何隻あっても足りませんよ!アッハッハ!」
从;ー∀从「……というワケよ。まっ従軍させられるよりはよっぽどマシだ」
(;・∀・)「どこの世界も商売人ってのは強いなぁ……」
334 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/25(日)21:00:00.00 ID:1399336
こうして"セルコア海賊団"と別れた勇者達は、足早に【土の天使神殿】に向けて町を発った。魔王の侵攻が再開した今、夜寝る以外の理由で町に滞留する暇はなかった。
335 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/25(日)21:00:00.00 ID:1399336
【西ゼリヤ王国 街道】
(´・ω・)「さて、僕達はこれより【土の天使神殿】があるウッソー原生林に向かう」
(゜、゜*)「その原生林は遠いの?」
(´・ω・)「この町からウッソー原生林までは、それほど遠い道のりじゃないね。2日3日と馬車に揺られていれば、その外縁には辿り着くだろうね」
(;´・ω・)「ただ……原生林それ自体が途方もなく広大、一つの国がまるっと収まるくらいにはね」
( ノ∀`)「実際、ウッソー原生林は西ゼリヤ王国の国土の4割を占めています」
( ・∀・)「アフリカの自然保護区みたい」
(゜、゜*)「となると……原生林に入ってからが大変そうね。どうせ神殿は最奥にあるんでしょうし」
( ノ∀`)「そうですね。ただ、距離以上に大変な点がひとつあります」
( ノ∀`)「原生林では2つの部族が争いを続けているのです」
(^ω^ )「ドドゴンボンゴ族とゴゴルオルブ族か?」
(´・ω・)「どこの蛮族?」
( ノ∀`)「エルフとゴブリンです」
( ・∀・)「ついにファンタジーの二大巨頭が来たな」
( ’A`)「逆に今までよく遭遇しなかったな」
(´・ω・)「原生林内の縄張り争いに明け暮れて、あんまり外には出てこない部族だからね」
(´・ω・)「ゴブリンはウッソー原生林の周縁部に家族単位で集落を築いている、亜人の原住民だ」
(´・ω・)「コボルトと似たようなものだね……ゴブリンの方は凶暴で話が通じないけど」
( ФωФ)「コボルト族は普通に人間社会に適応してきてますしね」
(ノ∀`;)「ゴブリンに同じ様な態度は期待しない方がいいですよ……よく原生林近くの村に出没して、家畜や農作物を荒らしたりしてますし。食糧や荷物を狙って襲われる冒険者、旅人は後を絶ちません」
( ノ∀`)「なので西ゼリヤ王国の冒険者ギルドに討伐依頼が常に貼り出されています」
(゜、゜*)「扱いがほぼ熊とか猪ね」
( ^ω^)「アロスティにいた頃によく見たわ。ゴブリン討伐依頼」
(´・ω・)「原生林に入ってからは常にゴブリンの襲撃を警戒しながら進まないといけない。ゆえに、並の冒険者は原生林の奥地に足を踏み入れることさえ叶わないんだ」
(´・ω・)「ただ……原生林の奥地まで行ったとて、そこが安全とは限らないんだけどね」
(・∀・ )「話を聞く限り、森の奥はエルフの領域って感じかな?」
(´・ω・)「その通り!エルフは"大樹の守り人"を自称する、髪と耳の長い長命種だ」
(゜、゜*)「長命種……ってなに?」
( ’A`)「人間に比べて寿命が遥かに長い種族のことだ。寿命が長いゆえに知識や造詣が深く、強靭な身体能力を持つので個々のプライドも高いイメージがあるな」
( ・∀・)「一方で長生き特有の頑迷さを持っていて、閉鎖的なコミュニティで暮らしている為に選民意識が強いという傾向もあるね」
(;´・ω・)「……君達、なんか事典でも読んだ?」
( ’A`)「ニコニコ大百科」
( ・∀・)「ピクシブ百科事典」
(ノ∀` )「すごいですね、エルフはまさにそのイメージの通りです。付け加えるなら、常に深い森の奥で暮らしているので、種として目が太陽の光に弱いみたいですね」
( ^ω^)「へぇ~。でも聞いてる感じ、エルフは別に危ない存在じゃなさそうだけど?」
(´・ω・)「エルフは"大樹の守り人"としてのプライドと選民意識が混ざり合い、大樹に近づく者を全て敵だと認定して襲ってくるんだよ」
( ・∀・)「厄介なタイプのエルフだ」
( ’A`)「やっぱり弓矢で襲ってくるのか?」
(´・ω・)「普通に重火器で武装してるよ」
( ・∀・)「非常に厄介なタイプの原住民だ」
(゜、゜;)「そんな危険な連中が住んでる場所に近づけるの?」
(´・ω・)「大丈夫。そのために僕が居る」
( ^ω^)「そういやお前、なんかしれっと付いてきてんな」
(´・ω・)「ふふふ。今回もまた僕という"仲介人"が必要になるからね」
( ^ω^)「あぁん?」
(´・ω・)「僕はいちどクエストでエルフの町を訪れたことがあってね。その伝手を使って、ウッソー原生林を安全に進むための現地ガイドを雇おうと思うんだ」
( ^ω^)「バラエティの海外ロケでしか聞いたことがねぇ職業だ」
(゜、゜*)「そのガイドは信用できるの?」
(´・ω・)「ああ、なんと言っても彼自身が"エルフ"だからね」
(ノ∀`;)「エルフの知り合いがいるんですか!?」
(´・ω・)「ああ。アディボラという人間の村に住んでいる奇特なエルフさ」
336 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/25(日)21:00:00.00 ID:1399336
( ФωФ)「……というワケでやって参りました!ウッソー原生林に一番近い村、アディボラです!」
( ФωФ)「ウッソー原生林と外界を結ぶ玄関口でして、温泉地としても有名です!」
(^ω^ )「昨日はいいお湯を頂きましたね!アディボラの温泉は酸性硫黄温泉で皮膚病や神経痛、リウマチによく効き、美肌効果もあるんですよ!」
( ФωФ)「晩ご飯に出た、特産のわさびを使ったお蕎麦も、大変美味しかったです!わさびは抗酸化作用が高く、認知機能や血流の改善、動脈硬化予防に大変効果があるようです!」
( ФωФ)「一度はおいで!アディボラ温泉郷!」(^ω^ )
(・∀・ )「誰に対するコマーシャルなの?」
( ^ω^)「と、アディボラ村の宣伝も挟んだところでね」
(´Д`;)「ゴブリンが出たぞォォォ!!」
( ^ω^)「ゴブリンが出ちまったようですね」
(;’A`)「いきなり大ピンチじゃねぇか!」
(´・ω・)「まぁまぁ。ゴブリンは集団でこそ脅威だけど、個体が出没したくらい、並の冒険者でも……」
(´Д`;)「大群で来たぞォォ!!百匹はいるぞォォ!!」
(´・ω・)「……」
(´・ω・)「どうしよ」
(ノ∀`;)「ぼ、僕らもに、逃げないと!」
(゜、゜*)「でも逃げるたって……」
<ФДФ#>「ゴブキシャァァァ!!」
<ФДФ#>「グルルルゥゥゥゥ!!」
<ФДФ#>「ガイガァァァァァ!!」
(゜、゜*)「もうすぐそこに居るけど」
(;ノ∀`)「ひぃぃぃ!悪霊退散!」
( ^ω^)「ちっ!なんだってんだ、ゴブリンの百匹や千匹くらい!」
(^ω^ )「お前ら、天使から力を貰ったんだろ!?ゴブリンくらい余裕だろ!」
(;’A`)「!……たしかにっ!」
(;・∀・)「数に圧倒されたけど、結局は最初のダンジョンに出てくるような奴らだ!今の俺達ならやれる……ハズ!!」
( ФωФ)「僕もサポートします!」
( ^ω^)「よっしゃぁ!いくぜぇぇっ!!ゴブリン無双の称号は貰ったぁぁ!!」
337 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/25(日)21:00:00.00 ID:1399336
──しかし戦士の叫びも虚しく、ゴブリンの大群との戦いにおいて彼らが活躍することはなかった。
爪●皿●)「オー!フ●ッキン、ゴブリン!ゴートゥーヘルッ!!」
──突然、勇者達の後方から鳴り響く火薬の連続破裂音。ゴブリンに向けて放たれる銃弾の嵐。
──機関銃による機銃掃射である。
<ФДФ;>「ゴブグアァァァァ!!」
<ФДФ;>「ギシャァァァァァ!!」
<ФДФ;>「クソガァァァァァ!!」
──糸の切れた人形のようにバッタバッタと倒れ、吹き飛び、散り散りになるゴブリンの群れ。
<;ФДФ>「ニゲロォッ!!エルフダッ!!」
──瞬きをする間に、前列のゴブリン達が意識を失い、死体に変わり、ミンチと成り果てる。そんな地獄の光景を目の当たりにした運の良い生き残りは踵を返し、一目散に森へと逃げていった。
──わずか十数秒の、出来事であった。
爪●皿●)「ヤーッハーッ!フ●ッキンビクトリィィッ!」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「……」
( ’A`)「……」
(;^ω^)「えっなにが起きた?」
(;・∀・)「気づいたら眼の前が死体の山になったんだけど」
爪●皿●)「フォォォォ!!」
(’A`;)「誰だコイツっ!?」
(´・ω・)「どうやら、間に合ったようだね」
(´・ω・)「紹介しよう。現地ガイドのエルフ、ボブだ」
爪●皿●)「アイムボブ!」
(^ω^ )「エルフのボブは史上初だろ」
(・∀・ )「なんかエルフのパブリックイメージと対偶の奴が出てきたんだけど」
(´・ω・)「そうかな。ドレッドヘアにサングラスってエルフの民族衣装だろ?」
(・∀・ )「文化の激突事故が起きている」
(’A` )「こんなでっけぇ違和感がまだ この異世界に残ってたとはな」




