勇者達は急ぐようです
319 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/21(水)18:00:00.00 ID:1399336
【マラック海溝 海上 海賊船ジョリー号】
(゜Д゜1)「しっかし、こんな海の底に遺跡があるなんて驚きッスねぇ」タンッ
从*゜∀从「なぁ~?昔の人はなに考えて、こんな大海原の真ん中に遺跡なんて作ったんだろうな」タンッ
(゜Д゜2)「昔はこのあたりにも島があったんじゃないスか?」タンッ
(゜Д゜1)「ポン」
(゜Д゜2)「うわっやられた!」
(゜Д゜1)「へへ、ありがとよ」タンッ
从*゜∀从「それにしても、アイツら遅いなぁ……っとリーチ!」
(゜Д゜1)「ロン!北ドラ2で、5200点!」
从#゜Д从「ガァァァッ!」
船長が放銃した、その時であった。近海に砲弾でも着水したかのような轟音と共に、ジョリー号が大きく揺れた。
从;゜Д从「ァァァアアアッ?」
(;1゜Д゜)「なんだ今の音は?」
(゜Д゜2)「敵襲か!?」
(゜Д゜3)「いや、船影なんてどこにも……」
(゜∀= )「ふぁ~、久しぶりの太陽光まぶぃな」
(;1゜Д゜)「だ、誰だアンタは?いつからそこに?」
(゜∀゜ )「なぁ、この船の船長はどいつだ?」
乗組員を無視して黒勇者エフワードは問い質す。その有無を言わさぬ高圧的な態度に、彼は従う他なかった。
(;1゜Д゜)「……彼女です」
从 ゜Д从「」
しかし、船長はリーチ宣言牌の放銃と轟音の衝撃が重なって放心していた。
(゜∀゜;)「なんで気ぃ失ってんだコイツ」
(゜∀゜ )「……ん?お前ら麻雀やってたのか?」
(゜Д゜2)「このゲーム知ってるのか?」
(゜∀゜ )「下で教えてもらってな。そうか、お前ら勇者の仲間か」
(゜∀゜ )「なら、ここで船を奪うのは約束と違うな」
( ゜∀゜)「仕方ねぇ。走って向かうか」
(;1゜Д゜)「ハァ?アンタなに言って……」
乗組員の呆れた声がその耳に届くより前に、黒勇者エフワードは海の上を駆け出し、水平線の彼方へ去っていった。
320 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/21(水)18:00:00.00 ID:1399336
【マラック海溝 海上 海賊船ジョリー号】
从;゜∀从「あ、あれ……今なにが?」
从∀゜;从「お前ら、何があった?」
(1゜Д゜)「……」
(゜Д゜3)「……船長が放銃しただけですよ」
从Д゜;从「パァァァッ!!?」
乗組員がなにも見なかったことにしたその時、再び船が大きく揺れた!
(;1゜Д゜)「また!?」
(゜Д゜2)「今度はなんだ!?」
(゜Д゜3)「……あっ!あれは……!」
( ^ω^)「ただいまー」
(゜Д゜3)「戦士さん達だ!」
( ’A`)「はい、コレお土産の金銀財宝詰め合わせセット」
(゜Д゜2)「お土産っちゃお土産だけども」
( ^ω^)「遺跡に行った感はあるだろ?」
(゜Д゜3)「これどこで見つけたんですか?」
( ’A`)「なんか天使さんが賽銭箱持ってっていいよって」
(゜、゜*)「お土産トークに花咲かせるのは後にしてちょうだい」
(・∀・ )「船長!急かしちゃって悪いけど、今すぐ船を出してくれない!?」
从Д゜ 从「」
(・∀・;)「立ったまま気絶してるっ!?」
321 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/21(水)18:00:00.00 ID:1399336
しばし後、海賊船ジョリー号は沈みゆく太陽に帆を向け、海を駆けていた。
从∀゜;从「しかしマジか……また戦争が始まっちまったか……」
(・ω・`)「元々、魔王の都合で事実上休戦してただけだったからね」
(・ω・`)「魔王が復活したのなら侵攻も再開するのは当然だ」
(゜Д゜1)「でもイヤだなぁ……ってコトは俺達また徴兵されるのか」
(’A` )「またってことは、前も戦場に行ったことあるのか?」
(1゜Д゜)「ああ。その日暮らしの男なんてのは、まとめて馬車に乗せられて前線送りよ。まぁ、俺は運良く激戦地からは外れた場所に送られたから今ここにいるけどな」
(゜Д゜2)「俺んとこは夜中に奇襲かけられて駐屯地が壊滅したなぁ」
(;^ω^)「よく生きてたな……」
从∀゜*从「……この船もいちおう帝国傘下の私掠船だから、このままマルク帝国に帰っても軍船代わりに使われるだろうな。前線送りよりゃまだマシだろうけどよ」
从*゜∀从「だけどアタシはあくまで海賊。ジョリー号は海賊船だ。国同士の争いに付き合わされたかねぇ」
从*゜∀从「だから帰りたくないんだけど。戦争が終わるまでそこら辺の漁村に停泊して隠れてようぜ」
(・∀・ )「ダメです」
(・ω・`)「さっき山吹色のお土産受け取ったでしょ」
从;ー∀从「……金には勝てねぇな」
(゜、゜*)「それに、これから向かうのはマルク帝国じゃないわ」
(゜、゜*)「このまま海路で西ゼリヤ王国に向かって」
从*゜∀从「西ゼリヤ?あんな田舎に何の用事だ?」
(゜、゜*)「私達の次の目的地……ウッソー原生林の【土の天使神殿】があるのよ」
(・∀・ )「陸路を使うよりよっぽど早いからね」
(2゜Д゜)「勇者なら帝都に向かって助太刀した方が良いんじゃないか?」
(’A` )「俺達は別に軍隊行動の訓練とか受けてねぇし、戦場に行っても足手まといだ……って修道女が」
(;ФωФ)「そんなこと言ってませんよ!僕は戦士さんのパワーアップをしてから向かった方が、騎士さん達のお役に立つかなと思っただけで……」
从*゜∀从「だけど予定が大幅に変わっちまうが……」
(゜Д゜3)「……船長、港街リドルグには帝国軍が駐屯している。素直に帰れば、そのまま軍に従わざるをえない状況に陥る可能性が高い」
(゜Д゜3)「ここは彼らの要求に従う方が得策かと。自分ももはや帝国の為に戦いたくはない」
从*ー∀从「ふむ……」
从*゜∀从「しかしジョリー号の船籍はマルク帝国だ。西ゼリヤにこのまま向かっても寄港することはできないぜ?」
(ノ∀` )「問題ありません!僕がいますから!」
从*゜∀从「?」
(ノ∀`;)「……僕が西ゼリヤ王国の貴族だって忘れてます?」
从;゜∀从「あっ!そうだった!」
(ノ∀`;)「やっぱり忘れてたんですね」
(・ω・`)「まずはケット王国に寄港。魔法通信を西ゼリヤに飛ばし、先生の伝手を使って許可を発効してもらう。勇者も一緒であることを伝えれば100%許可は取れるだろうね」
从*゜∀从「なるほど。そこまで考えてるなら問題ないな」
(゜Д゜3)「ケット王国に寄港するのは大丈夫なのか?あそこは魔王と同盟を結んでるはずだが」
(´・ω・)「ケット王国は前回の侵攻にも参加してなかったし、この前女王と面会した時の反応からして勇者に協力的だ。そのまま拿捕される心配は少ないだろう」
(´・ω・)「それに侵攻が始まった以上、魔界の他の港町にはもはや寄ることは出来ない。多少の危険を冒してもケット王国で補給を済ませる必要がある」
(゜Д゜3)「ふむ……どうする、船長?」
从*ー∀从「……」
从*゜∀从「よしっ!」
从*゜∀从「海賊船ジョリー号はこれより、ケット王国を経由し西ゼリヤ王国へと向かう!」
从*゜∀从「そして勇者達を全速力で届ける必要があるッ!!」
从*゜∀从「だから……」
从*゜∀从「野郎ども"魔導推進力増幅装置"の準備だ!!十日で大陸を横断してやるぞッ!!」
「ウォォォォォォォォッ!!」
(゜Д゜(^ω^(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜
(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(’A`(゜Д゜(゜Д゜
(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(・∀・
(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜(゜Д゜