勇者達は海底遺跡を探検するようです その③
305 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/17(土)18:00:00.00 ID:1399336
【マラック海溝 海底遺跡 深層】
( ゜∀゜)「どうしたものかな……」
(ノ∀`;)「なっ……なぜ皇帝様がっ?」
(ФωФ;)「いや、アレは高弟様では!?」
(’A`;)「どっちにしろ、こんな所にそんなお偉いさんが居るわけねぇだろ?」
(゜、゜*)「そうね。考えられるとしたら、この遺跡の魔法が生み出した幻影……」
(゜、゜*)「もしくは、その二人のそっくりさん」
( ^ω^)「そっくりさんって何だよ」
(゜、゜*)「ほら世界には自分とそっくりな人が3人は居るって言うじゃない」
(;・∀・)「推理が乱暴すぎる」
(・ω・`;)「……!」
(・ω・`;)「いや、もしかしたら彼女の推理は正しいかもしれない!」
(;・∀・)「えぇ!?」
(;’A`)「どういうことだ?」
(・ω・`;)「これは僕でさえ噂でしか知らないけど……魔王四天王にマルク皇帝そっくりさんがいるという情報が……」
(;^ω^)「そっくりさんがそんな地位に!?」
( ゜∀゜)「おいおい、さっきから聞いてりゃなんだ?そっくりさんそっくりさんって」
( ゜∀゜)「俺達は三つ子なんだ。顔が似てるのは当然だろ?」
(ノ∀`;)「みっ三つ子!?」
(・ω・`;)「そんな!?皇帝マルクと高弟ドナドは双子では?」
( ゜∀゜)「都合の悪い事実は、最初から無かったことにする。それがアイツらのやり方さ」
(・∀・;)「無かったことって……」
( ゜∀゜)「俺を知る者は情報統制を敷かれるか、記憶を消されるか……もしくは手っ取り早く殺されるか」
(゜、゜*)「あら、皇帝でもそんなコトをすれば家臣の信用問題に関わるんじゃない?」
( ゜∀゜)「ないない。王家の、権謀術数の蠱毒を勝ち抜いた血筋の末裔の持つ権力を甘く見すぎ。宗教権力も掌握して隙もない」
( ゜∀゜)「そんなクソみてぇな王宮から逃げ出したのが俺ってワケだ」
(゜、゜*)(どこかで聞いたようなセリフね……)
(ФωФ;)「そんな高貴なお方が、なぜ魔王の下に?」
( ゜∀゜)「まぁまぁ、そういう話は今しなくてもいいじゃねぇか。それよりお前らが今一番気になってるのはアレだろ?」
( ゜∀゜)「俺に殺されるか否かだろ?」
(’A`;)「!」
(゜、゜*)「……」
魔王四天王がひとり武王エフワードの言葉に、魔法使いと盗賊が臨戦態勢を取る。ワンテンポ遅れて戦士も剣を取った。
(^ω^#)「殺されるぅ?安く見られたモンだな俺達も」
(;゜∀゜)「お前らなんざ知らねぇよ……」
( ゜∀゜)「心配すんな、お前らとは戦わねぇから武器を下ろしな」
(・ω・`)「……どういうことだい?魔王四天王からすれば、マルク帝国側の人間を生かす理由がない」
( ゜∀゜)「実はなぁ、俺ぁここに閉じ込められちまってよ。困ってたんだ」
(ノ∀`;)「閉じ込められた……?」
( ゜∀゜)「ここの天使神殿に用事があって、ここまで来たんだが……なんか『"海底遺跡の鍵"を使い、謎を解かねば神殿への扉は開かれん』なんて声が聞こえてな」
(・∀・ )「謎が解けなかったの?」
( ゜∀゜)「いや、鍵とか持ってねぇから扉をぶち壊してやろうかと」
(・∀・ )「理性はお持ちでない?それとも壊しちゃった感じ?」
(;゜∀゜)「でも扉が思ったより硬くてな、全然壊れねぇでやんの。そんで帰ろうにも帰り道も塞がれてな……」
( ゜∀゜)「どうしようもなかった時に現れたのが、お前らってワケだ」
(’A` )「魔王の部下だったらケット王国で申請すりゃ"海底遺跡の鍵"なんて普通に借りれただろ」
( ゜∀゜)「申請とか面倒くせぇだろ」
(;゜∀゜)「なんだよ申請って……俺はペンでちまちま書くのが苦手なんだ。剣の実力があるんだからそれでいいじゃん」
( ゜∀゜)「剣はペンより強しって言うだろ?」
(゜、゜*)「逆よ」
(^ω^ )「だが分かる。シンパシー感じちゃうぜ」
(;・∀・)「あ~……ちょっと話しただけだけど、なんかタイプ似てるね」
(’A` )「王宮から逃げたのって勉強が嫌だからじゃねぇか?」
(;゜∀゜)「そ、っそそそそんなワケねぇだろ!」
(;゜∀゜)「勉強大好きだ!」
(’A` )「んなワケなさそう」
306 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/17(土)18:00:00.00 ID:1399336
【マラック海溝 海底遺跡 深層】
(´・ω・)「まぁ僕達と戦う気がないのであれば、こんな嬉しいコトはないよ」
(´・ω・)「地上での対立関係は置いといて、ここはとりあえず共闘するとしないか?」
(゜∀゜ )「ああ、いいぜ」
(゜、゜*)(……いいの?ここで殺しておかなくて。数では勝ってるし、アナタも居る)
(;´・ω・)(僕を過大評価しすぎだよ。流石に四天王相手は無茶だ)
(;´・ω・)(それに噂が正しいのであれば彼は四天王最強の『武王』と呼ばれる男……瞬きする間に殺されるのがオチだ。ここは命を大事に行動しよう)
(゜、゜*)(そう……了解)
(゜∀゜ )「でも共闘って言ったって俺は謎解きなんて出来ねぇぜ?」
(´・ω・)「海底神殿の謎がどういったモノなのかは僕らも知らない」
(´・ω・)「もしかしたら君の力が必要になる場面もあるかもしれない」
(゜∀゜ )「そういうもんかね」
(ノ∀`;)「……なにがなんだか僕には分からなくなってきましたが、戦闘が起きないなら、それに越したことはありません」
( ノ∀`)「それでは【水の天使神殿】への扉を開く為、鍵を使いましょう!」
( ノ∀`)「大天使様、扉をお開け下さい!」
考古学者が叫ぶと、どこからか地を揺るがすような声が聞こえてきた。
『"海底遺跡の鍵"を使い、謎を解かねば神殿への扉は開かれん』
( ノ∀`)「鍵はこちらにございます!」
考古学者が女王から手渡された紙切れを掲げると、甲高い機械音が響いた。
『ピピッ"鍵"認識開始……50%……85%』
『認識完了、不正検知ゼロ。"鍵No.2008"』
『……いいだろう。それでは、これより汝らには謎を課す。見事その謎を解けたならば、扉は開かれん』
( ’A`)「よしこいっ!」
( ・∀・)「どんな問題でも解いてみせらぁ!」
( ^ω^)「俺は皆の力を信じてるぜ!」
(´・ω・)「解く気概がない奴がいる」
(゜、゜*)「っていうか、こういう謎って前提知識が無いと私達解けないんじゃない?」
『それでは問いを壁に映そう』謎の声が言うと、扉の横の壁に映写機の要領で画像が投影された。
『6面サイコロを2回振る。1から6までの各出目が出る確率が等しくない場合、1回目と2回目に同じ目が出る確率が1/6以上であることを示しなさい。
<鍵No2008 水の天使神殿>』
(;・∀・)「まさかの数学試験問題ッ!?」
(゜、゜;)「たしかに前提知識は問わないけども!!」
(;^ω^)「……大丈夫だ、俺は皆の力を信じてるぜ!」
(’A`;)「思考放棄すんな!」
参考にした問題は2008年度の東京工業大学入試で出題された『いびつなサイコロ』という問題です。
筆者の頭では理解が難しかった為、元々の予定より軟化しました。(75話の鍵の内容も修正しました)