勇者達が洞窟を冒険するようです その①
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。汗っかきなので臭いケアは怠らないようにしている。異世界でシャワー浴びるのは結構な出費なのでつらい。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。臭い消しの魔法を習得済み。にんにくを食べた後も安心。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。潜入捜査は臭いで感づかれないよう無臭が鉄則。なので魔法使いに臭い消しの魔法を覚えさせた。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。足の爪に溜まった臭いを嗅ぎ、フレーメン反応を引き起こす。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。生乾きの臭いが嫌いなので、火の魔法と風の魔法を組み合わせて"乾燥魔法"を作ってくれないか、魔法使いに交渉中。
( ´W`)【トレジャーハンター】:今回のクエストの依頼者。鼻が効く。
ξ ゜⊿゜)ξ【受付嬢】:冒険者ギルド・ランクエスの窓口の人。臭いのキツイ冒険者はギルドから叩き出す。
30 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/05(水) 07:30:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
(゜、゜*)「それじゃあ私は"コボルト失踪事件"の調査に行くから」
ξ ゜⊿゜)ξ「いってらっしゃいまし!」
( ^ω^)「俺達はどうする?」
(’A` )「うーん、宿屋代、道具代でカツカツだから稼げるクエストがいいなぁ」
ξ ゜⊿゜)ξ「お金がないのは冒険者の常!」
ξ ゜⊿゜)ξ「そんなあなた達に今日の受付嬢オススメクエストが、これですわぁッッッ!」
(^ω^ )「そんな日替わりランチみたいに言われても」
(’A` )「"オススメ"って"店の都合"って意味の形容詞だろ?」
(・∀・ )「オススメの理由を聞いても?」
ξ ゜⊿゜)ξ「クエスト報酬が他の同レベル帯のクエストの倍ですわ!」
(^ω^ )「っふ~~~……腕が鳴るぜぇ」
(’A` )「いっちょ、やりますかぁ」コキッコキッ
(・∀・ )「ま、報酬に見合うだけの働きは保証しますよっと……」
ξ ゜⊿゜)ξ「世の中金ですわ~~~~!!」
31 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/05(水) 07:30:00.00 ID:1399336
【ホラーナ洞窟】
(^ω^ )「え~~、というワケでやって参りました。時刻は午前9時、ホラーナ洞窟に来ていまーす」
(^ω^ )「修道女ちゃん、これ、ホラーナ洞窟というのは、どういったスポットなんでしょうか?」
( ФωФ)「はい!ホラーナ洞窟は、西ゼリヤ王国最大級の洞窟で、延長なんと10キロにも及ぶと言われています!様々な鉱石や宝石が採掘できることから"天然宝箱"の異名を持つスポットです!」
(^ω^ )「なるほどぉ」
( ФωФ)「今日は、そんなホラーナ洞窟で宝石採掘に挑むトレジャーハンターさんに同行しています!」
( ^ω^)「それでは呼んでみましょう!」
(ФωФ )「トレジャーハンターさーん!」(^ω^ )
(’A` )「誰向けのロケ?」
(・∀・ )「ワイドショーのミニコーナー感」
( ´W`) 「ほっほっほ……どうもどうも。今日はクエスト受けてもらってありがとよ」
(・∀・ )「いえいえ。報酬も頂いてますし」
(・∀・ )「それにしても、宝石採掘場への道中の護衛という依頼内容だったと思うんですが……なぜ今日からクエスト報酬を跳ね上げたんですか?」
( ´W`) 「それはの……ワシが狙ってる、ある"宝石"が理由だ」
(’A` )「ダイヤモンドとか?」
( ´W`) 「そんなありきたりなモンじゃあない。"ターピュライト"といやあ、美しさ世界一と名高い貴重な宝石よ!」
(;ФωФ)「"ターピュライト"……!聞いたことがあります!」
(^ω^ )「知っているのか修道女!?」
(;ФωФ)「たしか、女神様のネックレスに付いてる宝石がそれです!」
( ´W`) 「へぇ、そうなの?」
(’A` )「逆にそっちは知らないんだ」
( ´W`) 「申し訳ないが、トレジャーハントの願掛けに教会を訪れるくらいでね……ま、女神様が身につけるくらいには、伝説の宝石ということだ」
( ´W`) 「このホラーナ洞窟には、そんな"ターピュライト"が眠っているという噂があってだね。ずっと狙っているんだよ」
(・∀・ )「なるほど……そして、その在処に目星がついたと。そんな所ですか?」
( ´W`) 「ほっほっほ……察しが良いの。その通りじゃ」
( ´W`) 「"ターピュライト"は、このホラーナ洞窟の最奥に眠っておる!」
(’A` )「自信満々だな。なんで分かるんだ?」
( ´W`) 「企業秘密じゃ。長年トレジャーハンターとして活動しとるからの。色々と情報の伝手がある……ほっほっほ」
( ФωФ)「歴戦感がありますね!」
(^ω^ )「これは期待も膨らみますねぇ!」
(^ω^ )「それじゃ、出発しますか!」
( ´W`) 「あぁ、だが正面からじゃあない……少し奥の方に、あまり知られてない穴があるんだ。そこから入ろう」
(^ω^ )「なんと!まさかの秘密の入口があるそうです!」
( ФωФ)「これは一体どうなるんでしょう!?」
( ^ω^)「楽しみですねー、一旦スタジオにお返ししまーす」
(’A` )「こういうロケは大体収録だろ」
(・∀・ )「その茶番気に入ってんの?」
32 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/05(水) 07:30:00.00 ID:1399336
【ホラーナ洞窟 秘密の入口】
「ギシャァァァッ!!」
「ギシャァァァッ!!」
(^ω^;)「くそ……っ!この洞窟、大きいコウモリがやたらと多いな!!」
(・∀・;)「しかも臭ぇ!!コウモリの糞か!」
(;ФωФ)「"ドクコウモリ"です!ホラーナ洞窟は彼らの群生地なんです!」
(ФωФ;)「皆さん、気をつけて下さい!噛まれたり、羽で切り裂かれると毒が血管に入ってしまいます!」
(;ФωФ)「僕が回復できますが、毒は確実に体力を蝕みます!トレジャーハンターさんを守りながら前に進むんです!」
(’A`;)「爺さん、俺の後ろにいてくれ!バリアを張る!」
(´W`;) 「すまないねぇ……これでも昔はいっぱしの冒険者だったんだが、寄る年波には勝てん……」
(;’A`)「あんまり卑下しなくてもいいスよ」
「ギシャァァァッ!!」
(’A`;)「クソッこうなりゃ火炎魔法で……ッ!」
(´W`;) 「そ、それはいかんぞ!」
(’A`;)「ッ!?なんで?」
(´W`;) 「洞窟内はコウモリの糞から出たガスが充満しとる!炎や雷は使っちゃいかん!」
(’A`;)「マジすか?くそ、やりずれぇ」
(;´W`) 「お嬢ちゃん。光属性の魔法が使えるようだが、攻撃魔法の覚えはあるか?」
(;ФωФ)「あ、はい。初級程度ですが……」
(;・∀・)「俺も使えます!」
(;´W`) 「十分!"ドクコウモリ"は強い光を浴びせれば、混乱して大人しくなる!」
(´W`;) 「無闇に殺す必要はない!洞窟は長い……なるべく体力消費を節約しながら進むんだ!」
(^ω^;)「分かった!やっぱり年の功ってのは頼りになるな、爺さん!」
(´W`;) 「ほっほ……これくらいしかサポートできんもんでの」
33 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/05(水) 07:30:00.00 ID:1399336
【ホラーナ洞窟 ドクコウモリの群生地】
「ギシャァァァッ!!」
「ギシャァァァッ!!」
(・∀・;)「はぁ……はぁ……疲れた……頭がぐあんぐあんする」
(ФωФ;)「脳みそが固まってる感じです……」
(´W`;) 「あと少しの辛抱だ、申し訳ない、気張ってくれ」
(^ω^;)「……」
(^ω^ )「お……?」
( ^ω^)「おーい。ここからもう少し先、ちょい雰囲気違うぞ?」
(’A`;)「こりゃあ……坑道か?」
(´W` ) 「……ふぅ、良かった」
(´W` ) 「そこで休憩しよう。もうコウモリは出てこない」
34 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/05(水) 07:30:00.00 ID:1399336
【ホラーナ洞窟 遺棄された坑道】
(;・∀・)「あー!疲れたぁ!」
(ФωФ;)「ここまで魔法を使ったのは久しぶりです」
(’A` )「お疲れさん。ほれ、ドライフルーツと茶だ。とにかく魔法を使うと脳が疲れるからな。糖分を補給するんだ」
(;・∀・)「ありがとう……ずずっ」
(;・∀・)「このお茶甘っ!あ、でもちょっと塩っぱい?」
(’A` )「神主さんからお土産に貰った梅干しのハチミツ漬けをほぐして入れてある。そこへハチミツを追加でトッピングした」
( ^ω^)「ハチミツ多くない?」
(ФωФ*)「いや、でも美味しいです……胸がホッとするというか」
(´W` ) 「体が糖分を求めているんだろう……ハチミツは即効性のエネルギー源として優秀だ。疲労回復、リラックス効果もある。消耗の激しい冒険の携帯食としては必需品とも言える」
(^ω^ )「そうなんすか?じゃあ俺も一杯……」
(’A` )「ほいよ。お前はそこまで体力使ってないから、ハチミツトッピングは無しだ」
( ^ω^)「えぇ~~」
(’A` )「文句言っても、バンバン使えるほど量がないんだ。仕方ないだろ」
(´W` ) 「なに、まだ道は長い。戦士であるお前さんに頼る場面もある、補給はその後でも遅くはない」
(;^ω^)「そうスか……分かりました」
(*・∀・)「ふぅ、しかしトレジャーハンターさん、元冒険者だけあって、指示が的確ですね。ありがとうございました」
(´W` ) 「ほっほっほ、昔取った杵柄だな」
(*ФωФ)「それに、ホラーナ洞窟にもお詳しいですね。よく来られているんですか?」
( ´W`) 「……コウモリは大人しいようじゃな」
(*ФωФ)「?」
(´W` ) 「実はの、ワシは元々、ここの鉱山で働いとったのよ」
( ФωФ)「そうなんですか?」
( ФωФ)「でもホラーナ洞窟は洞窟って名前ですけど?」
(´W` ) 「とっくの昔に閉山しとるよ。お嬢ちゃんが生まれるよりずっと前に。なんせ、ワシがトレジャーハンターとして冒険者になる前のことだからのう」
(’A` )「元々は坑夫だったんスか」
(´W` ) 「そうじゃ。ここは"天然宝箱"なんて呼ばれとるが、その異名は鉱山だった頃につけられたものなんだよ。金銀ダイヤ、ルビーにサファイア、アメジスト……掘れば掘るだけ宝石が出てきた」
(´W` ) 「わしもそんな噂を聞きつけ、ここの坑道でしゃにむに宝石を掘り出しておった。ホラーナ鉱山の近くには小さな町があっての。酒場に商店に病院。学校まで揃っとった」
( ・∀・)「へぇ!まさに栄華を極めたってかんじですね」
(´W` ) 「うむ。まさに"黄金時代"じゃった……」
( ФωФ)「しかし、だとしたら何故、閉山してしまったんですか?」
(´W` ) 「そうだのう……どう話したものか……」
「キシャァ、キシャァ」
カーン…………カーン…………
(´W` ) 「……コウモリが騒ぎ出したか」
(´W` ) 「そろそろ出発しよう。続きは次に休憩するときでもよかろう」
(ФωФ )「え、あぁ……そうですね!コウモリがここまで来ても困りますし」
(^ω^ )「よーし!坑道だから歩きやすい!スピード上げて進むぞ!」
(・∀・ )「……」
( ・∀・)「……そうだね」
(’A` )「なんか臭うな」
( ・∀・)「うん。どれくらい?」
(’A` )「コウモリのクソくらい」