修道女は認識を改めるようです
288 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
【魔界の港街・チミンショク 市場】
(・Д・ )「安いよ安いよ!他の店より安くするよ!」
(´・ω・)「今日は市場が開かれてるみたいだね」
(・ω・`)「そうだ。酒場に行くより、市場で適当に食べたいものを買って飲まないか?」
( ^ω^)「おっいいなソレ」
(;ФωФ)「しかし、魔界の市場で果たして僕らが食べられるモノなんて売っているのでしょうか」
(・ω・`;)「普通に売ってるよ……君は魔族が何を食べてると思ってるんだ」
( ФωФ)「人肉とか、魔物の目玉とか、血液リキュールとかですかね?」
(・ω・`)「食うワケねぇだろ」
(・ω・`)「普通に豚肉、ジャガイモ、キャベツとかビールだよ」
( ^ω^)「ドイツ人かな?」
(;ФωФ)「えっ?豚肉なんて不浄なモノを食べるんですか!?」
(’A`;)「面倒くせぇなもう」
( ・∀・)「それなら各々好きなものを買って、街の広場に集合しようか」
289 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
【戦士の場合】
( ^ω^)「肉が食いてぇ……」
( ^ω^)「というワケで肉屋に来ました」
( ^ω^)「へい大将、やってる?」
(・Д・ )「風呂敷広げてんだから当たり前だろ。何をお求めで?」
( ^ω^)「広場で一杯やろうと思ってんだけどさ、オススメのもんある?」
(・Д・ )「そうだなぁ……干し肉は?」
( ^ω^)「それもいいけど、せっかくなら新鮮なモンがいいかな」
(・Д・ )「新鮮ねぇ」
(・Д・ )「それなら鶏を絞めてやろうか?ヤシモ産のは脂が乗ってて旨ぇぞ」
( ^ω^)「おっいいねぇ!どこか調理してくれる店知ってる?」
(・Д・ )「2羽買ってくれたら、俺の方で丸揚げにしてやるよ」
( ^ω^)「鶏の丸揚げ!旨そうだな」
(・Д・*)「もちろん。皮がパリッパリで肉はジューシーで!」
( ^ω^)「よし買った!あと干し肉も3本くれ」
( ^ω^)「そんで揚げ鶏に合う酒って、どこの店で買うのがいいかな?」
(・Д・ )「それなら港の方の……」
290 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
【道化師と魔法使いの場合】
(’A` )「なんか戦士が肉屋に行くとか言ってけど……こういうのって屋台でメシ買う方が手っ取り早くないか?」
( ・∀・)「なにかしら考えがあるんじゃない?」
彡・ω・´ミ「へいらっしゃい、らっしゃい!そこの兄ちゃん達!『パパドゥマレミングス』美味しいよ!」
( ・∀・)「おおよそ飲食物の名前ではない何かを宣伝されても」
彡・ω・´ミ「あら!?『パパドゥマレミングス』知らない!?」
彡・ω・´ミ「まさか観光客かいッ!?」
( ’A`)「不穏なルビが見えた気がする」
( ’A`)「しかし『パパドゥマレミングス』。引力を持った名前をしてやがる」
( ’A`)「どんな食べ物なんだ?」
彡・ω・´ミ「油で揚げた卵にライスと具材を混ぜて焼き上げた……」
彡・ω・´ミ「チャーハン」
( ・∀・)「じゃあチャーハンじゃねぇか」
彡・ω・´ミ「だが『パパドゥマレミングス』はチャーハンであってチャーハンではない!」
( ・∀・)「何が違うの?」
彡・ω・´ミ「レタス入り」
( ・∀・)「じゃあレタスチャーハンだよ」
( ’A`)「でも俺レタスチャーハン好きだし、それはそれで良いな」
( ’A`)「オヤジさん、ひとつちょうだい」
彡・ω・´ミ「あいよ!」
彡・ω・´ミ「チャーハン作るよ!」
( ・∀・)「チャーハン作るっつっちゃってんじゃん」
291 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
彡・ω・´ミ「チャーハン作ってるよ!」ガシャガシャ!
(;’A`)「……えっ?油の量エグくない?」
( ・∀・)「インド屋台の量だね」
(;’A`)「米が油の中泳いでんだけど……あの油の塊を食うの俺?」
( ・∀・)「あ、謎の粉調味料が丼いっぱい投入された」
(;’A`)「えっちょっと待って?」
(;’A`)「追いバターッ!?」
292 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
【盗賊と修道女の場合】
(゜、゜*)「海の街だし、海鮮系が食べたいわね」
(゜、゜*)「修道女ちゃん、海鮮は大丈夫?」
( ФωФ)「牡蠣以外なら食べられます!」
(゜、゜*)「……当たったことあるの?」
( ФωФ)「あの時は死にかけました」
(゜、゜*)「じゃあ牡蠣以外の海鮮で……生じゃないものにしましょう」
(´∀` )「ヘイ!そこのお嬢さん!ヘイ!」
(;ФωФ)「え?僕ですか?」
(゜、゜*)「何かしら?押し売りなら結構だけど?」
(´∀`;)「あっいや、そうじゃないよ!魚が食べたいっていう声が聞こえてね……」
(´∀` )「僕は『グリトグラ』の屋台をやってるんだ!」
(゜、゜*)「でっかいカステラでも出てきそうな名前ね」
(´∀` )「いや世間一般にはフィッシュ&チップスと称されるアレです」
(゜、゜*)「ならそれはフィッシュ&チップスよ」
(´∀` )「しかし『グリトグラ』はフィッシュ&チップスであってフィッシュ&チップスではない!」
(゜、゜*)「たぶんだけど私以外の誰かも全く同じやり取りをしている気がするわ」
(;ФωФ)「いちおう聞いておきましょう……何が違うのですか?」
(´∀` )「『グリトグラ』はタルタルソースをつけて召し上がります」
(゜、゜*)「こっちの匙加減じゃないのよ」
(゜、゜*)「まぁでもフィッシュ&チップスなら丁度いい手軽さね……3人前くらいちょうだい」
(´∀` )「あざーす!」
293 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
(;ФωФ)「えっちょっとそこで?」
(゜、゜;)「追いバターッ!?」
294 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/14(水)18:00:00.00 ID:1399336
【魔界の港街・チミンショク 広場】
(´・ω・)「えー……各々の裁量に任せた結果」
(´・ω・)「食卓が油まみれになりました」
( ’A`)「仕方ねぇだろ屋台飯なんて油モノばっかなんだからよ」
(゜、゜;)「それにしても油を使いすぎじゃない?」
(;ФωФ)「あと味が……すっごい濃いですね」
( ・∀・)「悪くなった食材も油で揚げてスパイスかければ、一定の美味しさが確保できるからね」
(´・ω・)「道化師くんが言った理由もあるだろうけど……まぁ魔界の食文化かな。そういう料理は多いよ」
(^ω^*)「揚げ物好きからすれば素晴らしい文化だな」
(^ω^*)「それに味は悪くねぇだろ?酒にも合うしよ」
(゜、゜*)「それはそうなのよねぇ」
( ・∀・)「このビールも美味しいね。どこで買ったの?」
(^ω^*)「港の方の……」
( ’A`)「後で船長達にもお土産で買ってってやろうぜ」
( ФωФ)パクパク……
( ФωФ)クピクピ……
(´・ω・)「どうだい修道女さん、魔界への誤解は解けたかな?」
(;ФωФ)「っ!」
(;ФωФ)「……ま、まぁ……そうですね」
( ФωФ)「魔界で暮らしてる魔族も、僕達と同じように笑い、同じ物を食べて、同じ酒を飲んで……」
修道女が広場を見回すと、そこでは色々な人々が食事をしたり、寝たり、友人と談笑をしたりと、憩いの時間を過ごしているのが目に映った。彼女の育った町と同じ風景だ。
( ФωФ)「いや、そもそも人間や魔族に違いはないのですね。僕達が勝手に線を引いているだけで」
(´・ω・)「そうだね。魔族の血が入っている僕は、君にそれを知ってほしかった」
( ФωФ)「しかし、ということはつまり……」
(´・ω・)「ん?」
(#ФωФ)「魔王は、女神様を裏切り、教義を歪め、このような善良な人々を騙しているのですね!なんという鬼畜の所業!」
(#ФωФ)「やはり魔王はぶっ殺さねば!」
(´・ω・)「あっそういう認識になるんだ」
(・∀・ )「教育って怖いね」