勇者達は海底遺跡の鍵を手に入れるようです その①
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。キーホルダーとか付けないタイプ。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。モノをよく失くすが、鍵だけは一度も失くしたことがない。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。もちろんピッキングができる。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。靴修理の店が合鍵作成も一緒に取り扱っている理由を聞いても納得いかない男。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。物語の鍵を握る。
(´・ω・)【諜報員】:情報屋ギルド所属の男。家に鍵をかけるという概念のない田舎に生まれる。
( ノ∀`)【考古学者】:西ゼリヤ王国の貴族の息子。鍵を持ったことがない。
268 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/08(木)18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号】
(^ω^ )「ケット王国ッ!?」(’A` )
(^ω^ )「……………………」(’A` )
(^ω^ )「ってなに?」(’A` )
(´・ω・)「ケット王国、通称:ネコの国」
(´・ω・)「人猫族の女王が統治する……魔界の同盟国だよ」
(’A` )「ネコは遂に人間を支配したのか……」
(’A` )「やはりネコは強いな」
(・∀・ )「でも、どうしてそのケット王国に寄るの?」
(・∀・ )「目的地は海底遺跡だろ?」
( ノ∀`)「それは考古学者の僕から説明します」
( ノ∀`)「【水の天使神殿】へ行くには海底遺跡の謎を解かないといけないというのは知っていますか?」
(ФωФ )「あっそれは教会の高弟様から聞きました!」
( ノ∀`)「なら話は早いですね。その謎を解く鍵が、ケット王国にあると言われているんです」
(・∀・ )「……なんで?」
(゜、゜*)「神殿とネコって関係なさそうだけど」
( ノ∀`)「それはですね、聖アガメマス教の神話まで遡る話があるのです」
(ФωФ;)「神話ですって!?」
(^ω^ )「知っているのか修道女!?」
( ФωФ)「知らないです!」
(^ω^ )「修道女ってあんまり自分の宗教のこと知らないよな」
(’A` )「俺達だって念仏の意味とか知らないじゃん」
( ノ∀`)「まぁ、この神話は"正統な編纂"以前の古文書のものですから、一般の信徒で知っている方は少ないでしょう」
(’A` )「どんな話なんだ?」
( ノ∀`)「簡単に言うと、アガメマスの女神様が飼っていたネコがケット王国を建国したというものです。ケット王国の女王は、そのネコの血を継いでいると言われています」
(・∀・ )「建国神話か」
( ノ∀`)「そのネコの名前が『ケット』。そして彼は女神様より【水の天使神殿】を守る大役を任されたのです」
(^ω^ )「犬のほうがよくない?番犬的な」
( ノ∀`)「犬は飼ってなかったので」
(’A` )「女神様は猫派だったんだな」
(´・ω・)「説明ありがとう、考古学者先生。だから【水の天使神殿】に行く前に、ケット王国で鍵を手に入れなければならないんだ」
(゜、゜*)「理由は分かったけど……その鍵はどうやって入手するの?」
(´・ω・)「方法は2つある」
(´・ω・)「1つは国庫に保管してある鍵を盗み出すこと」
(・∀・ )「1つ目の方法が合法じゃないことってある?」
(’A`;)「まぁ、神話になるようなものって国宝だろうしな」
(´・ω・)「盗賊さん程の実力なら、この方法でいけるんじゃないかな?」
(゜、゜*)「私は本来スパイなのよ。他に方法があるなら盗みはしたくないわ」
(^ω^ )「姐さんは仕事にプライド持ってるからな」
(・∀・ )「もう一つの方法は?」
(´・ω・)「然るべき行政機関の窓口にて、重要文化財貸出申請書類を提出したのち、希望者の書類審査と面接を経て、レンタル料金を支払えば貸してもらえるよ」
(・∀・ )「バリバリ合法の手段あるじゃねぇか」
(’A` )「そっちを1つ目に挙げろや」
(;ノ∀`)「意外と審査が厳しいとの噂がありまして……」
(・∀・ )「神話に出てくる物体の貸出審査が厳しくないワケねぇだろうがよ」
(゜、゜*)「貸し出してくれるだけ温情よね」
(ФωФ;)「ただ……国民でも魔界の住民でもない僕達に貸してくれるでしょうか?」
(´・ω・)「そう、そこが厄介でね。審査や面接の合格基準は非公開なんだ。それに、君達は勇者なのだろう?もしかしたら申請書を出そうと窓口に行った途端に拘束される可能性もある」
(´・ω・)「それでも合法の手段に訴えるかな?」
(・∀・ )「ったりめぇだろ」
(’A` )「モラルを守れモラルを」
(^ω^ )「俺たちゃ日本人だぞ」
(゜、゜*)「アンタ、アメリカに移住してなかった?」
(;´・ω・)「想像以上に規範意識が高い……っ」
(;ノ∀`)「勇者とか、こういう状況の時にスピード解決を優先しそうなものですが」
(’A` )「俺達は社内教育でコンプライアンスを叩き込まれてるからな」
(;´・ω・)「……分かった。神殿に行きたいのは君達だからね、そっちの方法に合わせよう」
(´・ω・)「しかし、うまくいかなかった時のサブプランは、考えておいたほうがいい」
269 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/08(木)18:00:00.00 ID:1399336
こうして、勇者達はケット王国へと入国。国立文化財管理センターへと赴いたのであった……。
270 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/08(木)18:00:00.00 ID:1399336
【国立文化財管理センター 資料館・利用受付カウンター】
ミ ロ⊿ロ彡「"海底遺跡の鍵"の貸出申請ですね。ご本人様確認書類はお持ちですか?」
(・∀・ )「冒険者ギルドの会員証でいいですか?」
ミ ロ⊿ロ彡「どちらの冒険者ギルド……ランクエスでしたか、でしたら提携ギルドですので大丈夫ですよ。コピーを取らせて頂きますね」
ミ ロ⊿ロ彡「ランクはC級冒険者ですか……学芸員か考古調査士資格はお持ちで?」
(・∀・ )「僕は持ってないんですけど、考古学者がパーティにひとり」
ミ ロ⊿ロ彡「あっでしたら問題ありません。申請が受理された場合は、そちらの方が"海底遺跡の鍵"を携帯・管理するようにお願いします」
(・∀・ )「分かりました」
ミ ロ⊿ロ彡「面接の希望日時はございますか?」
(・∀・ )「できるだけ早めってできますかね?」
ミ ロ⊿ロ彡「でしたら4日後の午後13時15分から……」
271 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/08(木)18:00:00.00 ID:1399336
(・∀・ )「審査通ったよ」
(;´・ω・)「早っ!」
( ^ω^)「消費者金融の速度じゃん」