書き溜めストックが尽きたそうです
236 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/04(日)18:00:00.00 ID:1399336
番外編:魔法の呪文
237 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/04(日)18:00:00.00 ID:1399336
【ラクシズへ向かう馬車の中にて】
( ^ω^)「魔法ってあるじゃん?」
(’A` )「あるな」
( ^ω^)「あれってどういう仕組みなの?」
(’A` )「話すと長くなるけど」
( ^ω^)「いいよ暇だし」
(’A` )「魔法とは……まぁざっくり噛み砕いて表すと『それを使う人がイメージしたものを、そっくりそのまま現実化させる』方法のことだな。例えば離れた場所にある本を手元に引き寄せたり、空を飛んだり、マッチを擦らずに火を生み出したり。学術的には『主格の内にのみ存在する象を、その象の完全性を保ったまま現実世界に存在させる』ことと定義されていて……あ、『主格』っていうのは魔法を使う人のコトで、『完全性』っていのは、イメージと実際に生み出した現象や物に、欠損や変質が無いことだな。だからイメージが不十分・不明瞭だと魔法は期待通りには機能しない。本は手元に来る前に床に落ち、火はすぐに消える」
( ^ω^)「そういう原理的な話じゃなくて」
(’A` )「なら早く止めてくれよ」
( ^ω^)「あの、あれよ。お前が魔法使う時にさ、『なんとか魔法:なんちゃら』みたいに言ってるじゃん?」
( ^ω^)「あれの意味よ」
(’A` )「ああ、呪文詠唱ね。あれは個々人のイメージに依る魔法システムは煩雑で合理性に欠けるってんで、古代の魔導士達がライブラリを整備したんだけど、そのライブラリから魔法を取り出す為のコマンドみたいなもんだな」
(’A` )「基本的には、"呪文"『魔法分類:魔法名』という構成になっている。今まで使ったり使われたりした魔法だと、こんな感じだな」
炎系魔法……
"骨肉貪り血汗啜る、悟りに身を焼く行者の輪廻"『蒸熱魔法:熱波』
"憤怒怨嗟を結集し、無量の徒花求めて曰く十万億土一切焦土"『獄炎魔法:千紫万紅』
対抗魔法……
"灰よ花へ"『対抗魔法:対火』
"兵よ賊へ"『対抗魔法:対氷』
"刃よ歌へ"『対抗魔法:対風』
"鎖よ契へ"『対抗魔法:対土』
防護魔法……
"脳裏の納屋に棲まう父よ、原風景の機を織る母よ。過去を囲い、未来を塞ぐ"『防護魔法:嚮壁虚造』
(’A` )「"呪文"の部分は術者のイメージを明確にする効果があって、完全に詠唱すると魔法が強力になるが、詠唱しなくてもいい。戦闘中にいちいち唱える時間も、あんまりないしな……まぁ、必殺技って感じかな」
(’A` )「そして実は魔法名を言わなくても、魔法は使える。つまり『炎魔法』!って分類名だけ言えば火が出るし、『光魔法』!と言えば光る……ただ、これだけだとイメージが曖昧すぎて戦闘で使うには弱すぎる。野生モンスター相手には十分だが」
(’A` )「だから魔法使いは基本的に『魔法分類:魔法名』で、魔法を唱えるんだ。分かったか?」
( ^ω^)「呪文が長ぇよ」
(’A` )「説明だよ」