勇者達は情報を得るようです
229 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/01(木)18:00:00.00 ID:1399336
【冒険者ギルドの酒場】
( ФωФ)「……魔王の目的ですか?」
(・∀・ )「うん。そういえば知らないなって」
(゜、゜*)「世界征服じゃないの?」
( ’A`)「いやいや。世界征服は前段でな、その先に真の目的や計画がどうたらこうたらってのが今や定番の流れなんだよ」
(・∀・;)「そこまでドラマチックでないにしろ、歴史的な理由とか経済的な理由とか、征服戦争を始めるきっかけはあると思うんだ」
( ФωФ)「う~ん……僕も魔王は世界征服を目論んでいるとしか教えてもらってないですね」
( ФωФ)「魔王というのは、強欲と悪徳の権化と言われています。ただ単純に世界征服欲が昂ってるだけでは?」
(・∀・ )「生理的な理由で世界征服されてたまるか」
(゜、゜*)「ま、誰も知らないことを考えても仕方ないわね」
(゜、゜*)「それより私としては魔王が"なにがしたい"のか知りたいんだけど」
( ФωФ)「"なにがしたい"?」
(゜、゜*)「魔王は西ゼリヤ王国でタヌキ達を使って『ターピュライト』を造らせて、ラクシズではログマジアに『熟練工(魔法使い)』を集めさせた。そして、何故かは知らないけど……【風の天使神殿】を爆破した」
(゜、゜*)「なにがしたいの?」
( ^ω^)「なにがって……なんかの作戦だろ。知らんけど」
(゜、゜*)「……魔王って女神との最終決戦に勝ったんでしょ?」
(゜、゜*)「世界征服は目前に迫っているんでしょ?」
(゜、゜*)「じゃあその流れと物量に任せて世界征服すればいいじゃない!」
(゜、゜*)「なにを直前で寸止めして、コソコソ回りくどいことしてんのよ」
(;ФωФ)「そ、それは……」
(´ ω )「その"情報"……教えてあげようか?」
(゜、゜*)「え?」
(・∀・ )「あっ」
(’A`;)「おっ……お前は!」
(゜、゜*)「アナタは!」
(´・ω・)「やぁ、久しぶりだね。冒険者さん」
(^ω^#)「盗人野郎ッ!」
(゜、゜*)「バーテンダーさん!?」
(;^ω^)「えっ」(゜、゜;)
从*゜∀从「おうおう、仲介人を連れてきたぜ!」
从;゜∀从「……って、なんだ、この空気?」
230 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/05/01(木)18:00:00.00 ID:1399336
(^ω^#)「……俺は反対だぞ、こんな盗人を仲間に加えるなんて!」
(´・ω・)「まったく、なんど言ったら分かるんだ。僕は盗人じゃないって」
(´・ω・)「僕は"情報屋ギルド"に所属する諜報員だ。君達のターピュライトを狙ったのも"クエスト"……上から与えられた仕事に過ぎない」
(゜、゜*)「諜報員にもギルドがあるの?」
(´・ω・)「冒険者ギルドほどカッチリ組織立ってはいないよ。相互扶助の為の寄り合い程度のモノさ」
(´・ω・)「あの時は、西ゼリヤ王国に家出している、さるご令嬢を密かに監視するという"クエスト"をしていたんだけど……」
(ー、ー;)(受付嬢さんね)
(ノ∀`;)(フィオレ王も人の親ですね)
(´・ω・)「やんごとなき身分の方からの"クエスト"を依頼されてね。それがホラーナ洞窟に眠るターピュライトの回収だった、というだけさ」
(^ω^#)「じゃあ最初からそう言えよ!」
´;・ω・)「言ったじゃないか……なんなら最初に攻撃してきたのは、あの爺さんだよ」
(・∀・ )「……アナタが何もかもを隠してるような物言いだったから、敵だと思われたんですよ」
(・∀・ )「実際、俺達もアナタを魔王の手下だと思ってましたし」
(’A` )「正直に全部話せば、老師だってターピュライトを渡してくれたかもしれないだろ?」
(´・ω・)「正直に話しても納得しないさ。だって彼の目的はターピュライトの破壊だろう?」
(´・ω・)「依頼主は、それを使うから僕に回収させたんだよ?」
(’A`;)「……あぁ、そうか」
(´・ω・)「ちなみに使用用途も話すことはできなかった。そういう契約だし……"余燼"を依頼主の敵に回すのは避けたかった」
(ФωФ )「"余燼"?」
(;’A`)「老師の異名だ。S級冒険者としてホラーナ鉱山の関係者を皆殺して回っていた頃に付けられたんだと」
(´・ω・)「実力と名誉があるから不問にされてるけど、彼は普通にキチガイだからね。依頼主が殺されちゃ、僕の評判は地に落ちる。だから僕だけが狙われる為に仕向けたってワケ」
(´・ω・)「もし彼がターピュライトを取り戻しに僕の所に来ても、僕が自害すれば真相は闇の中。依頼主の身は守れる」
(・∀・;)「なにもそこまで……」
(ー、ー*)「いや、彼が正しいわ。スパイとして絶対にしてはいけないのは敵に情報を話すこと。それに話した時点で、どちらにせよ殺されるしね」
(´・ω・)「その通り。いやぁ、まさか君が同業者だったなんて……なんか嬉しいな。運命感じちゃうね?」
(゜、゜*)「いや、私は嬉しくないわ」
(´・ω・)「あら残念。どうしてだい?」
(゜、゜*)「だって自分以外のスパイなんて、この世で一番信用できないでしょう?」
(´・ω・)「ははっ同感」
(^ω^#)「おいお前、話はまだ終わってねぇぞ!」
从∀ー;从「戦士。過去のゴタゴタは分かったが、もう決まったことだ」
(;^ω^)「船長!今からでも代えられねぇのか?」
从∀゜;从「んなこと言っても、もう前金払っちゃったし」
(´・ω・)「キャンセル料も貰うよ」
(´・ω・)「バカ高いよ」
从∀゜;从「!」
从∀゜*从「そもそも雇う船員を決めるのは船長の特権だ!アンタにどうこう言われる筋合いはねぇ!」
(;^ω^)「そんなぁ~~」
(ФωФ )「戦士さん……女神様の教えには、こうあります」
(ФωФ )「『とりあえず仕事は仲良くやろうや。でも定時過ぎたらどつき回したるからや』」
( ・∀・)「女神様は西の方にお住まいの方?」
( ^ω^)「女神様がそう言うなら……」
( ’A`)「後でどつき回す気だな」
(ノ∀`;)「ま、まぁ。これで無事出港できると言うことで」
(゜、゜*)「ところでバーテンダーさん?」
(´・ω・)「なんだい」
(゜、゜*)「やんごとなき身分の方って?」
(´・ω・)「それは、海の上でカクテルと一緒に」
(゜、゜*)「できれば軽いのが良いわね」