第一回!チキチキ私争奪!イテーツク山脈ハイキング その②
211 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/25(金)18:00:00.00 ID:1399336
【イテーツク山脈 9合目】
( ^ω^)「でぇいやぁ!」
(゜Д゜雪ミ「ぐぁぁぁッ!?」
イテーツクの山にモンスター、雪男の断末魔がこだまする。戦士の剣が雪男を袈裟斬りにしたのだ。
(;^ω^)「ふぅ……こんな高い場所でも、案外モンスターが多いんだな」
(’A`;)「しかもドイツもコイツもやたらと強いし。こっちは雪崩とか起こしちゃいけないから炎魔法縛りだってのに」
(;・∀・)「仕方ないよ。標高9000メートルなんてデスゾーンに両足つっこんでんだから」
(ФωФ )「デスゾーン?」
(;・∀・)「高所は空気中の酸素濃度が薄くなるんだ。今いる標高だと麓の3分の1以下だね。そんな場所にいると、人間は息苦しくなったり、頭痛がしたり、どんどん体力を削られるんだ」
( ^ω^)「毒沼歩いてるようなもんだな」
(ФωФ;)「くぅ……やはりイテーツクの峰は一筋縄ではありませんね」
ξ ゜⊿゜)ξ「あれ、でも私は気分が悪くなったりしてませんわよ」
( ´ハ`)「お嬢様には私が"環境適応の魔法"をかけております。風邪をひいてはいけませんので」
(’A` )「過保護だな」
(゜、゜*)「お姫様だもの」
( ´ハ`)「一応、皆様にも同じ魔法をかけておりますよ。お嬢様にかけた程ではありませんが」
(ロ∀ロ-)「なるほど。それで妙に身体が軽いんですね」
( ^ω^)「あれ、他の求婚者さんは?」
(ノ∀`;)「ぼ、僕はまだ大丈夫だ。考古学者はタフでなければ生きていけないからね……」
(;ノ∀`)「だが、スミスクラブの御曹司はダメだったようだ……」
(イ∀` )『寒い、痛い、無理』
(ノ∀`;)「今頃はロープウェイの駅に着いているだろう」
エントリーNo1:武具屋の御曹司イシヅ君
( イ∀`)
趣味:石集め
好物:カレー
【脱落】
ξ;゜⊿゜)ξ「この環境なら仕方ありませんわよね」
( ・∀・)「マロリタさんは余裕そうですね」
(ロ∀ロ-)「これでも騎士団所属ですから」
( ^ω^)「ただ俺も騎士団で修行したけど、戦い方がっぽくないよな」
(ロ∀ロ-)「あぁ、それは騎士団というのは国によって信条が違うからですね。戦士さんが修行したのは西ゼリヤ騎士団でしたっけ?」
( ^ω^)「うん」
(ロ∀ロ-)「西ゼリヤ騎士団の信条は『力こそ力』」
(’A` )「バカみてぇな信条だな」
(ロ∀ロ-)「いやいや馬鹿にはできません。その信条に従う彼らの実力は、全騎士団一とも評されています」
(ロ∀ロ-)「私のハッシュ騎士団は戦況に応じて柔軟に戦術を変える、"技"を信条としていますが……彼らは私の作戦など小細工と言わんばかりになぎ倒しますからね、たまりませんよ。剛よく柔を断つといいますが、まさにその通りなのが西ゼリヤ騎士団なのです」
( ^ω^)「へぇ~~じゃあ、あの騎士団長ってヤバい人だったんだな」
(・∀・ )「そりゃ身体に岩を括りつけての30Km遠泳を訓練とか抜かす奴はヤバい人だよ」
(’A`;)「戦士お前そんなことしてたのか……」
( ^ω^)「でも筋肉はついたし」
(・∀・ )「騎士団とは名ばかりのバカの再生産工場」
212 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/25(金)18:00:00.00 ID:1399336
【イテーツク山脈 9.5合目】
( ^ω^)「でぇいやぁ!」
(゜Д゜雪ミ「ぐぁぁぁッ!?」
(ロ∀ロ-)「そりゃッ!」
彡雪゜Д゜)「なばぁぁッ!!」
さらにモンスターを倒しつつ雪山を登る勇者達。彼らの前に未だ頂は見えず、やがて西の彼方に日が沈み始めた。
ξ ゜⊿゜)ξ「お夕飯ですわー!」
(^ω^ )「おーっあざす!なになに?」
( ・∀・)「カレー」
(^ω^ )「だろうね」
( ・∀・)「あと、今日はここで野営をして、明日十分に日が昇ってから山頂を目指そうという話になったよ」
(^ω^ )「まだ明るいし行けるくね?」
( ´ハ`)「いえいえ。この高度では無理は禁物ですよ。魔法で回復しているとはいえ、集中力や気力は着実に削がれています」
( ´ハ`)「無理して崖から転落などしたくはないでしょう?」
(^ω^;)「おお……」
213 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/25(金)18:00:00.00 ID:1399336
【イテーツク山脈 深夜のキャンプ地】
(;’A`)「あ~小便小便……高所じゃあ、水分はどんなに摂っても摂り過ぎるということはないと聞いたが、流石に飲みすぎたか?」
( ’A`)「ん?あれは修道女と……セバスチャン?」
( ФωФ)(´ハ` )
魔法使いは咄嗟に岩陰に身を隠す。
(’A` )「なんだなんだ。逢引にゃ年の差過ぎねぇか?……んなわけねぇか」
彼は会話が聞こえる位置まで来ると、聴覚を研ぎ澄ませた。
( ФωФ)「……避難者は、本当に誰もいなかったんですか?」
(´ハ`;)「ええ、私が知る限りでは。むしろアナタが、あの"白夜"の生き残りだということに驚きました。あれは……かつて騎士だった私が経験した中で、一番悍ましい戦いでした」
(ーハー;)「……いや、戦いではありませんね。私達は、どうすることもできなかった。村々が蹂躙されていたのを……本当に、申し訳ありません」
(;ФωФ)「い、いえ。セバスチャンさんが謝ることなんてありませんよ」
( ФωФ)「悪いのは全て魔王なのですから!」
(´ハ`;)「あ、あぁ……まぁ、そうかもしれませんが……」
( ФωФ)「しかし、これでハッキリしました。祭司様からは"村がなくなった"とだけ聞いていましたから。もしかしたらの一縷が、あるかもしれませんでした」
( ФωФ)「けれど、その糸は既に断ち切られていましたので、やはり僕は旅を続けなきゃいけません」
(´ハ`;)「旅……あの冒険者達とか。君達はなにを……?」
( ФωФ)「家と故郷を焼かれた子どもが思うことなんて一つですよ」
( ФωФ)「魔王をぶっ殺すんです」
( ФωФ)「その為に、僕は彼らを導いているのですから」