勇者達は仕様には逆らえないようです
180 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/17(木)18:00:00.00 ID:1399336
【炎の天使神殿】
(一A一天)……zzZ……zzZ
(一A一天)……zzZ……zzZ
ピーン……ポーン
(一A一天)「んがっ……チャイム?」
(天一A一)「ンピリュクォ祭りのウギョホック・ジャワヌィ儀式は来月のハズだよな……誰だ?」
ピーン……ポーン
(天一A一)「どうしよ回線業者だったら嫌なんだよな」
(天一A一)「やっぱモニター付きのインターホン買っとけばよかったかな」
ピーンポーン
(天一A一)「……」
(一A一天)「ま、いっか。寝よ」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
;#天゜A゜)「うるせぇぇっ!さっさと入ってこいやぁぁ!!!」
(^ω^#)「んなら居留守使ってんなゴルァァッ!!」
(;天一A一)「っ!!!お、お前らは……っ!」
(^ω^#)「てめぇらが召喚した勇者様じゃゴルァァッ!」
(;天一A一)「あ、あ……ま、まさか……!」
(;天一A一)「お礼参りかっ!?」
(ФωФ;)「まだお願い事言ってもいませんけど……」
(・∀・ )「たぶんそっちの意味で言ってないと思うよ」
(’A` )「お礼参りされるかもという認識はあったんだな」
181 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/17(木)18:00:00.00 ID:1399336
【炎の天使神殿】
(天一A一)「ん゛ん゛っ」
(天一A一)「我は女神様が四肢。『炎の天使』である」
(天一A一)「汝らは如何なる理由を以て此の神殿に来るに至った?」
(・∀・ )「あっもうどう取り繕っても無理っスよ」
(’A` )「威厳壊れちゃった」
(天一A一)「あ、そう?じゃあ止めるわ」
(゜、゜*)「フットワークが軽やかね」
(天一A一)「んで、なんでこんな田舎までわざわざ」
(^ω^ )「かくかくしかじか」
(天一A一)「なるほど。魔王を倒せるほど強くなりたいのか」
(・∀・ )「そういうことです」
(’A` )「なんとかなりませんかね?」
(天一A一)「まず、そんな力があれば俺達大天使が魔王を倒してるとは思わない?」
(^ω^ )「あっ」
(ФωФ )「たしかに」
(゜、゜*)「その言い分は予想してたけど、でも大天使って言うくらいなら、それなりの力はあるんでしょ?」
(天一A一)「まぁ、そりゃそこらの魔物には負けないけど」
(゜、゜*)「分けなさいよ」
(;天一A一)「横暴が過ぎない?」
(’A` )「いいだろ神とか天使とか普段は横暴を振りまく側なんだから」
(;天一A一)「それは誤解だって。俺達は基本的に人間の願いを聞いて、それを叶えてるだけなんだから」
(;天一A一)「その結果が横暴に見えるってことは願い事や祈りの方法に問題があるんじゃないの?」
(’A` )「たしかに」
( ^ω^)「納得しちゃった」
(’A`;)「IT屋としちゃ耳が痛い言葉だったぜ」
(天一A一)「でもさ、そもそもの話……"力"って必要?」
(^ω^ )「男と生まれたからには誰でも一生のうち一度は夢見るでしょ」
(’A` )「あってこまるもんでもないしな」
(・∀・ )「必要か否かはこっちで判断するんで」
(天一A一)「欲するねぇ~まぁ、そこまで言うなら分けてあげるよ」
(^ω^ )「おっしゃ!ダメ元だったけど上手くいったぜ!」
(ФωФ )「ありがとうございます!」
(天一A一)「ただし、力を分けられるのは……"魔法使い"。君だけだ」
(’A` )「えっ俺?」
(;^ω^)「なんでぇずっりぃ!」
(゜、゜*)「そうよ。ケチケチしないで」
(;天一A一)「いや。ケチとかじゃなくて」
(天一A一)「たしかに大天使の力を勇者に与えることはできる」
(天一A一)「ただ、それは俺が召喚した勇者だけなんだ」
(’A` )「なんでそんな縛りがあるんだ」
(天一A一)「だって普通は四大天使が力を合わせて一人の勇者を召喚するもんだし。俺だってこの仕様を知ったの召喚した後だよ」
(天一A一)「君たち今、世界がイレギュラーな状態だってこと分かってる?」
(・∀・ )「そのイレギュラーを発生させたのはテメェらだろうが」
(’A`;)「まぁでも仕様なら仕方ないか……」
( ^ω^)「さっきから素直すぎない?」
(’A` )「もう稼働してるシステムの仕様の是非について詰問される辛さは身に沁みてるから」
(天一A一)「そうそう。この世界の仕様だからね、なるようにしかならないんだよ」
(^ω^ )「神様なんだったら変えりゃいいじゃん」
(天一A一)「俺は天使だって。神様の手足となって動くだけだし、そんな大層な力はないよ」
(・∀・ )「俺達を地球からこの世界に召喚する力はあるのに?」
(;天一A一)「そ、それだって女神様の創った"機能"だ。俺達は指示に従って機能を動かしただけ。もちろん、仕組みだって詳しくは知らないよ」
(・∀・ )「そんなんだからオペレーションをミスるんじゃないの?」
(;’A`)「もう止めてくれ!運用担当者さんをイジメないで!」
(^ω^ )「あ、魔法使いのスイッチが入った」
(;’A`)「彼は何にも悪いことはしてないわ!悪いのは煩雑な仕様と、散逸した設計書、大事なことだけ書かれてないマニュアルよ!」
(一A一天;)「わ、分かってくれるのか?魔法使い……」
( ’A`)「ああ、俺は君の味方だ!」
( ’A`)「だからお前ら、特に道化師!もう炎の天使君にキツイこと言うなよ!」
(・∀・ )「あいあい。そういうもんだと思っとくよ」
(゜、゜*)「天使一柱につき一人しか力が貰えなくても、どうせ四つの神殿を巡る予定だったんだし。誤差ってことにしときましょ」
(゜、゜*)「ちなみに炎の天使さん、他の勇者……例えば私に力を与えるとどうなるの?」
(天一A一)「与えられた勇者は全身の血液がゼリー状になって死ぬ」
(゜、゜*)「カスみたいな仕様ね」
(・∀・;)「と、とりあえず魔法使いのパワーアップは素早く済ませよう。敵は、まだこの島の中にいるんだから」
( ^ω^)「ブルボンゴ君がやっつけてくれるんじゃない?」
(’A` )「お前のブルボンゴ君への信頼はどこから来んだよ……」
(天一A一)「それじゃあ魔法使い、力を与える儀式は奥の祭壇で行う。ついてこい」
(’A` )「えっ別にここでやればいいんじゃないの?」
(天一A一)「仕様」
(’A` )「あ、はい」
(^ω^ )「魔法の言葉だな」
(゜、゜*)「修道女ちゃん。魔法使いは"仕様"って言えば簡単に言う事聞くわよ」
(ФωФ;)「あっえっ?あ、はい」
(・∀・ )「悪いこと教えんな」
182 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/17(木)18:00:00.00 ID:1399336
【炎の天使神殿 祭壇】
(天一A一)「それじゃ、力を与えていくから」
(天一A一)「じゃあまずは……利き腕どっち?右?じゃあ左から注入しよっか」
(天一A一)「はーいリラックスしてー、あんまり力まないで」
(天一A一)「んー……ここかな?ちょっとチクッとするよぉ」
(天一A一)「……はい、終わり。5分くらい抑えておいてね」
(天一A一)「今日は飲酒や煙草は控えて。入浴も最低1時間経ってから」
183 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/17(木)18:00:00.00 ID:1399336
【炎の天使神殿】
(天一A一)「終わった」
(^ω^ )「どうだった?」
(’A` )「なんか……」
(’A` )「思ってたんと……違う」
(天一A一)「仕様です」
(^ω^;)「どんな儀式だったんだ……?」
(’A` )「いくら仕様でもよ……ロマンが……ロマンがねぇよ……」
(゜、゜*)「とりあえず何も支障はなさそうね」
(・∀・ )「でも、何も変わった感じはしないけど」
(’A` )「んまぁ……たしかに。ホントに力くれた?」
(天一A一)「徐々に染み渡ってくるよ」
(天一A一)「まぁ、それでも疑うなら……」
从∀゜;从「おいっ!お前ら、ヤベぇ!」
从∀゜;从「さっきのオオカミ娘が、こっちに近づいてきやがる!」
( ФωФ)「!」(’A` )
( ・∀・)「!」(゜、゜*)
(;^ω^)「まさか……!ブルボンゴ君……っ!」
(天一A一)「おっと。誰だか知らないけど、丁度いい力試しじゃない?」
(’A`;)「ぶっつけ本番も良いところだよ」