獣王とブルボンゴ君の戦いのようです
177 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
【火山島マグダ・マリマ ジャングル】
(゜ω゜ 彡「グルルルゥ……ガァッ!!」
唸り声を地に這わせ、木の幹を蹴り、ツルを掴んで宙を舞うブルボンゴ君。彼の戦いはまるで踊りのように軽やかで、靭やかで、情熱的。そして強かだ。
从;゜ワ゜从「ちぃッ!」
頭上の死角から放たれる細槍の連続突きを間一髪で躱し、ガッデムは舌を打つ。密林という視界が狭く、足場は悪く、立体的な環境での戦闘に熟練している相手に対し、草が叢がる森では、人狼自慢の脚力やスタミナを十分に活かせない。
从*゜ワ゜从(このままじゃジリ貧……いや、それはアチラも同じか)
(゜ω゜;彡「ハァ……ハァ……イケニエ、ササゲル……!」
ジャングルを縦横無尽に駆け回りながら、わずかに生まれる隙を、的確に攻めてくるブルボンゴ君に、なかなか牙が届かないガッデム。
しかし一方のブルボンゴ君の方も、洗練された彼女の戦闘技術に対し、すんでのところで狙い澄ました一撃を回避されてしまう。
从;゜ワ゜从(くそ、なんで南の島ってこんな暑いのよ!)
从;゜ワ゜从(来る場所間違えたわ!)
ミ゜ω゜ )「ソイヤァッ!」
戦闘中の考え事。そのような明らかな隙をブルボンゴ君は見逃さない。後頭部をめがけ投げられた槍。裂かれて爆ぜる空気が彼女の鼓膜を揺らすのは、恐らく額に穴が開いた後だろう。
从*゜ワ゜从「単純なのよ!」
しかし、それすらガッデムは軽々と避けて見せる。的確に死角を射抜いてくるのなら、その向きだけ注意していれば躱すのは容易。テクニカルだが直線的なブルボンゴ君の戦闘スタイルを、彼女はこの短時間で看破していた。
ミ゜ω゜ )「ガァァッ!!アッ!」
だがしかしブルボンゴ君、槍投げ攻撃が避けられるのは織り込み済み!投擲の直後、彼自身もまた大樹を蹴ってガッデムへ急接近。
从゜ワ゜;从 (しまっ……)
(゜ω゜ 彡「シャアッ!」
そのまま地面深くに刺さった槍をポール代わりに掴むと身体を捻り、トップスピードのまま彼女の頭にハイキックを叩き込まん!
ミ ◎Д◎彡「『氷壁』!」
間一髪、小さな氷山の壁がキックを阻む!それまで姿を隠すことに専念していたガッデムの側近による的確な魔法防御である!
(゜ω゜ 彡「キカヌッ!」
しかし、堅いと言っても所詮は氷!そう言わんばかりの重い蹴りが氷の壁を打ち崩し、そのままガッデムの頭に直撃する!
从 ワ ;从「キャ……ッ!」
178 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
从;゜ワ゜从「なんて……威力を削がれたキックなんて屁でもないわ!」
氷山すら砕くキックを受けてなお、ガッデムは立っていた!鍛え抜かれた獣人の頭蓋は頭突きで釘を打てるほど頑強である!彼女はそのままブルボンゴ君の脚を掴み、吠える!
从*゜ワ゜从 (今よ!)
ミ ◎Д◎彡 (了解!)
ミ ◎Д◎彡「『雹礫』!」
側近は雹のつぶてを無数に飛ばす!脚を掴まれればブルボンゴ君は動けない、咆哮はそのまま自分ごと倒せとの合図である!ガッデムと側近、付き合いの長い二人だからこその阿吽の呼吸!
(゜ω゜;彡「ぐっ……」
(゜ω゜#彡「邪ッッッ!」
ミ;◎Д◎彡「なにっ!?」
しかし二人のコンビネーション攻撃は、あえなくブルボンゴ君にかき消された!
从;゜ワ゜从「えっアンタ対抗魔法使えるの?原住民のくせに」
(゜ω゜#彡「サベツ!オレ、留学シテ魔法覚エタ!」
ミ;◎Д◎彡「インテリだとッ!?」
魔法攻撃を打ち消したブルボンゴ君は、二人の油断をついて再び距離を取る。さて一進一退の攻防が続くこの戦い、これでは千日手一歩手前にも見える。しかし、ガッデムはそうは思っていなかった。
从;゜ワ゜从(会話が通じる……あのヤバいクスリの効果が切れるのも時間の問題だね)
たしかにここまで互いの力量は五分五分。しかしそれは、あくまでそれはブルボンゴ君が"勇気の花"をキメている現状が前提である。"勇気の花"による肉体活性・精神高揚の効果が切れてしまえば、持って生まれた獣人の膂力と戦闘技術で勝る自分の勝利を、彼女は確信していた。
从;゜ワ゜从 (ただし……)
彼女は後頭部を抑える。先程のキックで脳が揺れ、じくじくと毒針の刺さったようなダメージが残っているのだ。
从;゜ワ゜从(それまでにあと一発でも食らえばアウト……はてさて)
从゜ワ゜;从(それとアンタはもっかい気配を絶っときなさい。アイツに狙われたらおしまいなんだから)
ミ;◎Д◎彡(……了解です)
179 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/16(水)18:00:00.00 ID:1399336
ブルボンゴ君とガッデムが死闘を繰り広げているその頃……
【火山島マグダ・マリマ 火山9合目】
从*゜∀从「遭難したら山頂を目指す。これが山での鉄則だ」
(^ω^ )「てめぇ海賊だろ」
从*゜∀从「海賊だって山くらい登らぁよ」
(・∀・ )「まぁ言ってることは間違ってないし、高いところから見渡せば神殿が見つかるかもしれない。良い案だと思うよ」
(’A`;)「しっかし……南国の山登りって……はぁ、キっツいなマジでホント」
(ФωФ;)「そうですね、僕は水浴びがしたいです……」
(゜、゜*)「山頂で水浴びは期待できないわね」
(^ω^ )「……っと、なんか景色が開けてきたな」
(・∀・ )「そろそろ山頂っぽいね。上の方は草原になってるのかな」
勇者達が後ろを振り向くと、そこからは火山島のパノラマが広がっていた
从*゜∀从「ひゃあ~~気持ちいい景色だなぁ」
(*ФωФ)「ホントですね!盗賊さんも見て下さい」
(゜、゜*)「……ねぇ、修道女ちゃん」
( ФωФ)「どうしました?」
(゜、゜*)「大天使の神殿って、どんな形か知ってる?」
( ФωФ)「えっと……列柱で屋根を支えてるタイプの大理石で造られた白い正方形の建物ですね。四隅には列柱が立っていて、聖なる力で神殿を守っています」
(゜、゜*)「なるほど」
(゜、゜*)「じゃあ、ここがそうね」
(ФωФ;)「えっ!?」
(ФωФ;)「ホントだ!列柱で屋根を支えてるタイプの大理石で造られた白い正方形の建物が目の前に!」
(’A` )「パルテノン神殿っぽい」
(・∀・ )「言っちゃった」