嵐中闘牌録センチョウ
154 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 航海11日目 東一局 親:船長】
从;゜∀从 タンッ
(・∀・ ) タンッ
(ФωФ;)「ん~……」 タンッ
(^ω^ ) タンッ
从;゜∀从(クソ。まさか再び、この雀卓へ戻ってきてしまうとは……)
从*゜∀从(やっぱり頭じゃ分かってても、負けっぱなしは性に合わないってことかね)
从*゜∀从(ま、卓に着いちまったモンはしょうがねぇ。やるからには勝ちを目指すぜ!)
从*゜∀从(とは言っても、なんの考えもなしに打っていても、以前と同じように搾取されるだけだ。兵法と同じ、まずは敵を知ることが肝要……っ!)
(・∀・ )「そういやレマ島でマカダミアナッツのチョコ買ったんだけど食べる?」 タンッ
(ФωФ )「この局が終わったらお茶淹れましょうか」 タンッ
(^ω^ )「おっいいね」 タンッ
从*゜∀从「アタシはコーヒーがいいな」
从*゜∀从(だからこの半荘はコイツらの闘牌を観察し、打牌の癖を見抜くことに専念する!)
从*゜∀从(その先に勝利はある……っ!) タンッ
(・∀・ )「ロン。タンヤオのみ、1300」
从#゜∀从(コイツ……!!博打やめろとか言っといてアタシからアガってんじゃねぇよ!!)
155 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 航海11日目 東ニ局 親:道化師】
从*゜∀从(さて……まずは道化師だ)
(-∀- )「あ~、やっぱチョコにはコーヒーだな」
从*゜∀从(戦績はアタシ達の中で4位。下位グループだが、決して弱いってワケじゃねぇ。ただ甲板の見張りやら他の作業で中抜けすることが多くて、単純に打ってる回数が少ないだけだ)
(・∀・ )「さてさて、今回の配牌はどうかなぁ?」
从*゜∀从(道化の戦い方を表すならば"優等生"。教科書通りの打ち方だ)
从*゜∀从(それ自体は悪いことじゃない。基本に忠実って事は運やツキに惑わされず、常に効率的で安定した戦いができるって意味でもある……)
(・∀・ )「ツモ、中、1000オール」
(・∀・ )「ロン、タンヤオ、1500は1800」
(・∀・ )「ツモのみ500は700オール」
(^ω^;)「相変わらず早ぇな」
(・∀・ )「麻雀は速度が命だよ」
从;゜∀从(それを裏付けるのが、この速攻力!この速度で、安い手を連続してアガってきやがる!理論に忠実だからこその高い牌効率……!)
从*゜∀从(……ただ、それ故の弱点もある)
(・∀・ )「この場合はコレ!」 タンッ
(^ω^ )「ロン。西白チャンタドラ2で12000は12900」
(・∀・;)「おっぱぁぁぁっ!?」
从*゜∀从(効率優先がゆえに打牌が比較的読みやすく、狙い撃たれれば簡単に逆転を許してしまう)
从*゜∀从(アタシがもう少し場数を踏めば、道化に勝つのは難しくはない……!)
156 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 航海11日目 東三局 親:修道女】
(ФωФ*)「僕の親番ですね!頑張ります!」
从;゜∀从(修道女……!コイツは要注意人物だ……!)
(ФωФ*)「四萬は要らないです!」 タンッ
(ФωФ*)「六萬も要らないです!」 タンッ
(ФωФ;)「あ、五萬が来ちゃった!しかも赤いの!」 タンッ
(^ω^ )「なにやってんだ」
从;゜∀从(コイツは圧倒的素人ッ!打牌はメチャクチャ!フリテンでアガれなくなってることもしばしば!)
从;゜∀从(しかし……ッ!)
(ФωФ*)「あ!でも来ました、来ましたよ!」
(ФωФ*)「ツモです!これ何点ですか?」
(;・∀・)「あんなに萬子捨てたのに、萬子清一色の三暗刻……ッ!?」
(^ω^;)「マジかよ……24000点だ」
(ФωФ*)「やった!」
从;゜∀从(げに恐ろしきは、天を味方につけているとしか思えないツモ運……っ!それだけでコイツは戦績第3位の地位にいる!)
从*゜∀从 (だが……)
(ФωФ*)「えい!7筒!」
( ^ω^)「ロンでぃーす!平和タンヤオ一盃口、3900は4200!」
(ФωФ;)「っぽぁぁぁっ!」
( ^ω^)「っざーす!」
从*゜∀从(打牌がメチャクチャで速度も遅いから、ツモられる前にロンでアガれば対処は容易……!)
从*゜∀从(というかアタシでも修道女からは、ちょくちょくアガれる!)
从;-∀从(しかし、それにも関わらず収支をプラスに持っていく破壊力……コイツはもう嵐みたいなモンと思った方がいいな……)
157 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 航海11日目 東四局 親:戦士】
(^ω^ )「さてさて、それじゃあ逆転しちゃいますかね」
从;゜∀从(戦士……ッ!この船の上において最強の雀士ッ!)
(^ω^ ) タンッ
(^ω^ ) タンッ
(^ω^ ) タンッ
从;゜∀从(コイツの打牌には迷いがない……牌山に手を伸ばす前からツモが分かっているかの如く、淀みなく、小気味よく、滑らかに牌を打ちやがる……ッ!)
(^ω^ )「リーチ」タンッ
从;゜∀从(流れを読んでいる……いや、そんなチャチなモンじゃない)
(;ФωФ)「北は大丈夫なはず……!」
(^ω^ )「ロン。リーチ發中9600」
(;ФωФ)「のぉぉぉう!」
从;゜∀从(流れを掴み取り、己の下に手繰り寄せているんだ…ッ!!)
从*゜∀从(それを可能にするのは、奴の精神力!)
从*゜∀从(たとえ道化が何連チャンしようと、修道女が大物手でアガろうと、決して自分のペースを崩さずに、虎視眈々と勝利を狙う!)
从*゜∀从(流れを掴む豪運……それを手放さぬ精神力……!それこそ奴の真骨頂!まさに"玄人"……!)
从;゜∀从(どこに攻略の鍵がある……?) タンッ
(・∀・ )「あ、それロンね。東のみ1600」
从;゜A从「あぁぁぁぁぁいっ!?」
(^ω^ )「東場終わってまた船長がドベか」
从;゜A从「まっまだまだ!南場で逆転よ!」
勇者たちが麻雀に興じているその時!船長室の扉が勢いよく開いた!
(;’A`)「お、おい!みんな、大変だ!」
(^ω^ )「どうした?サイクロンでも来たか?」
(;’A`)「そのとおりだ!」
(^ω^;)「……へぁ?」
(;’A`)「進路上にとてつもなく大きな積乱雲を確認!超スピードで迫ってくるぞ!」
从∀゜;从「なにィ!?」
158 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 甲板】
从∀゜;从「風が変わっちまったか……このまま行くと1時間も経たない内にサイクロンと鉢合わせちまうな」
観測台に立ち、双眼鏡を覗きこむ船長が冷や汗を垂らす。
(^ω^;)「どうします船長!」
(・∀・;)「こんな大海原のど真ん中でサイクロンに遭遇したら、沈没しちゃうんじゃ……」
从*゜∀从「大の男がうろたえるんじゃねぇ!大丈夫だ、この船は沈まねぇよ!」
(゜、゜*)「だったら、このまま進むっていうの?」
从*゜∀从「いいや。絶対に沈ませやしねぇが、あえて危ない選択肢を取る必要もねぇ」
船長は海図を開いた。
从*゜∀从「この先南西に小さな裾礁がある。サイクロンは北に向かって進んでいるから、そこまで辿り着けば、なんとかやり過ごせるかな」
从*゜∀从「距離は、このままの速度で進みゃ3時間ってところか……」
(ФωФ;)「3時間……ってことは嵐と衝突しちゃいます!?」
从*゜∀从「……仕方ないね。自動操縦を停止して、アタシが舵を取る!」
从*゜∀从「半分の時間で島に辿り着いてやる!」
(’A`;)「30分も足が出てるけど!?」
从*゜∀从「そこは気合と根性だ!アタシに任せろ!」
从*゜∀从「野郎共!これからはサイクロンに逆らって逆風を進む!帆を張り直しな!」
(^ω^(・∀・(’A`;)「イ、イエス・マム!!」
从*゜∀从「女共は私と一緒にこっちに来な!」
(ФωФ;)「は、はい!」
(゜、゜*)「了解」
159 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 機関室】
从*゜∀从「さて、この船は帆船の中でも新しい方でね。自動操縦の他にある機能が着いてんのさ」
从*゜∀从「その名も"魔導推進力増幅装置"ッ!!」
(ФωФ;)「"魔導推進力増幅装置"ッ!!」
(ФωФ;)「……ってなんですか?」
从*゜∀从「帆船ってのは、平たく言えば風の力を推進力に変えて海を走ってるワケだが、この装置はその推進力を何倍にもしてくれるんだ!」
(ФωФ*)「おおっ……すごそう」
(゜、゜*)「そんな便利な機械があるなら、なんで今まで使ってなかったの?」
从;゜∀从「それは単純な話だ。コイツは、その名の通り魔力で動くんだが、起動中は船員が常に魔力を供給し続けないといけない。そしてなにより……燃費がめちゃくちゃ悪い!」
从;゜∀从「修道女なら分かるか?魔力を使い果たして、脳みそがゴムみたいに固まっちまったみてぇなた感覚」
(ФωФ;)「ああ……あれは辛いですね……」
从*゜∀从「並の人間なら10分とコイツに魔力を供給したら、すぐに同じ気分が味わえる」
(ФωФ;)「!それはっ……あんまり使いたくはないですね……!」
从*゜∀从「だろう?100人以上乗ってた時は結構使えた代物だったんだがな……だが、四の五の言ってる場合じゃない。アンタら5人、数分交代でコイツに魔力を供給し続けてくれ!」
(゜、゜;)「え?私は魔法使えないんだけど」
从*゜∀从「魔法が使えなくても魔力は誰しも持ってる!機械に手を触れていればいいだけだ!」
从*゜∀从「それじゃあ、男共が帆を張り終えたら……頼んだぞ!」
(ФωФ;)「は……はい!」
160 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/12(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【海賊船ジョリー号 操舵室】
从;-∀从「ふぅ……準備は終わったか。後は全部アタシの舵にかかってる」
从;゜∀从「風は南西からの向かい風……舵を取り違えれば、もしかしたら海の藻屑かもな」
船長は勇者たちにひとつ嘘をついていた。船が決して沈まぬという嘘を。いたずらに船員を動揺される訳にはいかないからだ。
たとえ踵を返して逃げたとて、船の後方に島はなく、サイクロンに追いつかれてしまえば、どちらにせよ転覆の恐れはある。
故に、彼女は賭けに出るしかなかった。
从*゜∀从「……ふっ、思えば麻雀と似たような状況ってワケかい」
从;゜∀从「そう考えれば心がヒリついて来やがる……逆風こそ博打の醍醐味!」
从;゜∀从「おもしれぇ、やってやる!見といてくれよ、ロジャー!」
从*゜∀从「取舵いっぱぁぁーいッッ!!」
船長は舵を切った。海賊船ジョリー号はやおら加速し、サイクロンに向かって大海原を駆けてゆく。