救済ッ!九麗城寨 その③
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。
( 十AФ)【赤毛の戦士】:コボルトにて最強。
(,,゜-゜)【ボス】:ログマジア・ファミリーのボス。獣王ガッデムに心酔している。
ミ ´皿`彡【ガッデム親衛隊】:人狼族の戦闘集団。難しい作戦は苦手。
123 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/02(水) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨】
ミ#´皿`彡「「くらぁッ!」」(^ω^#)
ミ#´皿`彡「「でりゃッ!」」(^ω^#)
ミ#´皿`彡「「オラァッ!」」(^ω^#)
地を蹴り、壁駆け、鍔迫り合い。戦士は剣に、人狼は爪に、己の持てる技術全てを乗せて闘う。実力はほぼ互角。一対一の戦いならば、勝負を分けるは時の運であろう。
しかし、今は乱戦。勝負の行方を左右する要因は、無数に存在する……
ミ `∀´彡「キキッ!『氷魔法:雹礫』!」
(’A` )「ッ!」
魔術で生み出されたこぶし大の雹が魔法使いを襲うッ!
(’A` )「"兵よ賊へ"『対抗魔法:対氷』!」
(’A` )「『熱波・撹拌』!」
しかし、魔法使いはこれを冷静に対処。カウンターを仕掛ける!
ミ;`∀´彡「熱ッ!」
ミ `∀´彡「……いが、それまでだなぁ。毛皮があるんでな」
(’A` )「なるほど。オオカミはサウナを楽しめないのか。残念だな」
(’A`;)「というか獣人って魔法使えるんだ」
ミ `∀´彡「てめぇクソ野郎、それは差別だぞ」
(’A` )「いや、あんま使ってるイメージないからさ」
ミ `∀´彡「まぁ、爪とか牙とかの武器を自前で持ってるから、そういう長所を伸ばす方向で鍛える奴が多いのは事実だ」
ミ `∀´彡「けど俺みたいに爪が小さかったり、割れやすいタイプは魔法使いになる人も多いぞ!」
(’A` )「なるほどぉ」
(゜、゜*)「ぐだぐだ敵と喋ってないで戦いなさいよ!」
お喋りに気を取られている人狼の眉間を、盗賊が撃ち抜いた。
ミ ゜∀´彡「ぺぽッ!」
(゜、゜;)「ふぅ、ひとりひとりが強くて嫌になるわね」
(;’A`)「まったくだ。というかピストル使っていいのか?弾がないんだろ?」
(゜、゜*)「ここまで登ってくる間に敵が落としたのを拾ったの」
( ’A`)「互換性あんのかよ」
(゜、゜*)「あったわ。そういや魔法使いアンタ、新しい魔法を覚えたとか言ってたけど、なんか手緩くない?」
(;’A`)「覚えたのは殆ど炎魔法なんだよ。こんなビルの中で使ったら大火災が起きるわ」
(゜、゜*)「なるほど。でも……」
盗賊は周囲に目を向けた。
( ФωФ)「『強化魔法:魔力増強』!道化師さん、準備完了です!」
( ・∀・)「くらえッ『道化師ファイヤー』ッ!!」
ミ・Д・;彡「うわぁぁぁッ!室内で火ぃ吹くとか狂ってんのかッ!!」
(゜、゜*)「……」
( ’A`)「……」
(゜、゜*)「まぁ、奇襲は成功してるっぽいし。いっか」
(;’A`)「俺の懸念はいったい」
124 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/02(水) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨】
ミ;´皿`彡「はぁ……はぁ……調子が悪いようだぜ、お前如きに互角とは」
(^ω^;)「ぜぇ……ぜぇ……言い訳は一丁前だな」
ミ;´皿`彡「ふんっ……どうやら、次で決着のようだな」
(^ω^;)「ああ」
互いに体力は殆ど空っぽ。二人は最後の一撃で相手を倒す為、互いの隙を窺っていた。
(^ω^ )「!」
先に動いたのは戦士だった。身体を屈め、左肩を前に突き出した突撃態勢。西ゼリヤ王国騎士団における基本の型である。本来ならば左腕には盾が装備されているところ、戦士は装備していない。防御を捨て、機動力向上と剣技に幅をもたせる為だ。
ミ ´皿`彡(この構え。剣の出どころを隠して、俺の不意を突くつもりかッ)
ミ ´皿`彡(この期に及んで、小狡い真似を)
しかし戦士の考えを、人狼は完全に読んでいた。彼は腰を落とし、戦士の攻撃に備えた。狙うは相手の一手を寸でで交わしてのカウンター。
戦士の太刀筋は良く言えば素直、悪く言えば"型にはまった"ものだ。
ミ ´皿`彡(騎士団系統の剣技は当たりゃ痛ぇが、何度か刃を交わせば、なんとも読みやすい)
ミ ´皿`彡(どこの騎士団で訓練を積んだか知らねぇが……こちとらテメェ以上に研鑽を積んだ騎士共と何年も戦ってきたんだよ!)
(^ω^#)「でぇぇぇッ!」
ミ#´皿`彡("下"?否、"右"!)
ミ#´皿`彡「ここだッッ!」
爪を立て、戦士の首に狙うッ!
ミ;´皿`彡「ッ!!」
何かが妙!身体の動きが、常時とは違う……ッ!
しかし弱化魔法だとか、状態異常の類ではない!むしろ、今は……!
ミ;´皿`彡(身体が……軽い!?)
( A )「……毛皮のせいで遅れたが、そろそろ効いてきたようだな」
( A )「熱波は血管を拡張し、血液の流れを促進する!」
(’A` )「すなわち、俺の『蒸熱魔法』を浴び続けた奴は、一時的に身体能力が向上するんだッ!」
ミ;´皿`彡「なにッ!?」
身体能力の向上ッ!強化魔法は一見すると、全ての者にメリットしかないッ!しかしそれは、『自分に強化魔法が付与されている』と知っていることが前提なのであるッ!
強者であればあるほど、自分の技量・膂力・体調は熟知しており、それに則り戦闘を行う。そのバランスが変われば、戦い方も変わるというものだ。
言い換えれば、自らの及び知らぬところでバランスが崩れれば、その動きは容易く崩壊するのだッ!
ミ;´皿`彡(ぐッ!反応速度が0.1秒、早いッ!)
調子が良すぎた人狼の爪が戦士の左肩を裂くッ!しかし、それは全く想定外の一撃……ッ!
(^ω^#)「がぁぁぁッ!」
肩に爪が突き刺さったまま、戦士の大剣フルスイングが、人狼の下顎を直撃ッ!
ミ;´┏`彡「おぶッ!」
ガッデム親衛隊、撃沈ッ!!
(^ω^#)「うぉぉぉぉぉぉッ!!」
戦士の勝ち鬨は九麗城寨に轟き、そしてそれは聖戦士達の耳にも届いた……
(゜Д♯;)「……ハッ!今の咆哮はッ!」
(^Д♯)「ああ!我らが勇者様の勝ち鬨だッ!」
(^Д♯)「勇者様自ら、先陣をきって戦って下さっているのじゃッ!」
(゜Д♯)「流石、勇者様よッ!遅れをとってしまっては申し訳ござらん!我らも続くぞォォッ!」
「うぉぉぉぉぉッ!万歳ッ、勇者様万歳ッ、伝説の勇者様万歳ッ!」
(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*
ミ;´Д`彡「な、なんだコイツら!いきなり強くなりやがったッ!」
「魔王の手先にも救いを!救いをッ!」
(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*(゜Д♯*
勇者の勝利に呼応した聖戦士達は捲土重来を期し、獅子奮迅の猛攻に打って出たのであった。
彼らの真の武器は膂力や技術では無い。死をも厭わぬ武士魂である。実力で圧倒的にガッデム親衛隊。しかし、仲間の屍を乗り越えて襲い来る聖戦士の勢いに慄き、徐々に追い詰められていく。
もはや、大勢が決するのは時間の問題であった……
125 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/02(水) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨】
( ФωФ)「はい回復魔法」
( ^ω^)「うぉぉぉぉぉぉッ!!肩の怪我、全治ッ!」
(’A` )「よく考えたら回復魔法ってチートじゃね?」
(・∀・ )「よく考えなくてもそうだよ」
126 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/04/02(水) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨 最上階】
( ・∀・)「はい、という訳でログマジア・ファミリーのアジトの前まで来ました」
( ^ω^)「あとはボスとやらを拳で説得すれば終わりか」
(’A` )「人間同士、できれば話で決着をつけたいけどな」
(゜、゜*)「まぁ不審な動きを見せたらすぐに撃ち抜いてやるけど」
(;ФωФ)「強い……」
( ・∀・)「じゃ、扉を開けるよ!敵はまだまだ居ると思うから、気を付けて!」
( ^ω^)「応ッ!」(’A` )
( ・∀・)「突入ッ!」
(゜、゜*)「……!」
(;・∀・)「なにっ」
敵アジトに突入した勇者達ッ!彼らの目に入ってきた光景は……ッ!
(,,゜┏゜)ちぃぃーーーーんッッッ!
( 十AФ)「よう、遅れて済まなかったな。これはお詫びだ」
(^ω^;)「お詫びで殺っちゃったの、ボス!?」