救済ッ!九麗城寨 その①
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型勇者。実はヤベー奴。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。実はそんなにヤバくない。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。たまにヤベー奴。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。狂人。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。狂信者。
116 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/31(月) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨 食肉加工場】
(#■Д■)「おらぁ!もっと早くしろ!」
( ゜-♯)「……」
(#■Д■)「てめぇら、最近腹が膨れて調子乗ってるんじゃねぇか!?」
(#■Д■)「本来、てめぇらみてぇなゴミクズにメシなんて必要ねぇんだ!死ぬまで働いて死ねッ!」
(゜-♯ )「……!」
(#■Д■)「なんだ、その反抗的な目は!制裁だッ!」
(#■Д■)「聖アガメマスなんて魔王に負けたクソ宗教に縋って、死んだら天国なんだろぉッ!?」
(#■Д■)「おらっ!俺が殺してやるよ!それが"救済"だ!ギャハハハ!」
(゜-♯ )「……」
(゜Д♯#)「救いの日は来たれりッ!!」
( ■Д■)「へ……っ?」
ログマジア・ファミリーの構成員は、突然の出来事に完全硬直した。なにせ貧民に鞭を打とうとした彼の腕が、一瞬のうちに、一太刀のもとに、真っ二つに切り落とされたのだからッッッ!!
( ■Д■)「う、ウデデヘヘ…………」
(;■Д■)「うぎゃあああああッッッッ!!!腕がぁぁぁッ!!」
(゜Д♯#)「貴様の"悪い腕"は切り落とした!これで貴様は救われるッ!」
手刀についた血と油を払い、貧民は叫ぶ。
(゜Д♯#)「さぁ聖戦士達よ、立ち上がれぇぇぇッ!!」
(゜Д♯#)「ログマジア・ファミリーに救いをッッッ!!」
(゜Д♯#)「"心の敵"に鉄槌をォォォッッッ!!」
──ある雲一つない晴れの日の正午、九麗城寨の食肉加工場に鬨の声が上がった。
──"救済"の始まりである。
117 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/31(月) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨 最上階】
(■Д■;)「頭目、大変です!スラムの奴らが反乱をッ!」
(,,゜-゜)「ふふふ……なるほど。貧民を味方につける作戦ですか。勇者のクセに遠回りな作戦ですね」
(■Д■;)「は……?勇者?」
(,,゜-゜)「十中八九、この状況は勇者が仕組んだものです。何を餌にしたのかは未だ分かりませんがね」
(■Д■;)「わ、我々はどうすれば……?」
(,,゜-゜)「?なにを言っているんです。貧民は皆殺しにしなさい」
(■Д■;)「し、しかし……貧民の中には、反乱に加担してない奴らも居て……敵味方が分からないんです」
(´゜-゜)「……はぁ。最近は抗争もなく、すっかり鈍っているようですね」
(■Д■;)「?」
(´゜-゜)「もう一度、言います」
(,,゜-゜)「貧民は皆殺しにしなさい」
(´゜-゜)「あなた達がその腰にぶらさげてる武器は飾りではありません」
(■Д■;)「は……はい!」
118 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/31(月) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨 地下聖堂】
(・ω・´)「さぁ、着いたぜ。ここがスラムの信者が作った地下聖堂だ」
( ’A`)「おお……コンクリート打ちっぱなしで、日の当たらない部屋……秘密基地っぽくていいな」
(゜、゜*)「っぽいとかじゃなくて、正しく秘密基地よ」
(゜、゜*)「それにしても、九麗城寨自体にはすんなりと入れるのね。防犯意識が低いわ」
(・ω・´)「真正面からじゃこうはいかねぇ!私が"抜け道"の情報を知ってたから案内できただけのこと!」
(・ω・´)「このお代は高く付くぜ!」
( ・∀・)「もちろん。全部経費で落ちるんで大丈夫です」
( ^ω^)「経費ってすげぇよな。なんでも買えちゃんだもん」
(;’A`)「これは現代日本じゃ無理な使い方だけどな」
( ・∀・)「さて、ここから俺達は最上階のログマジア・ファミリーのアジトに向けて行動するわけだけど……」
( ・∀・)「……"赤毛の戦士"の姿が見えない理由は誰か知ってる?」
(’A` )「あの人なら午後休とるって言ってから、13時から参加すると思うぞ」
( ・∀・)「きっちり4時間働いてんじゃねぇよ」
(’A` )「ノルマもあるから全休は難しいんだと。こればっかりはしゃーない」
( ^ω^)「義理で付き合ってくれてるようなモンだからな。無理強いしちゃアカン」
(’A` )「代わりに活きが良いコボルトに何人か声をかけてくれるって」
( ・∀・)「抗争って草野球みたいなノリで参加するもんだっけ?」
(゜、゜*)「いない人の事を考えても仕方ないわ。とりあえず、私達だけで行動開始しましょう」
( ФωФ)「そうですね。きっと赤毛さんも後から活躍してくれますよ!」
(;・∀・)「いきなり先行きが不安だ……」
(・ω・´)「おっと、そうだ!私はこれで帰るが、最後に一つでっかい情報を教えてやろう」
(’A` )「でかい情報?」
(・ω・´)「へへ……こいつぁサービスだぜ……?」
119 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/31(月) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨】
勇者達がログマジア・ファミリー頭目の首狩りに動き出した頃、城寨内部では信者、もとい聖戦士達が暴れまわっていた……
(;■Д■)「くそがぁ!死ねぇぇッ!!」
(;■A■)「敵は丸腰ッ!こっちは銃を持ってんだ!負けるハズがねぇ!」
ログマジア・ファミリーの構成員には密輸した銃火器が一人ひとりに配られている。対する"聖戦士"達は徒手空拳。戦力の差は圧倒的に思えた。
だがしかしッ!!
(゜Д♯ )「鉛など効かぬッ!」
(`Д♯ )「我らには筋肉の鎧と神の加護がついているのだッ!」
聖戦士達は既に銃弾程度なら弾き返す肉体を得ていた!修業の賜物である!
(;■Д■)「化け物めぇッ!」
(゜Д♯ )「否ッ!我らは"聖戦士"ッ!"心の敵"に、悪に鉄槌を下す者なりッッッッ!」
(;■A■)「"心の敵"ってなんだよ!」
(゜Д♯ )「貴様らのことだッ!」
それは勇者が聖戦士の所業を正当化する為に造った言葉。要するに心の底から悪くてボッコボコにしたい奴のことだ。
(゜Д♯ )「呀ッ!哈ッ!」
(`Д♯ )「喂ッ!」
銃弾の雨を弾き返しながら、聖戦士は構成員達に突っ込むッ!
当然、構成員達は驚愕。鉛玉を物ともせずに向かってくる人間など見たことがない!彼らはただ、銃弾をいたずらに消耗させることしかできぬ!
(゜Д♯ )「うぉりゃああああッ!!」
そうこうしているうちに──実際には数秒に満たないが──聖戦士が構成員の懐にまで迫るッ!半径85センチ。それは右腕剛直の射程範囲ッ!!
(゜Д♯ )「勇者様直伝のぉッ渾身の拳を喰らえッ!!」
聖アガメマス教会入信の折に受けた顔面パンチッ!聖戦士はそれを身をもって体験し、修業を経て、技へと昇華したッ!
(;■Д゜)「ぶがッ!!」
(;■A゜)「ぺぎッ!!」
(`Д♯ )「救いをッ!救いをッ!」
ログマジアから受けてきた悪逆無道な仕打ちに対する復讐の機会を与えられた聖戦士達は、恐れと限度を知らぬ。たとえ目の前のギャングの顔がかぼちゃの様に膨れ上がっても、拳は止まらぬ。
もはや聖戦士達は止まらない。いや、止められる者はいない……かに思われた。
ミ ∀ 彡「きゃおらぁっ!」
鈍い打撃音と破裂音、突風。遅れて哮吼を聖戦士の右耳が受容するッ!脳が判断を下す前に、反射で動くッ!
(゜Д♯ )「!ッ哈ッ!」
何が起きた?コンクリートの壁を"拳"でぶち破り、敵が現れたのだッ!それは、ギャングより恐ろしく強き者……ッ!
ミ ∀ 彡「人間のくせに、よく避けたな」
ミ ゜∀゜彡「これなら遊び相手程度にはなりそうだ」
(゜Д♯;)「人狼ッ!?」
(`Д♯ )「魔王軍が何故こんなところにッ!?」
ミ ゜∀゜彡「へへ……っ商売だよ、商売」