神の名の下に信者を集めるようです
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。教育担当。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。雑務担当。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。警備担当。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。企画・渉外担当。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。広報担当。
( 十AФ)【赤毛の戦士】:コボルトにて最強。雑務担当その②。
(`・ω・)【情報屋】情報を売ったり買ったり捻じ曲げたりする人。別働隊。
107 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【九麗城寨】
(;゜-♯)「あぁ……お腹へった……」
(;゜-♯)「食べ物落ちてないかな……無いよな。あったら誰かに食われてるよな……」
(;゜-♯)「なんで、いつまで、こんな生活続くんだ……?」
(;゜-♯)「仕事があるからと九麗城寨へ来たら……ログマジアの奴らに朝から晩までこき使われて、手に入るのは一文銭……食って飲んだら消えるだけ……なんでボクが……くそ」
(;゜-♯)「あぁ、頭回んない……寝るか。今日の寝床を探さないと……」
( ゜-♯)「あ、あそこの階段とか風をしのげそう」
( ゜-♯)「……ん?なんか落ちてる」
( ゜-♯)「紙……チラシか?」
108 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
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(ФωФ)"すべて上手くいきます"!
あなたも人生大逆転してみませんか!?
聖アガメマス教会に入信して、逆転チャンス!!
お金がない……シゴトがない……食べるものがない……
それぜ~んぶまるごと、聖アガメマス教会におまかせ下さい!
ベッドでねたい! 大もうけしたい! 友だちをつくりたい!
カノジョが欲しい! りょ行にいきたい!
おいしいものいっぱい食べたい!……アナタの願い!
"すべて上手くいきます"!
信じる力は人生をバラ色にします!
がんばってきたアナタがむくわれる時は、今なのです!!
いまなら入会金ゼロ!集会は毎日開催!
気になった方、見学きぼうの方は、クーライじょうさい向かいビル2階へ!
無料炊き出し実施中!おかわり自由!
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(;゜-♯)「何だこのチラシ……気持ちわりぃ……」
(;゜-♯)「……」
( ゜-♯)「炊き出し、あるのか……」
108 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【向かいビル 手前】
(;゜-♯)「来てしまった……あんなに怪しいのに」
(;゜-♯)「……いやいや、タダ飯食うだけだし、うん」
( ゜-♯)「変な勧誘されたらすぐ断って帰るし、うん」
109 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【向かいビル 2階集会所】
(;゜-♯)「うわ、結構いっぱい人がいるな……まぁごはん食えるしな」
(ФωФ )「いらっしゃいませ!初めてのご見学ですか?」
(;゜-♯)「あ、はい……」
(;゜-♯)「あの、炊き出しって」
(ФωФ )「それでしたら、あちらにバイキング・コーナーがあるのでご自由にどうぞ!」
(;゜-♯)「炊き出しでバイキングッ!?」
(ФωФ*)「はい!皆さんとっても喜んでくれるんですよ!」
(;゜-♯)「ま、まぁそりゃあ大喜びですよ……ホントに無料なんですか?」
(ФωФ*)「もちろんです!聖アガメマス教会の慈善事業で運営していますので!」
(;゜-♯)「はぁ、そうですか」
(ФωФ*)「おかわり自由なので、お腹いっぱい食べていってくださいね!」
(ФωФ*)「なにか困ったことがあれば、お気軽にお声掛け下さい!」
(;゜-♯)「……わかりました」
110 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【向かいビル 手前】
(*゜-♯)「ふぃ~~久しぶりにお腹いっぱいだぁ!」
(*゜-♯)「いやぁ、まさか目の前でステーキ焼いてくれるとか!」
(*゜-♯)「焼き立てのパンも美味しかったなぁ……初めてハチミツかけて食べたよ!」
(*゜-♯)「これが無料なんて、すげぇな聖アガメマス教会!」
(*゜-♯)「……」
(;゜-♯)「……!」
( ゜-♯)「いやいや、何言ってんだ。それだけ教会が金を儲けてるってだけじゃないか。信者から沢山のお布施をとってさ……」
( ゜-♯)「そうさ。だから、こうやって施しをするのは当然の行いだよ。むしろ、今までやってなかった体たらくが大問題なくらいだ」
( ゜-♯)「ま、炊き出しがやってる間は、せいぜい利用させてもらうか」
111 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
──次の日
【向かいビル 2階集会所】
(*゜-♯)「あー、食った食った」
( ФωФ)「また来てくださいね~」
──さらに次の日
(゜-♯*)「今日のカレー、昨日より美味しかったよ」
( ФωФ)「ありがとうございます~寝かせると美味しくなるんですよ~」
──そのまた次の日
(゜-♯*)「今日、珍しくクッキーがあったね」
( ФωФ)「あ、それ僕が焼いたんですよ!お味どうでした?」
(゜-♯;)「そうなの?あはは……おいしかったよ」
──またまた次の日
(゜-♯ )「実は今日、ログマジアの奴に仕事が遅いって殴られてさ」
(;ФωФ)「えぇ!?大丈夫ですか?治療しましょうか」
(゜-♯ )「いやいや、体罰なんてよくあるし、全然それは平気なんだけどさ。ボクが文句を言ったら口答えするなって、殴り返されて」
( ФωФ)「はい、はい……それは辛いですね……」
──そうして……
(゜-♯ )「あの、修道女さん」
( ФωФ)「はい、なんでしょうか!」
(゜-♯;)「ボクは厳しい修業とか苦しい修業とか嫌いなんです。それでも救われますか?」
( ФωФ)「はい!救われますよ!」
(゜-♯;)「ボクは性格も悪いし、親切心もありません。これまで神様を信じたこともありません。それでも救われますか?」
( ФωФ)「はい!救われますよ!」
(゜-♯;)「天国にもいけますか?」
( ФωФ)「はい!一生懸命に修業すれば救われますよ!」
(゜-♯;)「わ……分かりました。入信します……」
( ФωФ)「……え?今日から修業を始めたい?」
( ФωФ)「いいですよ!それでは上の階へ行って下さい」
( ФωФ)「教師がいますからね」
112 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
(#^ω^)「なめてんじゃねぇぞ!こら!」
戦士のストレートが顔面に突き刺さるッ!!
(゜Д♯;)「おぼふッ!!」
(#^ω^)「苦しい思いをしないで救われてぇだと!?救われるわけねぇだろうがッ!!」
(゜A♯;)「あ、あわ……あわわ……」
続けざまにニーストンプが炸裂!
(゜A♯;)「ぐッ!」
(#^ω^)「信仰ってのはなぁ!苦痛から始まるんだッ!!」
(#^ω^)「何日間もメシを食わず、ひとりで火を焚き瞑想を積むんだッ!」
(#^ω^)「溜まった穢れを抜く為に荒野を駆け、滝を浴び、鞭に打たれるんだッ!」
(#^ω^)「苦痛を味わってきた気分はどうだッ!?」
(゜A♯;)「う、うぅ……辛いです……」
( ^ω^)「そうだろうッ!?」
( ^ω^)「だから、お前は救わるんだ」
(゜-♯;)「……え?」
(゜-♯;)「あれ?痛みが……ない?」
修道女の回復魔法であるッ!
( ^ω^)「修道女に聞いたよ。九麗城寨でお前は、辛い日々を、苦しい日々を過ごしてきたんだよな……」
(゜-♯ )「……」
( ^ω^)「そんなお前の姿を神様はずっと見てきてる。だからもう、絶対に救われる」
(゜-♯;)「でも、ボクは神様なんて信じてこなかった」
( ^ω^)「そんなの昔の話じゃねぇか!今はもう、俺達の仲間だろ!?」
(゜-♯;)「なか……ま……?」
( ^ω^)「そうだ、仲間だ!だから、たとえ神様がお前を救わなくても、俺が救ってやる!」
(゜-♯;)「ッ!!」
( ^ω^)「さっきは殴って悪かったな。今度はお前の番だ。俺を殴れ」
(゜-♯;)「え?いや……ボクは」
( ^ω^)「そこで怖気づくのは優しさじゃない。弱さだ」
(゜A♯;)「う……」
( ^ω^)「大丈夫だ。やり返せ、殴られた鬱憤を晴らすんだ……そうしねぇと、お前の中にはどす黒い感情が溜まったままだ」
(゜-♯;)「殴り返してこないですか?」
( ^ω^)「ああ、俺はそんなチンケな男じゃない」
( ^ω^)「そうだ。俺をログマジアの連中だと思え」
(゜-♯;)「え?」
( ^ω^)「今までさんざっぱらお前を苦しめてきたログマジアの奴を殴り返すと思って、俺を殴るんだ!」
(゜-♯;)「ログマジア……」
戦士の煽りを受け、貧民の男の中に怒りの感情がふつふつと沸き上がってくる。眉間に皺が寄り、拳に力が入る……ッ!
(;^ω^)「そうだ!怒りを噴き出せ!思いっきり来いッ!!」
(゜Д♯#)「うおぉぉぉッ!!」
男の渾身のパンチが戦士のみぞおちを抉りこむッ!!
(;^ω^)「ぐッッッふぅぅ~~!」
(;^ω^)「流石だぜ。いいパンチ持ってるじゃねぇか」
男の怒りを身に受け、心で受け止めた戦士!当然、修道女に回復魔法を施してもらうコトなどしないッ!それは怒れる者への最たる侮辱ッ!
(゜Д♯#)「はぁ……はぁ……」
(゜Д♯ )「!」
(゜-♯;)「あ、あぁ!ボクはなんてことを……」
(;^ω^)「いいんだ。お前は何も悪くない。悪いのはログマジアだ」
( ^ω^)「なぁ、お前はそんなにログマジアを恨んでるのか?」
(゜-♯;)「う、恨んでるってほどじゃ」
( ^ω^)「いいんだ。隠さなくても。神は全てを許してくれる」
( ^ω^)「実は俺達は…………近々ログマジアを…………」
(゜Д♯;)「……えぇッ!?本当ですか!?」
( ^ω^)「あぁ。誰にも言うなよ。これは、お前だからこそ打ち明けたんだ!」
(゜Д♯;)「!」
( ^ω^)「ただ、お前が俺達と同じ思いなら、同志を集めるのに協力してくれねぇか?」
(゜-♯;)「……」
(゜-♯;)「……」
(゜Д♯´)「分かりましたッ!勇者様ッ!」
112 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/29(土) 18:00:00.00 ID:1399336
【向かいビル 5階管理室】
( ・∀・)「うんうん。計画は順調。スラム住民の教化は着実に進んでるね」
( ・∀・)「入信した人たちも皆、優秀な聖戦士となる為に修業にも励んでくれている。いいことだ」
(゜、゜*)「九麗城寨の方の状況は?」
(・ω・´)「信者を使って地下聖堂をつくり、そこで新たに布教を行っている!これで加速度的に信者が増えるはずだ!」
(゜、゜*)「ログマジアに、こちらの意図はバレてないのよね?」
(・ω・´)「ああ。今のところ普通の宗教活動としか捉えられてねぇ!逆にスラムの治安維持に丁度いいってんで、ログマジアから教会に献金するなんて話があるくらいだ!」
(・ω・´)「それにしても、まさか諸君があの伝説の勇者とはね!ここまでぜんぶ筋書き通りなんだろう?」
( ・∀・)「いやいや、神様のお導きですよ!アッハッハ……」
(’A` )「……なぁ、コボルトの戦士さん」
( 十AФ)「なんだ、魔法使い殿」
(’A` )「俺達のやってること、正しいのかな……」
( 十AФ)「……」
( 十AФ)「ノーコメントで」