表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/137

勇者達は蒸気都市に来たようです その④

【登場人物紹介】


( ^ω^)【戦士(ウォリアー)】:レスラー体型の勇者。香港のマフィアがかけてそうなちっちゃ丸黒サングラスが好き。


 ( ’A`)【魔法使い(ウィザード)】:ヒョロガリ勇者。ヌンチャクが使える。


(゜、゜*)【盗賊(シーフ)】:スタイルグンバツ勇者。一時期、香港で仕事をしていたことがある。


( ・∀・)【道化師(クラウン)】:イケメンハイスペ勇者。幼い頃、謎の中国老人が経営する空手道場に通っていた。後に空手ではないことが判明。


( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。マフィアにも手を差し伸べる系女子。


( 十AФ)【赤毛の戦士】:コボルトにて最強。マフィアにも恐れられている存在。


(`・ω・)【情報屋】情報を売ったり買ったり捻じ曲げたりする人。マフィアともドライな付き合いがある。

104 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/28(金) 18:00:00.00 ID:1399336



──九麗(クーライ)城寨(じょうさい)ッッッ!!



 ラクシズの外れに位置するそれは、廃工場に居着いた貧民達が増築を繰り返して形成された巨大貧民窟(スラム)ッ!



 住民が増える度に城寨(じょうさい)は上へ上へと成長し、現在は地上20階に達するッ!無計画な増改築により内部の街路は完全に迷宮と化し、住民でさえ全てを把握する者はいないッ!!



 複数の魔導パイプラインが複雑に絡み合った城壁には、違法な酒屋や薬屋、色宿が、誘蛾灯の如きネオンライトを野放図に掲げ、蠱惑なフェロモンを以て、ラクシズの労働者達を一時の快楽へと誘うのだ!



 九麗(クーライ)城寨(じょうさい)、そこはまさに快楽と堕落の園ッ!欲望と陰謀の蠱毒ッ!



 そして、そんな九麗(クーライ)城寨(じょうさい)を支配するのが、世界的犯罪組織"ログマジア・ファミリー"ッ!彼らは城寨の最深部にじっと腰を据え、裏社会を実質的に動かしているッ!



九麗(クーライ)城寨(じょうさい) ???】



(■Д■ )「頭目(ボス)。報告よろしいでしょうか」



(, - )「ん、手短に」



(■Д■ )「メイナー議員より……『勇者がラクシズに訪れている』と」



(, - )「!!」



(, - )「なるほど。それは幸運ですね」



(■Д■ )「しかし、続きがあります。『勇者達は市長と結託し、"ログマジア・ファミリー"壊滅を企んでいる』」



(, - )「勇者が?我々を?……ふふふ、それはそれは恐ろしいですねぇ」



(■Д■ )「消しますか?」



(, - )「いや、泳がせておきなさい。どうせ彼らは九麗(クーライ)城寨(じょうさい)を攻略など出来ないのですから」



(■Д■ )「はっ!」



(, - )「それに、私達は勇者を殺してはいけません。分かっていますか?」



(■Д■;)「ッす……すみませんッ!」



(, - )「いいですか?勇者を殺していいのは……」



(,,゜-゜)「"ガッデム様"、ただ一人です」



(,,゜-゜)──"ログマジア・ファミリー"頭目(ボス)



(,,゜-゜)「ふふふ……あの方には久しぶりに良い報告ができます」





104 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/28(金) 18:00:00.00 ID:1399336



【蒸気都市ラクシズ タービンタワー(50F・展望エリア)】



(・ω・´)「ログマジア・ファミリーを潰すというのは、即ち九麗(クーライ)城寨(じょうさい)を攻略することと同義!」



( ^ω^)「別に城砦って言ってもスラムだろ?」



(・ω・´)「スラムだからこそだ!あそこに住む貧民は、ほぼ全員がログマジアの支配下にあると言っていい!」



(・ω・´)「恐らく諸君がログマジアを潰すつもりなのは向こうにも伝わってしまっているだろう。そうなれば、奴らは貧民を使ってゲリラ戦を仕掛けてくるに違いない!」



(・ω・´)「それに大前提として、諸君は自分の命を狙う民間人を殺すことができるのか!?」



(゜、゜*)「できるけど」



(;`・ω・)「君は別!」



(;ФωФ)「うぅ……たしかに、人を殺したくはありません……」



(^ω^ )「相手が魔物なら?」



( ФωФ)「ハッ……!ぶっ殺せます……ッ!不思議……ッ!」



(・ω・´;)「君は君でなんか思想が恐いぞ!」



 (’A` )「人殺し云々を抜きにしても、入り組んだ建物の中で"敵"にゲリラ戦を仕掛けられるってのは厄介だな。どっから刃が飛んでくるか分からねぇ」



(十AФ )「うむ。なにか対策はとれないだろうか」



( ^ω^)「建物に火を放てば、民間人は逃げるんじゃね?」



(・ω・´;)「頭イカれてんのかテメェッ!」



(十AФ;)「老人や子供だって住んでるんだぞっ!?」



 (’A`;)「絶対に逃げ遅れる人が出るだろ……」



(ФωФ;)「焼き討ちは女神様でも許しませんよ!」



( ^ω^)「ここまで言われるとは」



(゜、゜*)「放火って日本だと死刑になる行為なのよ」



( ・∀・)「う~ん……スラムの人達を敵と捉えるんじゃなくて、こちらの陣営に取り込むのはどうかな?」



(・ω・´)「!懐柔策か。それはまともそうだな」



( ・∀・)「そもそも俺達は戦力が圧倒的に不足してるんだ。スラムの人達を味方にするくらいしないと勝てないよ」



(十AФ )「それは言えているな。しかし、どのように彼らを引き入れるんだ?」



 (’A` )「金でもバラまくか?」



( ^ω^)「お金は欲しいよな!」



(゜、゜*)「どこにそんなお金があるのよ」



 ( ’A`)「市長に用意してもらう?」



(十AФ )「そんな金があれば、とっくに貧困対策を行政がしているんじゃないか?」



(十AФ )「まぁ実際、都市政府が九麗(クーライ)城寨(じょうさい)を放置している時点で"何もしていない"と答えは出ているがな」



(・ω・´)「ログマジアは議員を3人ほど抱えてるからな。自分達に不利な政策は通さないさ!」



(十AФ#)「まったく!マフィアの懐を肥やす為に私は税金を払っているのではないぞ!」



(゜、゜*)「まぁまぁ、愚痴はそのくらいにしといて」



 (;’A`)「しっかし、これじゃどうやってスラムを味方につければいいんだ?」



( ・∀・)「……みんな、なにか勘違いしてるよ」



(・ω・´)「どういうことだ?」



( ・∀・)「貧困に苦しんでる人々が欲してるもの……それは決して"お金"じゃない」



( ・∀・)「"救済"だよ」





105 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/28(金) 18:00:00.00 ID:1399336



──翌日


【聖アガメマス教会 ラクシズ神殿】



(;ФωФ)「祭司様、お願いします!勇者様……いいえ貧窮する人々の為なのです、どうかご許可を!」



(-ハ-;)「うむむむ……」





106 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/28(金) 18:00:00.00 ID:1399336



【ラクシズ市庁舎】



(;ラハ`)「いや、たしかに全部経費で落とすとは言いましたけれども」



(・∀・ )「これもラクシズを救う(・・)為なのです」



(・∀・ )「それに、うまくいけばこれは市長の大手柄。いいじゃないですか、"貧困者の革命的救済"。あなたはラクシズの歴史に名を残しますよ」



(;ラハ`)「うむ、それはそうですが……」



(・∀・ )「……新しく"市民権"を得る彼らは、きっと市長の票田となるでしょうね」



(;ラハ`)「!!」



 道化師から告げられた、ログマジア・ファミリー打壊の前哨戦とも言うべき作戦の内容を聞き、市長は頭を抱えた。その作戦は、たしかに事が運べばラクシズにとって、自分にとって多大な利益となる。しかし、一歩間違えれば人道を外れるッッ!!



 その時、答えを出しあぐねる彼の執務室のドアが開く。入ってきたのは顔を赤くした修道女だった。



(ФωФ*)「道化師さん!教会から名義の使用許可と救済財源を確保しました!」



( ・∀・)「でかした修道女!」



(・∀・ )「あとは市長のご決断だけです!どうかご承認をッ!」



(;ラハ`)「うぬぬぬ……!」



(;ラハ`)「くそッ……虎穴に入らずんば虎子を得ずだ!」





107 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/28(金) 18:00:00.00 ID:1399336



──こうして市長の名の下、道化師発案の九麗(クーライ)城寨(じょうさい)切り崩し工作が旗揚げされた!



──その名も……



(・∀・ )「"九麗(クーライ)城寨(じょうさい)救済計画"……ミッション(・・・・・)・スタートッ!!」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ