勇者達は宿場町に寄るようです
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。ホテルで重視するのはメシ。小洒落たコースや懐石料理とかよりバイキング。初手でカレーを食う猛者。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。ホテルで重視するのは風呂、というかサウナ。外気浴スペースが充実しているとGood、スチームサウナがあるとVery Good。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。ホテルではなく、プライベートヴィラに泊まる。酒やジュースを片手に、緑や青の景色をぼーっと眺めて過ごす。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。「グランピングとか一回やってみたいよね」と友人と話しつつ、1回もせず5年が経った。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。料金以外のこだわりはないので、この旅の宿屋選びは勇者達に一任している。なんか高額な宿ばっかり挙げてくる。
( コ∀`)【コボルトA】:能天気なコボルト。別に野原で寝れる。
(´∀と )【コボルトB】:楽観的なコボルト。道の上でもまぁ寝れる。
94 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/24(月) 21:00:00.00 ID:1399336
【西ゼリヤ王国 宿場町ゴタハ 馬小屋】
( ・∀・)「え?ラクシズの経済がヤバい状況で、勇者として都市当局と協力して、それを立て直そう……だって?」
( ・∀・)「へー……」
( ・∀・)「いいんじゃない?」
(ФωФ*)「やった!ありがとうございます!」
( ^ω^)「それでいいのか道化師」
(’A` )「疑問とかないんか?」
( ・∀・)「あるっちゃあるけど、言っても始まらないし」
( ・∀・)「シーフ姉さんがやる気ならいいんじゃない?」
(゜、゜*)「ちょっとやめてよ。私の意見にタダ乗りするの」
(゜、゜*)「あとずっと気になってるんだけど……」
(゜、゜*)「なんで皆、私のこと"姉さん"って呼ぶの?」
( ^ω^)「姐さんの方が良かった?」
(゜、゜*)「そこにこだわりは無いのよ」
(’A` )「なんか節々から姉御を感じるんだよな」
(゜、゜*)「そんな感じだしてないわよ」
( ^ω^)「やっぱ最初のアレだよ。オオカミ男を爆破したヤツ」
(’A` )「あれで力関係が決したよな」
( ・∀・)「男らしかったよね」
(゜、゜*)「じゃあ"兄さん"でしょ」
( ^ω^)「"兄貴"って呼ぶ?」
(゜、゜*)「ぜったいやめて」
( ・∀・)「結局"姉さん"呼びは嫌なの?」
(゜、゜*)「……」
(‐、‐;)「う~ん」
(;^ω^)「嫌ではねぇのか」
(゜、゜*)「正直言うと、なんかこう……頼られてる感?あって悪い気はしないのね」
(’A` )「教職志望だったからか?」
( ・∀・)「逆じゃない?」
( ^ω^)「じゃあ"先生"って呼ぼうか?」
(゜、゜*)「無理」
(゜、゜*)「あ、でも修道女ちゃんだけは"先生"て呼んでもいいわよ」
( ФωФ)「先生!」
(‐、‐*)「……悪くないわね」
(’A` )「先生!」
(゜、゜*)「野太いわね」
( ・∀・)「先生、彼氏いますか!?」
(゜、゜*)「蹴るわよ」
( ^ω^)「テストこれ採点間違いじゃないスか、ここ間違ってるのに◯になってますよ」
(゜、゜*)「んなもん持ってくんじゃないわよ」
(;^ω^)「先生ッ!」
95 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/24(月) 21:00:00.00 ID:1399336
【西ゼリヤ王国 宿場町ゴタハ】
(^ω^ )「あ、そっすかぁ~~分かりました。じゃあ他を探します~」
( ^ω^)「……」
(・∀・ )「どうだった?」
( ^ω^)「コボルト不可だって」
(・∀・;)「この宿屋も駄目かぁ~~」
(’A` )「これで3件目か。意外とコボルト宿泊可って無いんだな」
(;コ∀`)「やっぱり獣人系は宿泊不可が多いと聞くコボ」
(´∀と;)「抜け毛が一番の問題らしいルト」
(゜、゜*)「クリーニング面倒臭いものね」
( ^ω^)「どうする?野営する?」
(゜、゜*)「シャワー浴びたい」
(’A` )「宿場だから公衆浴場くらいあんじゃないか?」
(゜、゜*)「あればいいけど」
(;・∀・)「でも野営も腰が痛くなるんだよねぇ……」
( ФωФ)「あの……この町は聖アガメマス教会の修道院があるんですけど、そこならコボルトさん達も泊まれますよ!」
( コ∀`)「本当コボ?」
(´∀と )「やったルト!お布団あルト?」
( ФωФ)「はい、ありますよ!」
( ФωФ)「その代わり、聖アガメマス教に入信して下さいね!」
(´∀と;)「え……」
(;コ∀`)「あ~~~」
(;コ∀`)「…………」
( コ∀`)「なしで」
(;ФωФ)「なんで!?」
(’A` )「布教が強引すぎんだよ」
( ^ω^)「って言うか俺達も別に聖アガメマス教の信者じゃないから泊まれなくない?」
(ФωФ;)「えっ!?」
(;^ω^)「えっ!?」
(ФωФ;)「……大天使様に召喚されたんだから、勇者様はもう聖アガメマス教徒ですよ?」
( ・∀・)「本人の同意は?」
(ФωФ )「要りません!」
( ・∀・)「そっちが言うんだ」
(’A` )「この世界の宗教強引すぎない?」
(゜、゜*)「どこもそうでしょ」
( ・∀・)「しっ!!」
96 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/24(月) 21:00:00.00 ID:1399336
【宿場町ゴタハ 獣人ホテル・カペット】
彡´ФДФミ「7名ネ。3人部屋と4人部屋で分かれてネ」
( ^ω^)「っしゃ、グッパーしようぜ!」
(ФωФ )「グッパー?」
(゜、゜*)「いや、普通に男3人で一部屋使いなさいよ。今まで通りに」
( ^ω^)「え~コボルトはそっちでいいの?雄なのに」
(゜、゜*)「いいのよ。まだ子供でしょ?」
( コ∀`)「子供じゃないコボ!あと5年で成人コボ!」
(゜、゜*)「んなこと言ってる内は子供よ」
( ^ω^)「お、俺じつは心はまだ少年でぇ……」
(゜、゜*)「それはキモいだけよ」
彡´ФДФミ「部屋割りくらいさっさと決めるネ」
(・∀・ )「あの。ここの宿って大浴場とかあります?」
(’A` )「できればサウナが付いてると嬉しい」
彡´ФДФミ「どっちも無い。犬系獣人はお風呂嫌いネ。人間は公衆浴場行くヨロシ」
(’A`;)「そっか……」
彡´ФДФミ「しかし、奴隷商以外でコボルト連れの人間なんて珍しネ。なにしてる?」
(・∀・ )「僕達冒険者で、ラクシズに行くコボルトを護衛してるんです」
彡´ФДФミ「あいやぁ~コボルトも冒険者ギルドに依頼を出すカ。時代も変わったネ」
(・∀・ )「どういうことです?」
彡´ФДФミ「西ゼリヤ王国は犬系獣人が多い国、だから人間との小競り合いも多かったネ」
(’A` )「ん?そんな言うほど犬耳多かったか?」
(゜、゜*)「オオカミ、タヌキ、キツネ……大きく分類すれば全部犬じゃない」
(・∀・ )「宿屋さんもオオカミ獣人ですね」
彡´ФДФミ「そうネ。人狼族は特に人間と仲良く無カタ。人間が縄張りを犯して森を切り拓いたから」
(・∀・ )「根深そうな問題ですからね」
彡´ФДФミ「実際、オオカミの恨みは深いヨ。だからいまの魔王が即位した時、殆どの人狼族が魔界に移住したらしいネ。いずれ人間に復讐する為ヨ」
(・∀・ )「女将さんは?」
彡´ФДФミ「これ爺さんが現役の頃の話。ずっと昔ヨ」
彡´ФДФミ「あたしの爺さん、変わり者ネ。争うより商うの方がずっとお得、口癖だたヨ。だから爺さん、この宿始めた。獣人相手の商売、競合いないカラ食いっぱぐれないヨ」
(・∀・ )「お爺さんやるなぁ。ニッチ戦略がビタッとハマってるじゃん」
彡´ФДФミ「婆さんの入れ知恵ネ。アタシの婆さん人狐族。人狐は昔から人間と暮らしてるから、人間の考え方が染みてる」
(・∀・ )「へぇ~、人間と共生してるんですね。凄いじゃないですか」
彡´ФДФミ「……でもね。同じ獣人はいい顔しない人多いヨ。"ネコ野郎"なんて、よく言われル」
(・∀・ )「"ネコ野郎"?」
彡´ФДФミ「人猫族、人間との歴史は人狐より長いネ。しかも自分達の国まで持ってて、逆に人間を支配してる奴もいるヨ」
(・∀・ )「ネコ様じゃん」
彡´ФДФミ「だから人間好きの犬系獣人は"ネコ野郎"呼ばれる。ただの僻み、悪口ネ」
(・∀・ )「苦労されてるんですねぇ……」
(・∀・ )「ここまでの話をまとめると、オオカミは魔王側で、キツネとかネコは人間側の種族なのかな」
( ・∀・)「コボルトはどう?」
( ・∀・)「……あれ、皆は?」
彡´ФДФミ「お兄さん喋てる間に部屋行ったヨ。昔話に興味無いネ」
(;・∀・)「こういうのが面白いのに……」