勇者達は修道女に導かれているようです その③
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。習い事はしたことがない。中学校は柔道部からの帰宅部。高校では部活に入っていない。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。公文式と習字の教室に通っていた。部活はソフトテニス。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。ピアノ、ダンスを習っていた。部活はしていなかった。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。硬式テニスの中学生チャンピオン。中3の時の表彰式で「遊びは中学まで」と宣言し、全テニス大会から出禁。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。修道院では起床から睡眠までのスケジュールが殆ど決まっているので、特別な習い事はしていない。
( コ∀`)【コボルトA】:能天気なコボルト。村で一番シャグを巻くのが速い。
(´∀と )【コボルトB】:楽観的なコボルト。村で一番洗濯物の取り込みが速い。
92 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/23(日)18:30:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 街はずれ】
( ^ω^)「それじゃあラクシズに向けて出発だぁーーっ!」
( コ∀`)「おーっ!」(´∀と )
(゜、゜*)「まさか馬車で移動するとはね」
( ФωФ)「冒険者ギルドからのご厚意らしいです!」
( ФωФ)「歩くよりずっと速いですし、よかったですね!」
(’A`;)「まぁ、良いことには変わりないけど……御者がよ」
( ・∀・)「よし!みんな走行中はシートベルト着けてね!」
( ^ω^)「ねぇよンなもん」
(’A`;)「……まさか道化師に馬術のスキルがあるとは」
( ・∀・)「大学に馬術サークルがあってね。一応部員だったんだ」
( ^ω^)「馬術サークルって何?」
(’A` )「知らねぇ。俺の大学にはそんなものなかった」
(゜、゜*)「お金持ちの趣味ねぇ……」
( ・∀・)「まぁね。でも、そんな趣味がこんなところで役に立つとは思わなかったよ」
( ・∀・)「ハイヨーッ!」
道化師が手綱を取り、いよいよ馬車が発進する。なだらかな丘陵地帯の街道をひた走り、小一時間も走るとアロスティの街はついに見えなくなった。
93 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/23(日)18:30:00.00 ID:1399336
【西ゼリヤ王国 東部丘陵】
( ФωФ)「この馬車の速度なら、4日もあればラクシズに着けるでしょうね」
(’A` )「逆に4日かかるのか……」
(;^ω^)「4日間乗車しっぱなしはキツイな」
( ФωФ)「いえいえ、そんな事はありませんよ」
( ФωФ)「途中、カッカ山の峠を越えるので、そこだけは馬車から下りて徒歩移動です」
( ^ω^)「よりキツイだけなんだよ」
(゜、゜*)「ところで修道女ちゃん」
( ФωФ)「はーい?」
(゜、゜*)「これから行くラクシズってどんな街?」
( ФωФ)「えーっと、ラクシズは蒸気機関が発展していて、"蒸気都市"とも呼ばれています!」
(’A` )「"蒸気都市"……スチームパンクか」
( ^ω^)「いいね、スチームパンク!そういうのも好きだぜ!」
( コ∀`)「ラクシズの真ん中には、でっかい蒸気機関"タービンタワー"があるコボ!そこで生み出されるエネルギーで街は回ってるんだコボ!」
( ФωФ)「あれ、コボルトさん行ったことあるんですか?」
( コ∀`)「帰省してきた兄ちゃんに聞いたコボ!」
(´∀と )「"タービンタワー"のおかげで、ラクシズには工場がいっぱいあって、仕事も沢山、給料もウハウハらしいルト!」
(´∀と )「だからアロスティよりもずっと遠いけど、ずっと稼げるから、ラクシズに出稼ぎに行ってるんだルト!」
( ^ω^)「はぇ~~どこの世界も同じだな」
( ФωФ)「……でも、ラクシズは今、結構大変みたいですよ?」
(´∀と;)「え、なにがルト?」
( ФωФ)「女神様が魔王に負けて……魔界に近かった国や都市は、どんどん魔王の支配下に置かれてしまいました。そうなると当然、そこから産まれていたお金や資源は、こちらに流れてこなくなります」
(’A` )「まぁ、魔界で使われるよな。戦争してるんだし」
( ФωФ)「そうです。そして魔界に近い地域は、良質な魔石や石炭の産地……つまりは鉱山地帯だったのです」
(゜、゜*)「そりゃまた、戦利品にはうってつけの土地ね」
( コ∀`)「でも、魔界はここからずうっと遠いコボ!関係ないコボ!」
(’A` )「いや、あるぞ。蒸気機関が何で動いてるか知ってるか?」
( コ∀`)「蒸気コボ!」
(’A` )「その蒸気はどうやって出すんだ?」
( コ∀`)「水をグツグツ煮るコボ!」
(’A` )「……水を煮るには何がいる?」
( コ∀`)「木とかゴミとか!」
(’A` )「……石炭だよ。大規模な蒸気機関の場合はな」
(;ФωФ)「そう。石炭の産出量がガクッと下がってしまったんです。そして、その影響はとうとうラクシズへと波及しました。ラクシズの石炭消費量は、全世界の数%にも及ぶと言われていますからね」
( ^ω^)「数%って少なくない?」
(’A`;)「世界に街や都市がいくつあると思ってんだ。バケモンだぞ」
(゜、゜*)「燃料がないと蒸気機関も動かないわね」
( ФωФ)「はい。ラクシズは空前の不況状態に陥っているんだそうです」
(´∀と;)「不況……仕事ないルト?」
( ^ω^)「いや、村に帰ってきてないってコトは、仕事自体はあるんじゃねぇか?給料は減ってるだろうけど」
(´∀と;)「世知辛いルト」
(;コ∀`)「兄ちゃん達、大丈夫かなぁ」
( ФωФ)「……」
( ФωФ)「そこで提案なんですが、コボルトさんを送り届けた後、僕達でラクシズの現状打破に協力しませんか?」
(’A`;)「え?」
( ^ω^)「不況をどうにかするって、お偉いさんの仕事じゃねぇか?」
( ФωФ)「それはそうです。でも、あなた方は勇者なのです!」
(;コ∀`)「え、勇者?」
(´∀と;)「マジルト?」
(゜、゜*)「内緒よ?」
( ФωФ)「ラクシズの不況は全世界に影響を及ぼし、困る人を生み出します!それを食い止め、困っている人を救うのも勇者の使命の一つ!」
(’A` )「ま~言わんとすることは分からんでもないが」
( ^ω^)「でも、俺達だけでどうにかできるかな?」
(゜、゜*)「う~ん……ラクシズの行政と協力できないと、どうしようもないけど」
( ФωФ)「そこは大丈夫です!僕達が勇者だと言えば首を縦に振ります!」
( ^ω^)「勇者のネームバリュー計り知れねぇな」
(’A` )「肩書きが重すぎる」
(゜、゜*)「まぁ、良いんじゃない?結局、魔王を倒しても経済が破綻しちゃったら元も子もないんだし」
(゜、゜*)「それに、これも勇者としての修行みたいなモノじゃない……ねぇ、修道女ちゃん?」
( ФωФ)「あ、はい!そうです!修行です、新手の!」
(’A` )「新手過ぎる」
(^ω^ )「まぁでも、シーフ姉さんが言うなら、いっちょ俺等もやりますか」
(*ФωФ)「ありがとうございます!」
(゜、゜*)「……でも、なにも馬車の中で言わなくても、もっと早く提案してくれても良かったのに」
(ФωФ;)「あはは……すみません、話してるうちに思いつきまして」
(ФωФ )「あ、"天啓"です!"天啓"!ビビッときました!」
(’A`;)「便利な言葉だな……」