勇者達は修道女に導かれているようです その②
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。家族にはかれこれ10年は会っていない。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。年末年始と盆くらいには帰省しようと考えているが、仕事が忙しくて最近は帰れていないので逆に親が来るようになった。事前連絡なしで来る。止めて欲しい。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。親にはスパイになってから会っていない。上京してきた弟とは一度だけ食事に行った。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。実家ぐらし。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。家族とは死別。
ξ ゜⊿゜)ξ【受付嬢】:冒険者ギルド・ランクエスの窓口の人。受付嬢になってから親元には帰っていない。
89 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/20(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
(^ω^ )「"指名クエスト"?」
(’A` )「なにそれ?」
ξ ゜⊿゜)ξ「普通、ギルドが掲示するクエストは、条件さえ合っていれば冒険者なら誰でも受注できますけれど、ギルドマスターの承認の下で冒険者を指名して発注するクエストを"指名クエスト"と呼びますわ!」
ξ ゜⊿゜)ξ「高ランクの冒険者ともなると顔が売れて、広告宣伝や講演の仕事がギルド経由で来ますわ!"指名クエスト"は大体これですわ!」
(・∀・;)「芸能事務所的な事も冒険者ギルドがやってるの?手広くない?」
ξ ゜⊿゜)ξ「マネジメント料でがっぽりですわ!」
(^ω^ )「ってことは、次の仕事は広告系?CM出演?」
(’A` )「でも俺達無名じゃん」
( ^ω^)「でも一応ゆうs」
(゜、゜*)「ん゛ん゛!」
(;^ω^)「あ、うん。そうだな。俺達は一介のC級冒険者だった」
(・∀・ )「一介のC級冒険者がなんで指名されるんです?」
ξ ゜⊿゜)ξ「依頼主からのご指名ですわ!」
(’A` )「依頼主……トレジャーハンターの爺さんか?」
ξ ゜⊿゜)ξ「違いますわ!それでは早速、依頼主をお呼びしますわ!」
ξ ゜⊿゜)ξ「依頼主さん、いらっしゃーいッッッ!」
( コ∀`)「どうも~、この前助けてもらったコボルトだコボ」
(´∀と )「同じくルト」
(’A` )「あ、お前たちか」
ξ ゜⊿゜)ξ「"指名クエスト"の内容は護衛ですわ!彼らをラクシズという街まで連れて行って欲しいのですわ!」
( コ∀`)「兄ちゃん達を迎えにいくんだコボ!」
(^ω^ )「兄ちゃんって?」
( コ∀`)「話すとちょっと長くなるコボ!」
90 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/20(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・カフェテリア】
( コ∀`)「僕達の兄ちゃん達はラクシズに出稼ぎに行ってるコボ」
(^ω^ )「出稼ぎかぁ……コボルトも大変なんだな」
(・∀・ )「聞いたところだと自給自足してる感じだったけど?」
(´∀と )「半分くらいは自給自足ルト。でもやっぱり現金は欲しいんだルト」
(^ω^ )「そりゃそうだ」
(´∀と )「工具や石鹸を買うのに必要ルト」
( コ∀`)「あとタバコ」
(’A`;)「タバコは要らねぇだろ……」
(#コ∀`)「必要コボ!狩りをした後の一服は至福コボ!」
(’A`;)「は、はぁ……」
(゜、゜*)「嗜好品にはお金かけたいものねぇ」
(´∀と )「そうだルト。自給自足一本でも生活できるルト。でも、一度文明の便利さや楽しさを知ってしまったら、もう自給自足だけの生活には戻れないルト」
(´∀と )「原住民の悲哀ルト」
( ・∀・)「含みのある言葉だぁ」
(ФωФ )「コボルトさん達のお兄さんが出稼ぎしているのは分かりましたが……迎えにいくとは?」
( コ∀`)「出稼ぎに行ってるのは、成人して働き盛りの雄だコボ!元々はコボルト族の戦士として狩猟してたコボ」
(;コ∀`)「でも結構前からツノウサギとかイノシシとかの獲物が減っていて……狩人ばっかりいても、集落が食べていけなくなって、そこから出稼ぎが始まったらしいコボ」
(ФωФ;)「ああ……それは残念ですね」
(゜、゜*)「出稼ぎの理由としては十分ね」
(´∀と )「でも、それが良くなかったルト。戦士達がみんな出稼ぎに行っちゃったから、タヌキに脅されても抵抗できなかったルト……」
(’A` )「あ~、強い奴がいなかったのか」
( コ∀`)「そうだコボ!村にも少しは成人がいたけど、多勢に無勢されたコボ!」
(´∀と )「やっぱり防衛戦力は必要だったルト!」
( コ∀`)「集落の長老と冒険者ギルドで話し合った結果、出稼ぎ組の半分に戻ってきてもらうことにしたコボ!そこで、僕達が迎えに行くことになったんだコボ!」
( ・∀・)「なるほどねぇ」
(゜、゜*)「話は分かったけど、手紙を出すんじゃ駄目なの?」
( コ∀`)「読み書きできないコボ!」
(゜、゜;)「あ、ごめんなさい……」
(´∀と;)「それに、例え手紙が出せても、集落が襲われたなんて書いたら兄ちゃん達は大混乱で不安になるルト。ちゃんと会って話した方がいいルト」
( ^ω^)「そういうモンもあらぁな」
(’A` )「迎えに行くってことは、往路だけじゃなくて復路も護衛することになるのか?」
( コ∀`)「帰りは兄ちゃん達と一緒に帰るから平気コボ!」
(´∀と )「コボルト族の戦士は、その辺のモンスターなんかに負けないルト!」
(´∀と )「あの時だって"赤毛の戦士"がいれば、タヌキなんてメッタメタにしてくれたに違いないルト!」
(゜、゜*)「"赤毛の戦士"……?」
( コ∀`)「コボルト族で一番強い戦士をそう呼んでるんだコボ!実際赤いコボ!かっこいいコボ!」
( ・∀・)「赤毛の獣人か、目立つだろうね」
( ^ω^)「それだけ強いんだろうな」
(゜、゜*)「……うん、だいたい経緯は分かったわ。それじゃあ、護衛のルートとか詳しいことを決めていきましょうか」
( コ∀`)「分かったコボ!」
(ФωФ )「準備もありますし、出発はだいたい……」
91 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/03/20(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【蒸気都市ラクシズ ???】
排ガスにまみれた廃工場で、二つの影が相対する。共に犬系の獣人種、一つはオオカミ。もう一つは……コボルトだった。
ミ, Д 彡「おい、赤毛の。そろそろいい返事を貰いたいんだがな」
( A )「返事なら何度もしているハズだが?」
( A )「"断る"とな」
( A )「それとも何だ、小便を漏らすまで殴られるのが趣味か?」
ミ, Д 彡「へっ……コボルトの癖に舌の回る奴だ」
( A )「そういうお前は実にオオカミらしいな。よく吠える」
( A )「ああ、いや。すまない」
( A )「"負け犬"か」
ミ# Д 彡「ぐ……ぐぬ……」
ミ# Д 彡「くく……くはは……」
ミ* Д 彡「はーっはっは!負け犬はお前だ、"ネコ野郎"!」
( A )「ふん、何を言うかと思えば……」
ミ* Д 彡「俺達は、既にお前の故郷の奴らを手中におさめてんだよ!」
( A ;)「ッ!?」
ミ, Д 彡「……家族を殺されたくはないだろう?」
ミ, Д 彡「だからさっさと答えろ、"赤毛の戦士"!」
ミ, Д 彡「"四天王ガッデム様の軍門に下る"とッッッ!」
( A ;)「……ッ!!」