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勇者達は修道女に導かれているようです その①

【登場人物紹介】


( ^ω^)【戦士(ウォリアー)】:レスラー体型の勇者。西ゼリヤ王国騎士団に混じって修業中。


 ( ’A`)【魔法使い(ウィザード)】:ヒョロガリ勇者。トレジャーハンターの爺さんの下で修業中。


(゜、゜*)【盗賊(シーフ)】:スタイルグンバツ勇者。受付嬢と茶をしばいている。


( ・∀・)【道化師(クラウン)】:イケメンハイスペ勇者。西ゼリヤ王国騎士団の修行という名の拷問から脱走。


( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。ヨイノマ神社で修業することに。


从*・⊿・从【神主】:ヨイノマ森の神社を管理している人狐の女性。かつての修業の日々を懐かしむ立場の人。

87 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336



【ヨイノマ森 リナイ神社】



 魔法使いと道化師が公衆浴場でリラックスしていた頃、修道女はリナイ神社を訪れていた。というより宿で熟睡しているところを神主に引きずられて来た。



(ーωー )zzZ……zzZ



从*・⊿・从「おい、いいかげん目を覚まさんか」



 気持ちよさそうに寝息を立てる彼女の頬を軽く叩く。



(ーωФ )「んん……ん?」



(ФωФ )「あれ、ここ宿じゃないですね」



从*・⊿・从「おう、ヨイノマの神社じゃ」



(ФωФ;)「神社……あれ神主さん!?なんで?」



从*・⊿・从「お前に稽古をつけてやろうと思っての」



(ФωФ )「稽古?なんで?」



从*・⊿・从「お前は、回復魔法は流石の一言じゃが、それ以外がダメダメじゃ。それでは、今後勇者達の旅にはついていけん」



从*・⊿・从「坐禅に始まり滝行、ヨガ、ランニングに筋トレ、掃除洗濯飯作り……」



(ФωФ;)「うぅ……なんかもう全部違う……」



从*・⊿・从「どれもこれも修業のうちじゃ」



(ФωФ;)「というか、誰がそんなこと頼んだのですか……?」



从*・⊿・从「客人じゃ」



(ФωФ;)「客人?えっと……僕は聖アガメマス教団以外に知り合いは……」



从*・⊿・从「そう。じゃから、お前もよく知っとる男だ」



从・Δ・*从「という訳で、もう出てきてよいぞ」



 神主の鶴の一声で襖が開くと、そこには白衣に身を包んだ白髭の爺が。



| ´ω`|「私じゃよ」



(ФωФ;)「さ、祭司(さいし)様……っ!」



──聖アガメマス教豆知識。祭司は宗教儀礼を取り仕切る立場の人物!会社で言うところのエリアマネージャー、教職で言うところの学年主任的な感じだ!



(ФωФ;)「なぜ祭司様が神社に?」



| ´ω`|「勇者達の状況を確認しに来たんだよ。そして『(かすがい)』、君に助言(・・)をな」



(ФωФ;)「助言……?」



| ´ω`|「うむ。天使様が召喚した四勇者と共に、より魔王の軍勢との前線に近い街へ行くとよい」



| ´ω`|「具体的に言うと中央平原のラクシズ(・・・・)だ」



从*・⊿・从「ラクシズ……蒸気機関の都市か。して、その理由は?」



|´ω` |「あそこは戦争のせいで燃料の供給が滞り、経済が低迷。治安も悪化していると聞く」



|´ω` |「教団にも協力の嘆願が来ていてね、どうにかしてやりたいじゃないか」



(ФωФ )「なるほど……具体的に、どのように動けばよいでしょうか?」



| ´ω`|「詳しくはラクシズの市長に話を聞いてくれ。あちらには既に話はつけてある」



(ФωФ )「分かりました。出発は今すぐにですか?」



| ´ω`|「いや、私が発ってから少し間を置きなさい。君達は少しでも実力を上げてもらおう」



从*・⊿・从「そういや、教団として勇者の現状はどんなもんじゃ?」



| ´ω`|「召喚されてから短期間の活動にしては十分だと判断している」



从*・⊿・从「そうかぁ?わしとしては、今ひとつ攻撃力というか……パーティとしての火力が足りないと思うがなぁ」



从*・⊿・从「戦士はもっと筋骨隆々の荒武者に!魔法使いは超火力の固定砲台になるべきじゃ!」



(ФωФ;)「彼らは元々、異世界の一般人です。そこまで求めるのは酷かと」



| ´ω`|「うむ。強さはこれから身に付けていけばよい」



| ´ω`|「死んでたり、逃げたりしてなければ上々だ」



从*・⊿・从「評価の基準が低すぎんか?」



| ´ω`|「いやいや。異世界に突然召喚されても現地に適応できている。勇者の使命を聞いて、それに前向きである。何故か4人もいるが互いに協力関係も築けている。これらを低く見てはいけない」



从*・⊿・从「む……そういうもんかの」



(ФωФ )「今も戦士さんは自分の意志で騎士団に赴き、訓練を積んでいます。今はまだ魔王はおろか四天王にも敵いませんが、それに負けんとする気概は感ぜられます」



| ´ω`|「うむ。素晴らしいではないか」



从*・⊿・从「女神が負け、魔王軍との戦いで多くの街が疲弊しておるというのに、教団は悠長なもんじゃの」



| ´ω`|「預言によればこれが最善手だ。勇者達が育つまで、人々には耐えてもらうしかあるまい」



(ФωФ )「あの、祭司様。話は変わりますが一ついいでしょうか」



| ´ω`|「なんだ?」



(ФωФ )「なぜ、アロスティ城下町のアガメマス神殿ではなく……この神社で僕達は話しているのでしょうか?」



| ´ω`|「ふむ……それはだな……」



从*・⊿・从「教団の内部に裏切り者がいたからじゃ」



(ФωФ;)「えぇっ!?」



|´ω`;|「おい、それは私が話すべきことだ!」



从*・⊿・从「誰が言おうが同じじゃ」



从*・⊿・从「以前、勇者を召喚したカナイド村に魔王の手下が現れたと言っとったな」



(ФωФ )「え?あぁ……はい」



从*・⊿・从「ありゃ裏切り者が魔王軍に情報を流したせいじゃ」



(ФωФ )「なんと……!嘆かわしいです!」



| ´ω`|「その通り。犯人は既に粛清済だが、それでも細心の注意を払わんといけないと教団本部で決められたのだ。それが例え、身内の神殿であっても」



从*・⊿・从「そして選ばれたのが、わしじゃよ」



(ФωФ )「何故?」



| ´ω`|「個人的に信頼に足るからだ」



从*・⊿・从「コイツが数十年前、アロスティで修道士をやっとった時からの知り合いでな」



(ФωФ )「なるほど」



| ´ω`|「あと裏切り者がアロスティ神殿の祭司だったから」



(ФωФ;)「なるほど……」



从*・⊿・从「政治的判断じゃな」




88 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336



【ヨイノマ森 リナイ神社】



| ´ω`|「……という訳で、話はこれくらいだな。大事なのは最初に言ったことくらいだが」



(ФωФ )「次の目的地は蒸気都市ラクシズ(・・・・)、ということですね」



| ´ω`|「うむ」



从*・⊿・从「だが、こんな話なら勇者全員呼びつければ良かったんじゃ?」



| ´ω`|「勇者を導くのは"天啓を受けた者"でなければならないのだ」



(ФωФ )「……」



从*・⊿・从「それも預言か?」



| ´ω`|「うむ。それ以外の教団員は彼らを導いてはならない。教団員全員に厳命されている」



从*・⊿・从「難儀なもんじゃ」



(ФωФ )「大丈夫です!僕がしっかり勇者を導くので!」



(ФωФ )「そして必ず、魔王をぶっ殺しますッ!」



|;´ω`|「……」



从*・⊿・从「はっはっは。頼もしいものじゃ」



|;´ω`|「私はそろそろおいとまするが……『(かすがい)』」



(ФωФ )「はい!」



| ´ω`|「最後に一つ。私は使命に殉じる君を、最大限サポートするつもりだ」



(ФωФ*)「ありがとうございます!」



| ´ω`|「だが……できれば……」



| ´ω`|「この旅が、君の殉教の旅にならないことも願っているぞ」



(ФωФ )「……」



从*・⊿・从「?」



( ФωФ)「必ず、魔王はぶっ殺します」



( ФωФ)「それが、この旅の目的ですから」


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