勇者達がカチコミをかけるようです その⑤
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。予定のない休日によく行く場所はパチンコ、銭湯。重賞レースの開催日は競馬。渡米してからは休みなし。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。休日……?たまに元気がある時はサウナに行ってた。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。予定のない休日は、資格の勉強をしながら、溜まってるTV番組やドラマを消費することが多い。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。休日も予定で埋め尽くす。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。予定のない休日は、朝遅くまで惰眠を貪り、お昼寝をした後、早めに床に就く。
68 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 地下労働施設】
ミ;●∀●彡「この地下施設の真の目的……それは、ターピュライトを養殖することでゲス」
(゜、゜*)「ターピュライト……」
(ФωФ;)「賢者の石を!?」
( ・∀・)「増やせるの?人の命が必要なんじゃないの?」
(’A` )「岩ネズミを使うらしいよ」
ミ;●∀●彡「そう、甲殻にターピュライトの欠片を埋め込んだ岩ネズミを育てると、それは岩ネズミの生命力を吸いながら大きくなるのでゲス!」
ミ*●∀●彡「いわゆる人工ターピュライトでゲス!」
(・∀・ )「へぇ~」
(ФωФ#)「一体、何に使うつもりですか!?」
ミ*●∀●彡「使う……?ターピュライトは使うものじゃないでゲス」
ミ*●∀●彡「"売るもの"でゲスよぉ!!ゲースゲスゲス!」
(゜、゜*)「なるほど。卸先は魔王ってところかしら?」
(;ФωФ)「えぇっ!?」
ミ ●∀●彡「流石に勘づくゲスか……その通りゲス」
69 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 ビジターセンター】
彡;●Д●ミ「親分っ!」(●Д●;)
彡;●□●ミ「大丈夫ですか!?」ミ●W●;ミ
Ξ;●Д●Ξ「しっかりしてくだせぇ!」ミ●∩●;彡
ミ;●A●彡「俺達どうすりゃいいんスか!」ミ●皿●;彡
狸影に群がる子分達に、騎士団長が吠える。
(゜Дメ )「雌雄は決した。貴様ら、神妙にお縄につけ!」
ミ;●ω●彡「ぐ、ぬ……まだ、まだじゃあっ!」
ミ;●ω●彡「たった一撃のラッキーパンチで、ワシを倒せると思うなよっ!」
(゜Д。;)「貴様、まだ立つか!」
(^ω^ )「タフな奴だな」
(゜Дメ )「……止めておけ。頭を負傷した魔法使いの術など取るに足らん」
ミ;●ω●彡「ブ、ブへへへッ!それでもハンデとしちゃ十分じゃっ!」
彡●Д●;ミ「親分っもうフラフラじゃないですか!」
ミ;●ω●彡「支えとけっ!見よ、我らが奥義……」
从* ⊿ 从「そこまでじゃ。アホダヌキ」
ミ●ω● 彡「その声はっ!」
从*・⊿・从「お遊びはここまでじゃ。大人しく引き下がれ」
(^ω^ )「お婆ちゃん!?」
(゜Дメ;)「オババ様っ!?」
从#・⊿・从「誰がお婆ちゃんじゃ!"ピチピチ大学生ギャル"じゃ!」
(^ω^ )「だからそれは無理があるって」
ミ●ω●;彡「……ヨイノマの狐か。今さら何の用だ」
从*・⊿・从「ん?誰じゃお前」
(゜Д゜;)「狸影です。A級賞金首の」
从*・⊿・从「あーはいはい。お前さんがかの。なんじゃボロボロに負けとるようじゃの」
从*・⊿・从「麓の温泉にでも浸かって癒やしてこい。なんなら回数券が余っとるからあげようか?」
(^ω^ )「あ、俺欲しい」
ミ●ω●#彡「貴様っ!ナメとんのか!」
从*・⊿-从「なんじゃ、ひとが労ってやっておるのに……」
从*・⊿・从「……おい、いつまで茶番を続けるつもりじゃ?三下に用はないんじゃが」
ミ●ω●;彡「……ッ!!」
ミ●W●#ミ「テメェ、親分をバカにするなよ!」
(゜Дメ;)「神主様、それはいったい?」
(゜Д゜;)「"神隠し"狸影は、タヌキの親玉ではないのですか?」
从*・⊿・从「いや、違う。コイツはその名の通り"影"に過ぎん……」
从*・⊿・从「タヌキ共の真の親玉の名は"隠神"ッ!老獪な化け狸よ!」
(^ω^ )「タヌキなのに犬なの?」
从*・⊿・从「そっちの犬ではない!えぇい、姿を現せッ!」
声を荒げる神主。しかし、返答はない。
ミ●ω●;彡「ブヘヘ……貴様如き、隠神様は相手するまでもないということじゃ」
从#・⊿・从「黙れ三下っ!」
ミ●A● 彡『……今さら、何の用だ。ヨイノマの巫女』
(^ω^;)「お前、子分Cじゃなかったの!?」
ミ;●ω●彡「隠神様……っ!」
(゜Дメ;)「部下に紛れて狸影を操っていたのか?」
从*・⊿・从「いんや。騙されるな、ただの魔法じゃ。今まで隠神の真の姿を見た者はおらぬ」
ミ●A● 彡『む。「千変万化」の術は、ただの魔法じゃない。例えば……』
『……こうやって、姿を消すこともできるし……』
( ゜Д。)『……こうやって、"声"に化けることもできる』
(;゜Д。)「って、え?俺、喋ってないぞ!?」
(^ω^ )『馬鹿者、化けられてんだよ』
(#゜Д。)「貴様っ!いくら恩人でも、なんだその言い分は!」
(^ω^;)「ち、違います違います!タヌキに化かされたんスよ!」
从*・⊿・从「その通りじゃ。手を離してやれ」
从*・⊿・从「隠神、悪戯は止めろ。話を聞いてくれ」
从*・⊿・从「魔王と関わるのはもう止めろ。魔王はわしら獣人のコトなど手駒程度にしか考えておらん。彼奴の元にいたとて、待っているのは破滅のみじゃぞ」
ミ●A● 彡『……語弊があるぞ。狸族は魔王の軍門に下った覚えはない。我らは対等な協力関係にある……』
从*・⊿・从「対等?魔王に命じられて企み事をコソコソ為すだけの実行役のクセにか?」
ミ●A● 彡『それも目論見の内だ。貴様にとやかく言われる筋合いはないな』
从*・⊿・从「目論見?狸族は何を考えておる」
ミ●A● 彡『ふん。人間にすり寄った女狐に話してやる義理はない』
从;・⊿・从「!」
ミ ●A●彡『人間共、せいぜい狐に気をつけることだな。コイツらは自分の利益の為なら同胞さえ売る奴らだ』
(^ω^;)「え、マジ?」
从;・⊿・从「違うぞ隠神!昔のことなら、それは……」
ミ●A● 彡『何も言うな。虚しい言い訳にしか聞こえぬ』
从;・⊿・从「っ……」
ミ●A● 彡『さて人間共。我が育てた狸影を負かすとは見事。その功に免じて、この場で貴様らを殺すのは勘弁してやろう』
从*・⊿・从「ふん、殺させやせんわ!」
ミ●A● 彡『だが、我らはこんな場所で捕まる訳にはいかぬ。今捕まってる狸は全員、遁走させてもらうとしよう』
ミ●A● 彡『「千変万化」の術・解ッ!!』
70 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 地下労働施設】
(ФωФ;)「魔王は……賢者の石で一体何をするつもりなんですか!?」
ミ ●∀●彡「それは……」
修道女がタヌキを問いただしたその時だった。辺りの景色が歪み、崩れていく。
(’A`;)「なんだ、何が起きてる!?」
(;・∀・)「分からない!施設が……っ!」
勇者達は周囲を見回す。気がつくとそこは"施設"ではなく、ただの坑道であった。
(ФωФ;)「……っ!あれ、タヌキは!?」
そして尋問していたタヌキも、いつの間にか消えていた……。
(゜、゜;)「いったい……何がどうなってるのよ?」
(’A`;)「もしかして、ぜんぶ幻だったのか?」
(゜、゜;)「そんな……そんなの何でもありじゃない……」
『その通り。影を踏んでも我は捕らえられない』
(;ФωФ)「この声は……!」
『貴様らの仲間の勇猛さに免じ、ここで消すのは止めてやる。"勇者"共』
『せいぜい、魔王と戯れるがよい……』
71 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 ビジターセンター裏 荒れ地】
千変万化の術を解除した隠神。すると、勇者達がいた荒れ地はみるみる姿を変えていった。
(゜Дメ;)「これは……ススキ畑!?」
(゜Д゜;)「幻覚か。どうりで動きにくい訳だ……」
(;゜Д。)「タヌキも消えた。すばしっこい奴らだ」
術を解けば狸一匹おらず、草木が茂り荒れ果て、そしてビジターセンターもボロボロの廃屋と化したのだった……。
(^ω^;)「え、あれ?ビジターセンターは?どうなってんのこれ?」
从*・⊿・从「……狸に化かされておったんじゃよ、ずっとな……」
72 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【アロスティ城下町 冒険者ギルド・ランクエス】
ξ*゜⊿゜)ξ「なにはともあれ、クエストは達成ですわぁーっ!!」
ξ*゜⊿゜)ξ「おめでとうございましぃーっ!!」
(^ω^ )「なーんかモヤモヤすんだよなぁ。俺、ボス敵に勝ったのに」
(’A` )「まぁまぁ。敵を倒したと思ったら、もっと強い敵が出てくるなんてよくあることじゃねぇか」
(・∀・ )「そうそう。ラディッツの上にベジータがいたくらいのモンだって」
( ФωФ)「それに、戦士さんが倒した狸影は、本来騎士団の目標。"コボルト救出作戦"は、見事大成功なんですから!なにも気にすることはありません!」
( ^ω^)「そうかな……そうかも」
ξ*゜⊿゜)ξ「そうですわ!敵を逃がしてしまったのは騎士団の失態。アナタ達や冒険者ギルドには何の瑕疵もありませんわ!」
(゜、゜*)「ま、タヌキと魔王の繋がりの証拠は全部消えちゃったけど」
(・∀・ )「まさか地下労働施設も丸ごと全部、タヌキの魔法だったとはね」
ξ*゜⊿゜)ξ「たしかに事件現場が消えたのは惜しいですが、シーフさんが聴取したタヌキの証言は残っておりますわ!これもお手柄ですわ!」
(’A` )「あのタヌキ、ペラッペラ喋ってたな」
( ・∀・)「拷問をチラつかせたからね」
ξ*゜⊿゜)ξ「と・に・か・く!今回のクエスト達成で、アナタ達は多大な功績を認められましたわ!」
ξ*゜⊿゜)ξ「ここに冒険者ギルドは、アナタ達をC級冒険者と認定しますわ!」
(^ω^*)「うおおおっ!E級から一気にC級だ!」
(’A`*)「やったぜ!何がどう変わるか分かんないけど!」
(*・∀・)「これはもう今日飲みに行くしかないっしょ!」
(*ФωФ)「やりましたね、皆さん!」
(゜、゜*)「良かったわね」
( ФωФ)「あれ、盗賊さんは喜ばないんですか?」
(゜、゜*)「私は元々C級だし」
ξ*゜⊿゜)ξ「残念ですが、B級昇格にはまだまだ実績が要りますわ!C級は冒険者の中でも結構なボリュームゾーン!B級は狭き門なのですわ!」
(゜、゜*)「ふーん、そうなのね」
(^ω^ )「あれ?シーフ姉さん、ちょっとガッカリしてる?」
(゜、゜*)「そんなコトないわよ」
(゜、゜*)「むしろ、やっと同格かって感じ?」
( ・∀・)「く~この女ぁ!」
(゜、゜*)「ま。これからは同じクエストを受けられるんだし、一緒に頑張りましょ?」
(’A` )「おう、そうだな」
(^ω^ )「B級には一緒に上がろうぜ!」
(゜、゜*)「……」
(゜、゜*)「ねぇ。そう言えば今日はどこで飲むの?」
(’A` )「あ、もしかして結構乗り気なタイプ?」