四勇者が転職するようです その①
【登場人物紹介】
( ^ω^)【勇者】:大雑把でガタイの大きな男。元々は借金返済の為、ベーリング海でカニ漁をしており、修羅場も経験しているようだ。筋肉の上に脂肪をつけ、その上にまた筋肉をつけた"肉のヨロイ"をもつ。
( ’A`)【勇者】:小柄で細身な元システムエンジニア。ブラック企業で働いた時は残業と休日出勤などの過重労働で精神を蝕まれていた。散髪に行く余裕も無かったようで、髪が目を隠すまで伸びている。
(゜、゜*)【勇者】:スタイリッシュ元女スパイ。秘密組織の手先として、色々と法外な活動をしていたらしい。彼女のアタッシュケースの中には、重火器や爆弾が、明らかに質量保存の法則を無視した状態で詰め込まれている。
( ・∀・)【勇者】:イケメンハイスペ元営業職。歯はホワイトニング済み。泥酔してカスみたいな宴会芸を披露した為、異世界に来ることになった。酔ってない時は比較的常識人。
( ФωФ)【修道女】:大きな声で返事をする僕っ娘。"天啓"を受け、勇者を導くのが彼女の役目だとか。女神を信仰する聖アガメマス教会に所属しており、魔王への憎しみが強い。
9 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/28(金) 12:00:00.00 ID:1399336
【地方都市ロトス─転職の館・ビマイナ】
J('ー` )し「フェフェフェ……アンタに相応しい職業は、"道化師"さね」
( ・∀・)「……え?」
(;・∀・)「えぇッ?なんで?なんで俺が道化師ィッ?」
──はじまりの村カナイドを出発した勇者御一行は旅の装備を整えるべく、ロトスにて転職活動をしていた……。
( ^ω^)「宴会でケツから酒飲むような奴は道化だろ」
(・∀・;)「うるせぇッ!!あの時は酔ってたんだ!無効だろ!」
(゜、゜*)「嫌ねぇ……酒を免罪符にするヒト」
(’A` )「酔った時にこそ、人間性ってのは浮き彫りになるんだぞ」
(・∀・;)「~~ッ!!~~ッ!!」
(・∀・;)「というか、なんでこんな胡散臭いオバ……ご婦人の言うことを聞かないといけないんだ!」
J('ー` )し「気ぃ使わなくても、オバサンでいいよ。別にしたくないなら、しなくていいんだよ転職。あたしができんのは、アンタの適職を診るまでだけだからねぇ」
( ФωФ)「どうどう。落ち着いて下さい道化師勇者様。この方は転職の館の主、占い師のビマイナ・トリクール様。失礼のないように」
( ФωФ)「婦人の職業適性を見抜く力は本物です!ゆえに、彼女の転職占いは、満足率ランキング10年連続No1!」
( ^ω^)(むしろより胡散臭い気がする)
(・∀・;)「ふ、ふん占いなんて……」
J('ー` )し「……アンタ、年の離れた兄姉がいるだろう?」
(;・∀・)「!?なぜそれをッ」
J('ー` )し「軽薄、きまぐれ、甘えん坊……けれど人の顔色を読むのに長けていて、ここぞという時に気を利かせられる」
J('ー` )し「見事なまでの末っ子気質。こういう年上に可愛がられるタイプはね、道化師が合ってるのさ」
(;・∀・)「そ、そうなんですか!?」
J('ー` )し「あぁそうさ、というか道化師の何が不満なんだい?」
(・∀・;)「い、いや……だって!」
(^ω^ ) 戦士ッ!
高い破壊力と防御力を併せ持つ重戦車!敵とがっぷり四つに干戈を交える、戦場の華ッ!
(’A` ) 魔法使いッ!
幾千万の魔法を操るオールラウンダー!コイツがいなけりゃ異世界は始まらないッ!
(゜、゜*) 盗賊ッ!
素早い動きで敵を撹乱!奪うのはモノだけじゃないッ!戦闘以外でも、ダンジョンじゃあ大活躍だッ!
(・∀・;)「コイツらだけカッコいいメイン職業でズルいじゃん!」
(・∀・ ) 道化師ッ!
なんか変な服着て、顔に落書きしてる赤っ鼻の人。
笑いの前に恐怖が湧く。たぶん猟奇殺人鬼。
(・∀・;)「俺なんて↑コレ↑だぜ!?」
( ^ω^)「いいじゃん。面白いよ」
( ’A`)「トランプとか使って戦いそう」
(・∀・;)「アレはどうやって戦ってんだよ!」
( ’A`)「ほら、不意に紙で指を切っちゃうと痛いだろ?……そんな感じ」
( ^ω^)「防御無視攻撃じゃん。よかったな」
(・∀・;)「よくない!」
J('ー` )し「道化師はモテるよ」
(*・∀・)「いいスね道化師ッ!なります!占いありがとうございました!」
( ^ω^)「軽薄すぎる」
( ’A`)「占いって当たるもんだな」
(゜、゜*)「というか、私も盗賊はちょっと気に入らないんだけど」
( ^ω^)「お?スパイだって情報盗んだりするし盗賊みたいなもんでしょ」
(゜、゜*)「それはそうだけど……違うのよ。盗賊呼ばわりはされたくないわ」
( ’A`)「こだわりってヤツか」
J('ー` )し「スパイなんて職業、聞いたことがないねぇ……」
J('ー` )し「忍者ならあるがね」
(゜、゜;)「なんでスパイが無くて忍者があるのよ!?」
( ’A`)「忍者のほうがロマンがあるからに決まってんだろ」
( ・∀・)「恐らく東方に和風な国があると見た」
10 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/28(金) 12:00:00.00 ID:1399336
【地方都市ロトス─武具屋・スミスクラブ】
──占い結果にごねる( ・∀・)(゜、゜*)二人をなんとか説得し、次に訪れたのは武具屋!ここで、それぞれの職業に適した武器を選ぶのだ!
( ^ω^)「……この大剣のグリップ感、いいな。手に馴染む」
(’A` )「お、武器は大剣にしたのか?いいじゃんいいじゃん」
( ^ω^)「うん。昔から大っきい剣、ブンブン振り回してみたかったんだよ」
( ^ω^)「お前は……ローブだけ?」
(’A` )「この後、魔導書専門店で初級の魔導書を買う予定だ。杖は初心者卒業してからの方が良いって店員さんが言ってた」
( ^ω^)「へぇ~魔法使いって大変なんだな。俺は専門書とか読む気にならねぇし」
(’A` )「そうか?俺は新しい知識とかワクワクするわ」
( ^ω^)「占い師のオバサンが言ってたように"適職"ってヤツだろうな。俺は頭で覚えるより体に覚えさせる方が向いてるわ」
( ^ω^)「……よしっ!この剣で小学生の時に考えた必殺技"龍滅覇皇斬"を放ってやるぜ!」
(’∀`*)「"龍 滅 覇 皇 斬"……ヒヒッヒヒヒッ!腹いてぇ!笑わせんな」
(*^ω^)「あっははははは!一回くらいは妄想したろ!?」
(’∀`*)「あったあった。じゃあ俺は"秘術・零……ブフッ!」
(*^ω^)「ちょっと、噴き出すんじゃねぇよ!」
(゜、゜*)「……あー、やだやだ。早く脳みそも小学校卒業しなさいよ……」
(゜、゜*)「ねぇ修道女さん、やっぱり銃弾は売ってないの?」
(;ФωФ)「はい。銃の生産地が魔王に占領されてしまって……たぶん、国が買い占めたんでしょう。この街では売っていないと聞きました」
(゜、゜*)「そっか、ありがと。なら持ち合わせの残弾数にも気を使わないとね」
(゜、゜*)「それまでは……ナイフでいいか。一通り扱えるし」
(゜、゜*)「これは……しびれ毒付与?どういうこと?」
( ФωФ)「あぁ、"毒ナイフ"ですね。武器に魔法がかかっていて、それで敵を切ると、しびれ毒に侵すことができるんです」
(゜、゜;)「なにそれ!?最強じゃない!」
( ФωФ)「まぁ、でも切れ味はそこまで……」
( ФωФ)「そうだ。今まで銃を使っていたのなら、同じ遠距離武器の弓とかボウガンはどうでしょう?」
(゜、゜;)「弓と銃は別物じゃない。弓なんて使えないわよ」
(・∀・ )「……ねぇ、シーフ姉さん」
(゜、゜*)「ん、なに?」
(・∀・ )「なんか皆さぁ……プレートアーマーとかローブとか、剣とか魔導書とか……すっごい異世界異世界してんのにさぁ……」
(・∀・ )「なんで俺だけ、そのまま背広姿なの?」
(゜、゜*)「いいじゃない。漫才師っぽいし」
(・∀・;)「いや、結局俺は道化師になったんですよねっ?」
(・∀・;)「道化師と漫才師ってぜんぜん違うじゃないスか!」
(゜、゜*)「そう?人を笑わせるって目的じゃ同じじゃない」
(・∀・;)「そこだけ見ればね。でもやっぱ道化師には道化師の格好ってものがあると……」
(゜、゜*)「ふーん、なら白粉を塗れば?」
(・∀・ )「え?」
(゜、゜*)「白粉よ。舞妓さんが顔に塗ってるヤツ」
(゜、゜*)「顔が白ければ道化師らしくなるでしょ?私が塗ってあげるわ」
(ФωФ )「僕、買ってきますね!」
(・∀・ )「え、あぁ……え?」
10 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/28(金) 12:00:00.00 ID:1399336
(*^ω^)「アヒャッヒャヒャッヒャヒャヒャッ!!」(’∀`*)
( :∀☆)「……」
( ^ω^)「お前その化粧、道化師らしくなったじゃねぇか」
(:∀☆ )「……そりゃどうも」
(’A` )「でもよ、元の顔がイイからかな。妙なカッコよさが醸されてる気もしなくもない」
(*:∀☆)「そう?」
(’∀`*)「あ、ダメだ。動くとダメ。笑えてくる」
(:∀☆ )「あ、そう」
(゜、゜;)「まぁ、道化師は人に笑われるのも仕事のウチだから」
(:∀☆ )「それは分かってるけどさ……旅の中で道化師ってなんの役に立つの?」
(゜、゜;)「う~ん、戦いの役には、立たなそうだけど」
( ФωФ)「街の広場で芸を披露すれば、投げ銭を貰えるかもしれません!」
( ^ω^)「ああ、たしかに。上手くいけば一攫千金だな。魔王討伐にあんま関係ないけど」
( ’A`)「いやいや、金稼ぎは実際重要だぞ」
( :∀☆)「じゃ、俺が勇者パーティの財布役だね」
(゜、゜*)「そう言えば、装備とかも買ってもらったけど、これまでの旅の路銀ってどうしてたの?」
( ФωФ)「カナイド村の修道院の貯金から建て替えてます!後で教会本部に請求します!」
(゜、゜*)「あら意外としっかりしてるのね。偉いわ」
(*ФωФ)「へへへ」
( ^ω^)「……あとで返済しないとなぁ」
(’A` )「そうだな。んでお前、なんか一芸もってる?」
( :∀☆)「う~ん……一芸ねぇ」
(:∀☆ )「……」
( :∀☆)「ケツから酒を「死にたいの?」(゜、゜*)