勇者達がカチコミをかけるようです その④
【登場人物紹介】
( ^ω^)【戦士】:レスラー体型の勇者。好きな異世界料理は回復薬。甘くて美味しい、ソルティライチにアロエ足したような味がする。
( ’A`)【魔法使い】:ヒョロガリ勇者。好きな異世界料理はハンバーグ。ミンチ肉を捏ねて焼いた料理なんてどうしたって美味しくなるのだ。何の肉かは知らない。
(゜、゜*)【盗賊】:スタイルグンバツ勇者。好きな異世界料理は豆のペースト。パンに塗っても良し、野菜に付けても良しの万能料理。何が混ざってるかは知らない。
( ・∀・)【道化師】:イケメンハイスペ勇者。好きな異世界料理はスライムの干物。旨味のあるガムみたいな何かで、クセになる味わい。沢山食べると腹を下すらしい。
( ФωФ)【修道女】:勇者を導く僕っ娘。好きな料理はパンの耳を揚げて砂糖をまぶした奴。名前はまだない。
65 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 地下労働施設】
ミ;●∀●彡「キェェッ!忍法・『風遁:竜巻の術』を喰らうゲスッ!」
(’A`;)「ッ!"流れよ、滞れ"!『対抗魔法』……!」
タヌキの放つ魔法に対し、魔法を打ち消す呪文を唱える魔法使い!しかし、完璧には習得できていないのか、威力を完全に減衰させることはできない……ッ!
(’A`;)「!『防護魔法』ッ!」
(’A`;)「くそッ!まだ対抗魔法は難しいか……!」
(゜、゜*)「じゃあ、なんで使うの?このバリアがあれば攻撃は防げるでしょ?」
(;’A`)「バリアを張ってる間は攻撃魔法が唱えられないんだよ。魔力の消費も激しいしな……対抗魔法なら、相手の魔法を打ち消してカウンターで攻撃できるんだ」
(゜、゜*)「なるほど。魔法にも色々あるのねぇ」
(ФωФ;)「バリアの中に籠もっていても、僕達に攻撃手段はありませんしね。どうしましょう」
(’A`;)「そう、そこが問題だ。このままじゃジリ貧だな……戦士と道化師、早く来いよ」
ミ ●∀●彡「ゲースゲスゲスッ!バカの一つ覚えのバリアか!引きこもってないで戦いやがれでゲス!」
(’A` )「なんだそれ、挑発のつもりか?そっちにバリアを破る手立てがないのは分かってんだ。大人しく籠城させてもらうぜ」
(゜、゜*)「見え透いた挑発に乗るほど、私達は単純じゃないわよ」
(ФωФ )「です!」
ミ#●∀●彡「キェェッ!」
互いに睨み合う。静寂を破ったのはタヌキだった!
ミ#●∀●彡「もう我慢できん!地下施設が壊れようが知ったことか!」
ミ#●∀●彡「狸影様にも認められし最大火力の忍法を喰らうゲスッ!」
ミ#●∀●彡「"山越えよ風、海越えよ波……"」
「『火炎魔法:』ッ!」
ミ#●∀●彡「うわっぢゃあっ!!!」
詠唱を始めるタヌキの背中が、突然燃え上がるッ!さながらカチカチ山の様相、これにはタヌキも詠唱を中断せざるを得ない。
そして、その魔法を放ったのは……
(;・∀・)「な、なんとか間に合った」
道化師であった。
ミ●∀●;彡「ひ、火を消してくれゲスっ!」
( ・∀・)「降参するならいいよ」
ミ●∀●;彡「す、するでゲス!だから早く!早くぅぅぅっ!」
66 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 地下労働施設】
(´∀と )「ちょっと傷に染みルト~~ぬりぬり~~」
( コ∀`)「秘伝の万能軟膏・ムータンメだコボ。火傷にも効くコボ~」
ミ●∀●;彡「い、痛い!痛いでゲス!私は怪我人ゲスよ。優しくするゲス!」
(゜、゜*)「いいえ。アンタは怪我人の前に捕虜よ。治療を続けてほしかったら私達の質問に答えなさい」
ミ;●∀●彡「ふ……ふん!私は狸影を裏切ったりはしないでゲス!」
(゜、゜*)「あら素晴らしい忠誠心。まぁ、私はそれでも構わないのだけれど。でも、いいのかしら?」
ミ;●∀●彡「へ?」
(゜、゜*)「アンタ、狸影とかいう奴の手下の中でも結構な立場よね?この前、ビジターセンターに潜入した時に2人で何やら密談してたし」
ミ;●∀●彡「な、なぜそれを!?」
(゜、゜*)「なんだっていいじゃない。私はこの後、アンタを騎士団に連れて行くわ」
(゜、゜*)「そしたら騎士団はきっとアンタから、何としてでも情報を引き出そうとするでしょうね……そう、例えば」
(゜、゜*)「"拷問"とか」
ミ;●∀●彡「ひっ!」
(゜、゜*)「爪を剥ぐ、指を潰す、顔を水に沈める……アンタは狸だし、皮を剥ぐのもいいかもしれないわね?」
(;コ∀`)「ひぃぃ!聞いてるだけで痛いコボ!」
ミ;●∀●彡「……」
(゜、゜*)「ここで洗いざらい吐けば、痛い思いをしなくても済むけど?」
ミ;●∀●彡「は、話すでゲス!知ってること全部!だから、痛いことしないでゲス~~!」
(゜、゜*)「最初からそう言えばいいのよ」
(’A` )「お~スパイっぽいやり取り」
( ・∀・)「さて、どんな話が聞けることやら……」
(ФωФ )「それより道化師さん。戦士さんと一緒じゃないんですか?」
( ・∀・)「ん?ああ、戦士なら……」
( ・∀・)「騎士団に加勢しに行ってるよ」
(’A`;)「アイツが?騎士団って結構強そうだったけど……要るのか?」
(;・∀・)「それが結構、いや……かなり苦戦しててね」
ミ*●∀●彡「流石、狸影様!私も助けに来てくれでゲス!」
(゜、゜*)「うっさい。アンタは会話に入るな」
ミ;●∀●彡「ひぇ!」
(;’A`)「……」
(’A` )「んでもよ、騎士団を圧倒するような奴との戦いにアイツが出向いたとて、足手まといになるだけじゃねぇか?」
( ・∀・)「まぁ正面から正々堂々戦えばね」
(ФωФ )「なにか作戦があるようですね!?」
( ・∀・)「うん。手投げ爆弾があと一個、残ってるんだ」
67 名前:以下、名無しにかわりまして日曜日夕がお送りします[sage]:2025/02/10(金) 21:00:00.00 ID:1399336
【カッカ山 地下労働施設】
ミ#●ω●彡「……ッ!もう我慢できねぇッ!」
ミ#●ω●彡「野郎共ッ!ワシが手を貸してやる!騎士団をぶちかませッ!」
ミ#●ω●彡「強化忍法・『金剛不壊』の術!」
彡#●Д●ミ「うおおおおッ!!」(#●Д●)
彡#●□●ミ「やったらァッ!!」ミ#●W●ミ
Ξ#●Д●Ξ「いっけぇぇッ!!」ミ#●∩●彡
ミ#●A●彡「うりゃああッ!!」ミ#●皿●彡
(゜Дメ;)「くそっ!また奇妙な術を!」
(゜Д゜;)「ぬう!硬いっ!コイツら、全身が鋼鉄のようだっ」
ミ#●ω●彡「ブヘヘヘヘッ!『金剛不壊』は白兵戦にて最恐よ!倒れない兵士ほど恐ろしい者はないわい!」
(;゜Д。)「ふん!だが、所詮は雑兵!貴様らの攻撃を防ぐなど容易い!」
ミ*●ω●彡「むふっ!ならこれはどうじゃ!」
ミ#●ω●彡「『風遁:カマイタチ』の術ッ!!」
狸影の周りに再び竜巻が現れ、子分もろとも騎士団に襲いかかる!
(゜Дメ;)「まさか貴様、手下ごと!?」
ミ*●ω●彡「ブヘヘヘヘ!違うわい!『金剛不壊』で強化された子分は、かすり傷一つつかん!」
ミ*●ω●彡「野郎共、心配するな!やれぇぇい!」
彡#●Д●ミ「うおおおおッ!!」(#●Д●)
(゜Дメ;)(万事休す……か?)
襲いかかる竜巻と鋼鉄タヌキ津波。諦めかけた騎士団長はその時、妙にスローモーションになった視界に一つの人影を見つけた。
その影は木陰から飛び出すと、背後から一直線に狸影へと向かい、まずは投擲で攻撃をしかけた。
彼が放った投擲物は放物線を描き、狸影の頭めがけとんでゆくッ!
ミ●ω●;彡「ぬっ!殺気ッ!爆弾かッ?」
しかし狸影、すんでのところで攻撃を察知ッ!
素早く印を結び、直撃を防ぐために自身にも『金剛不壊』を付与ッ!彼の頭に着弾した爆弾は、音を立てて炸裂ッ!
ミ●ω●#彡「騎士団の死に損ないめッ!」
多少の衝撃は喰らったものの、ほぼ無傷!黒煙を風遁でかき消し、言葉を吐き捨てる。
だが、この間わずか数秒、彼の意識は目の前の戦闘からは逸れてしまった。そして、それは──
(゜Дメ#)「死ねよやぁぁぁッ!!」
──騎士団長が狸影の首を狙うには十分すぎる猶予ッ!!
彡#●Д●ミ「効かぬわっ!」
(゜Дメ#)「ぐうううッ!!」
悠々と団長の剣をその身で受ける狸影。しかし──彼は気付かなかった。
( ω )「っ!」
鋼鉄の体を持つゴーレムと戦い、それを剛力でねじ伏せた戦士が、頭上から今まさに襲いかかっていることを……ッ!
本来、狸影ほどの実力者であれば、この程度の奇襲など、いとも容易く看破できたハズだ。
しかし今回ばかりは3つの原因が、彼から注意力を奪った。一つは、吹き乱れる風の音。一つは、騎士団長の強襲への対処。そして最後は……
ミ*●ω●彡「ブヘヘヘヘ!これで騎士団も終いじゃあっ!」
慢心──実力者だからこそ陥ってしまう罠に、狸はまんまとかかってしまった。
(;^ω^)「喰らえぇぇぇッ!!」
(;^ω^)「"狸 滅 覇 皇 斬"ッ!!」
爆弾は彼の視界を塞ぎ意識を逸らすための牽制。戦士の真の狙いは二撃目。意識が完全に騎士団長に向いた、その瞬間を突いた不意打ちである……ッ!
不意打ちが人体へ与えるダメージは計り知れないッ!
例えば鳩尾へのボディブローッ!
"来る"と分かっていれば腹筋でガード可能なダメージ!しかし、不意を突かれれば100%衝撃が内蔵へ伝導し、その機能を確実に破壊する……ッ!
例えば皮膚の裂傷ッ!
意識していれば皮膚は刃物を通さぬ柔軟性を持つ!だが、注意力が散漫であれば、皮膚は紙にさえ容易く裂かれ、血を流す……ッ!
それらと同様!気を巡らせれば爆発さえも耐えうる『金剛不壊』でさえ、不意を突かれればその防御力は激減……ッ!!
ミ;●Д●彡「!?!?!ガハッ!!」
大層な名前のその技は、全体重を乗せた大剣の単純な"振り下ろし"。だが、知ってか知らずか不意を突いたその一撃は、敵の意識を飛ばすには十分過ぎる威力を誇っていたッ!!
(;^ω^)「……う」
(*^ω^)「うおおおおおおおッ!!」
崩れ落ちる狸影!
勇者は大剣を天に掲げ、勝ち鬨を上げた!
(゜Дメ;)「やりやがった……」
(゜Дメ*)「やりやがったな!お前!すげえぞ、大金星だ!」
(*^ω^)「あざす!」
(゜Дメ )「でも何故だ。なんで帰ってきた?"逃げろ"って言っただろう?」
( ^ω^)「あ。それ、よく考えたんですけど」
( ^ω^)「俺、別に騎士団員じゃないし……従わなくてもいいかなって」
(゜Дメ;)「ふん、聞き分けが悪い奴だ」
(゜Дメ;)「……いや、ここは勇猛果敢と言っておこうか、"勇者"よ」
( ^ω^)「あざす!」